わぁ、すごすぎる。すごすぎるよ、この作品。ヒーローになれぬまま、ヒロインたちの活躍を励ますだけの傍観者の真が、最終回で真のヒーローになる。
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それはただの草野球で、部活で全然勝てない少女から放っただけのライトフライ。それが祈りと願いによって奇跡になる。ほんのちょっとした奇跡。なんてことない、ただの打ち損じだけど、真という存在が世界で認められたという証拠を残して最後を迎える。地味だけど、その地味さがこの作品の良さを引き出している最高の最終回だった。
ピンチになれば、ヒーローが現れる。それがエリオというヒロインだった。ただ、それだけのこと。それは前川さんの父親が作ったピンチであり、計画的だった。計画的に逃げるような人だった。
そんなシナリオが作られたような、ただのドラマに過ぎなかった。何のこともない。エリオが頭角をあらわして、正ピッチャーとして、商店街側の救世主になる。そんなストーリーもいい。
だけど、それはそれで、ただの野球センスと才能があったというだけに終わってしまう。ドラマとしては陳腐なものになってしまう。
それに野球初心者として問題外のレベルのエリオが何の努力もなしに活躍すれば、逆に社会に対してなんとか生きていこうと努力していることも何だか陳腐に見えてしまう。
だから、勝っても負けても、意味がない試合。それこそ、前川さんの父親と真が感じているように、ただの趣味の延長線上の草野球の一試合に過ぎない。
本気のホの字もないくらいに、遊びでやっている。リュウシさんの練習試合とは違う社交的な健康のためのスポーツ。そのためのラジオ体操もどきでの健康を意識しているんだよ、という暗示かも知れない。
そんな軽い試合で逃げてしまう前川さんの父親のメンタルの弱さ。普通のこと、簡単なこと、些細なこと、失敗したとしても、人生において、何の変化もない。ただのお遊び。
だからこそ、逃げる。責任が重大なことこそ失敗が許されないので、逃げ出したくなるのだけれど、前川さんの父親はその逆。責任が軽いことは許されるから。きっと、そんな気持ちで人生を過ごしてきたのだろう。ちょっと、怒られるくらいで済む、些細なこと。
だけど、その前川さんの父親を必死に追いかける役目の真なんかはもっとひどいだろう。そんなどうでもいいことで悩んでいる人を連れ戻すという最終回での自分の見せ場なしという些細なことを気にして終えるのも気の毒過ぎる。
でも、そこに意味があった。ただ試合をやって、負けただの勝っただのは、それほど気にならない。ただ、劣等感と優越感をそれぞれ抱くみたいなものだ。
だけど、今回は自分の人生において軽いけれども、自分の責任から逃げたことに対して、前回の真が言っていた「諦める」が重なる。どんな小さなことでも諦めたり、逃げたりすることで、誰かからは責められなくても、自分が責める。
何事からも「逃げる」くせをつけてしまうことで、「諦める」前に勝負を避けることで、自分を守ってしまう。
真は「諦める」まで、勝負を続けた。小さい頃から何かに向かって、走り始めた。そこで壁に当たって、「諦める」ことになっただけ。だけど、逃げはしなかった。それと、リュウシさんもバスケで努力で自分の限界を打ち破ろうとした。
どんな小さな事であっても、勝負をすることで、それが例え「諦める」結果になろうとも、まずはそこから逃げないことから始めないといけない。そういう意味では真も、リュウシさんの頑張る姿や社の言葉がなければ、「諦める」より、前川さんの父親と同様に「逃げる」道を歩んでいたかも知れないという懸念が出てくる。
それをリュウシさんから学び、今回の人生の先を行く前川さんの父親から大きく学ぶことになる。
まあ、前川さんの父親は一応、最終回で登板して抑えたかどうかわからないけど、真が連れ帰ったことで、勝負をすることに対して頑張ろうという気になって、少しは責任を果たそうとする意志を見せたので、彼の人生もまだまだこれからだと思う。
そんな勝負の世界に対しての態度を学んできた真の出した答え。真をここで使う女々さんの計らい。ヒーローが本当のヒーローになるとき。それは、風がなければ、ただのライトフライだったけど、奇跡が起きて、ヒーローになる。
それは堂々と自慢の出来ないことかも知れない。だけど、立ち向かって考えて、今までの経験を生かして、彼なりの最大限の努力をした結果であることには変わりない。
壁があっても、自分に自信がなくても、どんなに小さな事でも、立ち向かう勇気と努力があれば報われる。きっと、そんな風に出来ている。信じて、祈って、現実に抗ってみる。どうなるかはわからない。だけど、試してみないよりはいいじゃない?
そんな感じの日常の中の日常しか起きない普通の作品に見えるけど、どんな時でもコスプレする少女よりも、簀巻きになって出歩く電波女よりも、宇宙服を着て超能力が使えると豪語する少女よりも、不思議なこと。
普通の人から見ればおかしいことも、よくよく観察すると、ただの一人の寂しがり屋の少女にしか過ぎなかったりするわけで、それよりも、日常の一コマがこれほど不思議なことが起きるということに、また、神秘的な何かを感じてしまったりするんですよね。
追い求めている少女には与えられなくて、平凡な普通の青春だけを求める真にだけ与えられる奇跡。それは奇跡とは呼べないものだけど、神様がくれたご褒美として、真は生きがいを見つけて、彼なりの答えをいつか出して欲しいな。
それはただの草野球で、部活で全然勝てない少女から放っただけのライトフライ。それが祈りと願いによって奇跡になる。ほんのちょっとした奇跡。なんてことない、ただの打ち損じだけど、真という存在が世界で認められたという証拠を残して最後を迎える。地味だけど、その地味さがこの作品の良さを引き出している最高の最終回だった。
ヒーローよりもヒロインの時代?
ピンチになれば、ヒーローが現れる。それがエリオというヒロインだった。ただ、それだけのこと。それは前川さんの父親が作ったピンチであり、計画的だった。計画的に逃げるような人だった。
そんなシナリオが作られたような、ただのドラマに過ぎなかった。何のこともない。エリオが頭角をあらわして、正ピッチャーとして、商店街側の救世主になる。そんなストーリーもいい。
だけど、それはそれで、ただの野球センスと才能があったというだけに終わってしまう。ドラマとしては陳腐なものになってしまう。
それに野球初心者として問題外のレベルのエリオが何の努力もなしに活躍すれば、逆に社会に対してなんとか生きていこうと努力していることも何だか陳腐に見えてしまう。
だから、勝っても負けても、意味がない試合。それこそ、前川さんの父親と真が感じているように、ただの趣味の延長線上の草野球の一試合に過ぎない。
本気のホの字もないくらいに、遊びでやっている。リュウシさんの練習試合とは違う社交的な健康のためのスポーツ。そのためのラジオ体操もどきでの健康を意識しているんだよ、という暗示かも知れない。
そんな軽い試合で逃げてしまう前川さんの父親のメンタルの弱さ。普通のこと、簡単なこと、些細なこと、失敗したとしても、人生において、何の変化もない。ただのお遊び。
だからこそ、逃げる。責任が重大なことこそ失敗が許されないので、逃げ出したくなるのだけれど、前川さんの父親はその逆。責任が軽いことは許されるから。きっと、そんな気持ちで人生を過ごしてきたのだろう。ちょっと、怒られるくらいで済む、些細なこと。
逃げることから立ち向かうことへのシフト
だけど、その前川さんの父親を必死に追いかける役目の真なんかはもっとひどいだろう。そんなどうでもいいことで悩んでいる人を連れ戻すという最終回での自分の見せ場なしという些細なことを気にして終えるのも気の毒過ぎる。
でも、そこに意味があった。ただ試合をやって、負けただの勝っただのは、それほど気にならない。ただ、劣等感と優越感をそれぞれ抱くみたいなものだ。
だけど、今回は自分の人生において軽いけれども、自分の責任から逃げたことに対して、前回の真が言っていた「諦める」が重なる。どんな小さなことでも諦めたり、逃げたりすることで、誰かからは責められなくても、自分が責める。
何事からも「逃げる」くせをつけてしまうことで、「諦める」前に勝負を避けることで、自分を守ってしまう。
真は「諦める」まで、勝負を続けた。小さい頃から何かに向かって、走り始めた。そこで壁に当たって、「諦める」ことになっただけ。だけど、逃げはしなかった。それと、リュウシさんもバスケで努力で自分の限界を打ち破ろうとした。
どんな小さな事であっても、勝負をすることで、それが例え「諦める」結果になろうとも、まずはそこから逃げないことから始めないといけない。そういう意味では真も、リュウシさんの頑張る姿や社の言葉がなければ、「諦める」より、前川さんの父親と同様に「逃げる」道を歩んでいたかも知れないという懸念が出てくる。
真は「諦める」ことから逃げ、何を見出すか?
それをリュウシさんから学び、今回の人生の先を行く前川さんの父親から大きく学ぶことになる。
まあ、前川さんの父親は一応、最終回で登板して抑えたかどうかわからないけど、真が連れ帰ったことで、勝負をすることに対して頑張ろうという気になって、少しは責任を果たそうとする意志を見せたので、彼の人生もまだまだこれからだと思う。
そんな勝負の世界に対しての態度を学んできた真の出した答え。真をここで使う女々さんの計らい。ヒーローが本当のヒーローになるとき。それは、風がなければ、ただのライトフライだったけど、奇跡が起きて、ヒーローになる。
それは堂々と自慢の出来ないことかも知れない。だけど、立ち向かって考えて、今までの経験を生かして、彼なりの最大限の努力をした結果であることには変わりない。
壁があっても、自分に自信がなくても、どんなに小さな事でも、立ち向かう勇気と努力があれば報われる。きっと、そんな風に出来ている。信じて、祈って、現実に抗ってみる。どうなるかはわからない。だけど、試してみないよりはいいじゃない?
そんな感じの日常の中の日常しか起きない普通の作品に見えるけど、どんな時でもコスプレする少女よりも、簀巻きになって出歩く電波女よりも、宇宙服を着て超能力が使えると豪語する少女よりも、不思議なこと。
普通の人から見ればおかしいことも、よくよく観察すると、ただの一人の寂しがり屋の少女にしか過ぎなかったりするわけで、それよりも、日常の一コマがこれほど不思議なことが起きるということに、また、神秘的な何かを感じてしまったりするんですよね。
追い求めている少女には与えられなくて、平凡な普通の青春だけを求める真にだけ与えられる奇跡。それは奇跡とは呼べないものだけど、神様がくれたご褒美として、真は生きがいを見つけて、彼なりの答えをいつか出して欲しいな。
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