所詮、すべては戯言なんだよ

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今回の「すきな人」のサブタイの個人的な解釈。手（て）が入ることで、「すてきな人」になる。爽子にとって、「すてきな人」に見えたの健人。「すきな人」はご承知のとおり、風早。今回のラストで風早の手（て）が入らなかったら、健人が爽子にとって、「すきな人」になっていたかも知れない、そんな不安を煽るようなサブタイが上手いです。

涙を見せた爽子と、涙を見せなかった吉田のどちらが強いのか？

強さというのは精神面という意味で忍耐力、根気、負けん気の強さ、経験、表情に出やすいか、そうでないか。結構、色々な要素があるので、一概にはどちらが強いと断言できるわけではないけれども、二人とも頑張っているだけにどちらも強いと結論づけたい。

強がっているのではなく、強いんですよね。吉田の場合はもう涙は流しているので、決心がついていた。

かといって、龍で妥協するという選択肢は選ばなかった。別に彼女は一人で生きていける。生きていけるように強がっている。そんな感じに龍の目には見えるんだろう。


だって、恋していた相手に対して、いつも以上の笑顔と可愛さを振りまこうとする彼女の姿勢が好きですね。決心がついていても、万が一、億が一、自分にも可能性があるならば、その可能性を少しは期待してしまうと思うんです。

婚約しても結婚式はまだ。結婚式に行っても、結婚が上手くいかない可能性。結婚式が終わって自分の所に来てくれても、まだまだ可能性が、と別に未練はないと思っているんだけど、粘着質みたいに自分の心が疼いてしまう。だけど、結婚式では笑顔を見せられただけでもう十分、十分なんだよ。


新郎は自分の気持ちに気づかないまま、始まりを迎え終わりを迎えることができたことが彼女の達成感でもあるんですよね。せっかく幸せな家庭を築こうとしているのに、少しでも邪魔したら悪いと思う。

それが本当に好きだった人への好きという気持ちの素晴らしさを気づかせてくれた、せめてもの恩返し。

吉田としては一つの仕事が片付いた。心の整理がやっとついたのでしょう。うしろ髪ひかれる思いを表情に見せることは帰りの車ではなかった。終わったという実感で涙腺が緩むかも知れない。

そんな車の中では龍は吉田の気持ちを知っているだけに、吉田に別に泣いてもいいと帽子を深くかぶって寝たフリをする姿にウルっときました。

その上、夜に呼び出しがあったもんだから、彼女を慰める気持ちで向かったのかも知れません。だけど、吉田は自分の恋より他人の恋。いや、そんな恋に恋する女の子ではないので、ただ純粋に自分の何気ない一言に責任を感じたのでしょう。

そんな自分より他人を大事にする思いに龍は安堵して笑顔を返すやりとりは仲睦まじい夫婦のようでしたよ。

こんな一件があったからこそ、健人と爽子のやりとりを比べてしまう。龍は泣かせようとはしなかった。泣いてもいいよという空間は作った。弱った部分につけこむようなことはしなかった。

自分で苦しんで、自分で立ち直って欲しい。

もし、必要であるなら慰めたり助けたりはする。そこに自分の恋路の延長とは思っていない。正々堂々、勝負するといった格好だ。

健人の回りくどくも外堀を埋める脅迫のような告白

だけど、健人は爽子を別に泣かせるつもりはなかったにしろ、彼女を追い詰めるような問いで落ち込ませようとした。精神的な動揺を誘って、自らの売り込みをした、この精神がかなり嫌いです。キミトド史上最悪のコクリ方です。ってコクった人ってあまりいないけどね。

くるみちゃんが似た様なタイプに見えるけど、そこは全然違う。くるみちゃんは自ら積み重ね、積み重ね、様々な努力し、ようやく今のような良好な関係を築けた。なんとか自分の精一杯を見せて、落ち込んだり、傍目に見て罪悪感をもつような事もしたけど、それはかわいいこと。別にライバルを貶めるわけではなく、風早に対して色々な方法でアプローチして、彼女なりの誠意を見せた。


でも、風早は自分のことを振り向いてくれないと気づいてしまった。爽子に諦めて欲しかった。でも、こればかりは人の心なので、自分ではどうしようもない。だからこそ、今の自分に出来ることをしようと思って、告白してしまった。後悔しているわけじゃない彼女の表情が哀愁を誘う。でも、負けない。そんな不屈の精神が彼女は強い。

反面、健人はかなり弱いです。風早の良心が本当に良心かどうか考えさせるように誘導尋問して不安にさせて、自分が爽子とは出来るだけ親しくするために、彼女を周りと仲良くすることで風早と同じ方法で爽子の心を惹きつけた。

風早は本当に努力している人を評価してあげたい救いの気持ちの延長線上に恋があっただけで、健人は逆に自分の恋のために彼女を助けただけに過ぎない。

そんな自分の強みを活かすために相手を殺す。恋を恋として気づかせないで、自分しか見えないように相手を会話で責めるという姿勢は、一度上手くいってしまうと、もう直らないだろうな。

爽子の為を思っているのなら、健人と付き合って、彼女が風早に好かれなくなることの辛さを理解しているのに、それをあえて提案するやり口は本当、相手のことを思っていない告白です。むしろ、脅迫です。

風早が爽子をどうやって守るのか気がかりですが、まずは健人の告白には応えないといけないだろうな。しかし、爽子が好きという告白ではなく、爽子でもいいよという妥協的告白はどうかと思うよ。今回で彼の真意がわかったので、今までの同級生なのに上から目線が癇に障るようになってきました。

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健人のキャラがようやくつかめてきた。この子は現状をわかっていそうで、わかっていないタイプ。わかっているようなフリをするタイプですかね。わかっているように見せて、自分の地位や名誉を上げるように仕組む性格のようです。

健人の明るい性格が風早にとって裏目に…

健人から「協力」という言葉を聞くと、また、くるみちゃんを思い出してしまう。

彼女は「協力」してと頼んだのに対し、彼は「協力」すると言い出した。

どちらも、腹に黒いものを抱え込んでいる。優しさからではない自分のため。どちらも相手に断られることには変わりないので、釘を刺すという意味合いも強かったかも知れない。釘を刺すも違うか。打診といった所。

健人は馴れ馴れしいように見えるけど、それは彼の人柄だろう。別に悪気があってやっているわけではない。爽子のことも貞子呼ばわりなのは変わらないしね。気軽に肩に触れたりするけど、それも彼なりの性格。大人になるとセクハラになるから、今のうちにやめようね。


健人にも爽子に対しての一応の好意はあるようだけど、それが腹の奥までは読めない。優しさなのか下心なのか。

だけど、風早と同じように爽子を救ってあげようという最初の気持ちが共通点なだけに、風早にとっては変に敵対関係になりたくない。昔の自分を思い出してしまって何か小っ恥ずかしい思いなのかも知れない。

困っている彼女をただ救いたいという純粋な気持ちと相対する気持ち。

その自分の恋愛感情は別ものであると認識する必要があり、救うという優しさから始まっただけに妙な偽善者っぽさを感じてしまう。

魚心あれば水心ありはどこまで期待していいか

魚心あれば水心ありで、爽子も風早の事を思ってくれるのは当たり前であって、

その当たり前な感謝からの感情が恋心に成長するのかどうかがすごい気になるわけだ。

別に自分はこんな下心があって、彼女に近づいたわけではない。彼女もそう思ってくれている。それでいい。

それでいいけど、それ以上の関係を風早としては望んでいる。爽子も望んでいるように見えるのは、自分が恋心を抱いているせいで何かと良い方に考えてしまう。そこに健人の言葉が自制心を促す。それが正しいのか正しくないのかわからない。動こうにも動けない状態。


その気持ちを相談できる相手もいないのも彼にとっての苦難。龍は龍で何にも考えていないように見えるし、こういうことには疎いだろう。かといって、他の誰かに相談したら、その話したことが漏れそうで恐い。

それに、自身の行動だけ見れば下心しか見えない健人と大して変わらないだろう。それを弁解したいけど、弁解する相手がいない。

健人にそのことを伝えればいいのだけれど、伝えて何になるのかという部分が風早の理性が抑える。

こいつは矢野や吉田と違う。「協力」という言葉を鵜呑みにしていい関係ではない。それに矢野の「協力」の言葉も蹴っているのに、信頼性が抜群に低い健人にはできるだけ近づかないほうがいいと感じたのだろう。


でも、健人の爽子を救いたいという気持ちは正論だけに、自分の胸をチクチクと刺すような痛みが伴う。風早自身、悪いことはしていないはずなのに、何故か不安を覚える。不安を解消する術を彼は知らない。そういう意味では彼のいつもの笑顔も崩れかかっているのかも知れない。

動揺を笑顔でカバーするようにもなってきた。

それが矢野にバレてしまい、風早を叱る姿とか見ると、この仲良し5人組は良い関係にあるんだなぁ、とつくづく感じるよ。

それに矢野の言動を見ると、爽子のことを第一に思っているし、恋愛だけが全てじゃなく、友好関係をキープしていくことが先決だというのは彼女自身の経験の深さが物語っているのかも知れない。恋愛より大事な学校生活と友情。そういう青春ドラマなんですよ。

環境という距離は遠くも、心は近く…

風早の完全なる籠城合戦を襲う健人。それに加えての吉田の言葉。

「一番遠いのは風早かも知れないね」

逆境とか苦境に立ってきた人間は強い。そして、その傷をお互い舐めあうことができる。支え合うことができる。共感できる。そんな不幸な人間と幸せな人間との対比。


でも、この言葉って、酷ですよね。だって、別に自分がなりたくてなったわけじゃないし、周りが良かった、環境が良かったのって、自分ではどうしようもない。わざわざ、その恵まれた環境を自ら壊して、自己憐憫になろうものなら、それこそ、爽子とは本当に遠く離れてしまうだろう。

とにかく、場所は置いておいて、近づく努力をする必要はある。

ただ、彼女の育ってきた環境面での距離が遠いだけで、心は近づけることができる。

わからないことをわかってあげるようにする。それは今まで風早がやってきたことでもあるので、別に今のままでもいい。だけど、その環境面での違いを指摘されて焦っているのだろう。


それに爽子の気持ちを知れないのが一番大きい。勇気を振り絞って、直接聞いてみたけど、反応が薄い。そこに彼の自信と勇気が削られて、不安だけがたちこめる。たった、一場面の一言なのに、これだけ距離が離れているように思える不思議。

じれったいけれど、その新たな局面を打開するだけの気持ちと勇気がもう少し風早に欲しい。その追い風となるような言葉を健人に期待していたけど、彼のあやふやな解釈によって、より一層、戸惑いを覚えることになった風早が少し可哀想になってきた。ガンバレ、風早。
 

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今回は恋愛要素を抜きにして考えてみると、意外とシンプル。そう、恋愛をメインに描いた作品でもないしね。爽子をの成長を見守る父親のような感覚で見れば一番泣けてくる。意外に健人がいいやつすぎて、少しだけ驚いた。金髪にしていて恋敵のような印象を受けたのは、やっぱりくるみちゃんの印象が強かったから。

同じような系統の人間かと思いきや、そうでもないことにこの作品に出てくる人間の考えていることって結構複雑で、優しさや嫉妬や同情や友情などの感情を抱きながら、人と付き合っていく。その人個人がその性格って、元からというよりも周りの環境次第での変化が見られるので、学校生活という小さな社会で育まれる人に対しての愛情を大事にしている気がします。

少し内容からそれるけど、ソーシャル・ネットワークの話

そう、社会なんですよね。家庭も小さな社会と考えれば、学校は少しだけ大きくなった社会という感じでしょうか。で、話は飛んでしまうのですが、人が生きて行く上で学んで働いて結婚して子孫を残して死んでいく。その過程でいきなり働いてもいいとは思うんですが、義務教育がある理由って、子供への労働を親が強いるからだけではなく、子供としての責務をまずは全うすることが大事なんですよ。

まあ、働くには学ばないと働けないわけですが、その学びも家庭で教えて、家庭で働けばいい。自営業の考え方ですね。なぜ、必要ない勉強をする必要があるかという部分では学歴や頭の良さを試すよりも重要なのがソーシャル・ネットワークを作ること。家庭という小さな社会では学べない部分を習得するのが一番大事な部分なんですよね。


学力・知力・体力で学校はその人のスキルを図りますので、子供としても勉強に勤しむことしか出来ない。その部分以外で何をしようとするかが重要になってくるわけです。その中でも、コミュニケーションスキルって大事で、昔は簡単に習得できていたようにも思うんです。自然と仲良くなる、自然と人の気持ちがわかってくる。人との付き合い方という面でそれほど困難ではなかった。

それはまず、小さな社会である家庭である程度教育されて、人との付き合い方を学んでいるから、難しくはなかった。だけど、それは共働きとかで両親と触れ合えなかったり、近隣の付き合いを制限していたりと、今は色々大変そうなんですよね。

だから、社会というものがどういうものかわからずに年齢だけを重ねて、学校で社会の困難さを経験し挫折する人もいる。

まあ、その深い内容はニュースや社会学とかで学べばいいわけで私が言いたいのは、爽子は何故挫折しないのか？といった部分。彼女が変化したのか、周りが変化したのか、それとも、他の変化があったのか。

風早に会うまでは人付き合いの不器用さから人に避けられつつ暮らしてきた。彼女自身が何故避けられているのかわからないまま、過ごしていたわけです。

まあ、子供の頃ならわからないことは一杯ありますよ。

だけど、それは人との触れ合いから、徐々に学んでわかっていく。

そんな社会の暗黙の了解。爽子はそれを彼女の性格と外見で判断され、周りからシャットダウンされていたわけです。

風早の不器用さから爽子が戸惑いを覚える

なので、彼女の人生はそのまま進んでいってもおかしくない。彼女自身が納得しているし、求めていなかった。求めていないといえば、嘘になるけれど、求めてはいけないものだと思っていたのかも知れない。

それは卑屈な思いからではなく、ただ心が純真なだけで、周りがおかしいと思わないまま過ごして受け入れていくしかなかった。その中での最大限の幸せを探そうとしていた。

そこに風早が現れた。本人は救ったわけではないんだろうけど、彼女の純真さに気づいて、その不幸に憐憫さを覚えたのだろう。そこから彼女を自分の力でなんとかしてあげようという気持ちになっただけで、誰とも仲の良い風早のほんの気まぐれに過ぎなかったのだろう。そこから始まる社会の輪の広がり。


たった一人の人間が動くだけで、たったひとつの出来事で、周りは大きく変わることが出来る。それを気づかせてくれた風早。だからこそ、今回の講師役だって、逃げなかったし、皆と真剣に向き合った。その彼女自身の情熱や熱意や気持ちが周りに伝わる。

もう、風早を媒介にしてつながるネットワークはとりあえずはなくなった。もう、彼女自身の力で切り開いていける。

そんな嬉しい気持ちとは裏腹に、悲しさを覚えているような風早にも少し同情してしまう。自分を必要としている人間が必要としなくなるように成長してくれたことには素直に喜びたい。

他人の幸せの一助になれただけでも、彼の人生の糧にはなっていくだろうから。だけど、今度は彼自身の悩みになる。

浅くも他人とのネットワークをつくることに長ける風早と、なかなか他人とのネットワークを作れないけど作れれば容易に関係を深く出来る爽子。

風早は想いを届けられるのか？

この差による風早の少しの自信と優越感が彼女との距離の難しさに悩むことになる。

「助け」や「救い」という名目での付き合いができなくなってくることで、

これからは彼女自身と「深い」関係を風早は挑戦していかなければいけなくなった。

爽子自身は既に助けがあって、彼との間柄をなんとかキープできるけど、深く踏み込むことに風早自身が恐れている。

それが今回のサブタイでもあり、セリフであった「忘れて」という言葉。彼はどうしても爽子との距離を縮めることができないもどかしさを感じている。

そして、勇気を出せない。彼女の気持ちをすべて理解出来ていない。もう、爽子の気持ちが「君（風早）に届け」ばそれだけで片付くんですけどね。


浅い付き合いが多かった彼だからこそ、爽子との関係は深いと思っていないために、すぐに切れてしまうのが恐い。その風早自身の不器用さに爽子としては戸惑いを覚えるばかりなんですよね。

だから、爽子自身がバレンタインのチョコと、この前の言葉のお礼に引け目を感じているので、勇気を出さないといけないようにさせる風早の不器用さがここにきて露呈してきた感じだ。

そういう意味では彼の弱さを感じはじめてきたので、爽子にとってのくるみちゃんが起爆剤になったのと同じように、風早にも健人という起爆剤が必要なのかも知れませんね。

この学校生活での人間関係の機微の面白さを感じさせてくれるので、悲しい展開になろうと、嬉しい展開になろうと視聴者の感情を感動に変えてくれる、この作品が大好きだ！
 

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くるみちゃんの一言は軽いようで重い。

それはくるみちゃん自身が上手く人とやりくりできるように世渡り上手になれるように、自分を偽りつつも周りからよく思われている自分を演出している。それはもちろん、風早に好かれたいという一心からなんですが、彼女はもう振られてしまっているので、レースから除外されたような気分になっただろう。落ち込みはしたけど、涙からの再出発を恐れていない。彼女の人生はまだ始まったばかり。

障害だらけに見える自分の人生を憂いているのは確かだけど、彼女も爽子と同じように厳しい現実を受け入れているんですよね。厳しいからこそ、厚い壁を乗り越えようと思える意志があるわけで、徐々に自分に自信を付け始めている。

それはくるみちゃんであれば、想いを伝えられなかった風早に告白したこと。爽子であれば、風早との進展や周りの変化。彼女たちの風早至上主義は変わらないけど、変わっていく心がある。未来が閉ざされたわけではない希望がまだまだ一杯ある。


で、そんなくるみちゃんの一言が重い。「下心」って、いわば想い人に対する「想い」ですよね。

それはくるみちゃん自身もその「想い」をもって風早に「想い」を伝えた。

なので、フェアな戦いをしようという宣戦布告の言い回しなんですよね。

暗にくるみちゃんは爽子に、あなたには私と同じ「想い」があるけど、その「想い」は私と違って渡せないでしょう？って言っているんですよね。くるみちゃん鬼畜。いや、これは爽子の受け取り方ではライバルからのエールと見るべきでしょう。

第一期でも遠まわしに「特別」って言葉を爽子の前で使っている。その風早にとっての「特別」になれるのは自分だけだと主張したかったくるみちゃん。まあ、それが間違って伝わったというか爽子流の感じ方の違いというか、自分も風早にとっての「特別」になりたい気持ちを打ち明けることになり、ここでもエールを送っている。だからこそ、前回は「下心」という言葉で直球で勝負してきた。


自分は爽子の通っていくであろう道を、既に二歩も三歩も先を歩いている。彼女の辛い経験も嬉しい経験も全て爽子に上回っていると感じたい。自分は不幸じゃない。

精一杯努力しているんだから、それだけの見返りを求めてもいいでしょう？
って、くるみちゃんは「下心」をもっているわけですよ。

それを直接、爽子に言えるようになったのは、爽子を本当のライバルとして、いや、自分と同じように苦しみながらも頑張っている一人の人間として認めているってことなんですよね。うん、くるみちゃん可愛い。

爽子の変化と周りの変化、そして、風早の変化。

花壇の世話ぐらい、どうってことない。どうってことないはずなのになぁ。と、思いつつ、爽子フィルターを通せば感動要素へと変化する。でも、陰から自分を気にしていてくれるのって、本当、考えてみればかなり嬉しいことですよね。人間って嫌われるよりも誰からも関心をもたれないのが苦痛なんですよ。

だから、いじめで誰からも総スカンされることが一番精神的に苦痛になるんですよ。一人の人間として見てくれている、それを前提の上で自分が好きなことを何も言わないまでも気づいてもらえる喜び。だから、最初は驚き、じわじわと嬉しさが込み上げてくる映像表現が素晴らしかったです。

そんな生活委員の仕事で放課後園芸する爽子。好きなことをやっているときの彼女を見るだけでも幸せになれるね。まあ、彼女ならどんな嫌なことも引き受けてくれるだろうけどね。だからこそ、1年生の時には彼女が空気を読んで嫌な仕事も引き受けようとした。それでみんなが幸せになれるなら、それで満足。

それが2年生になってからは好きなことを推してくれるんですからね。
彼女自身が変わり、彼女の周りも変わった証拠なんですよね。

そういう意味では爽子の努力が実った瞬間でもありました。


それで園芸を一人でもコツコツとやっていく彼女。そんな健気な姿を見る風早の気持ちもわかります。風早に「下心」はないだろうけど、彼女が頑張っている姿を見るだけでも一時の幸せであり、彼女の仕事が終わったあとに、もしかしたら、一緒に帰れるかも知れないという魂胆があったかも知れない。

それは矢野の言葉で変化したのかどうかはわからない。それにクラスメートになった男子高校生に対するちょっとした嫉妬でもあり、残された時間が少ないと見るか、多いと見るかの違いだと思いますが、焦りを感じたのは事実。

そして、その気持ちは、くるみちゃんの告白から。彼女の勇気が風早にも届いて、自分自身も頑張らないと、と思い始めた。矢野の協力を断ってまで真摯に彼女と向き合いたい。

この「協力」って言葉もまた、くるみちゃんが爽子に言った言葉。まあ、こちらは矢野の協力の意味と違って、爽子に風早から手を引いて欲しいという意味だったんですが、同じ「協力」という言葉でも、こうも意味が違ってくるとは面白いと思いましたよ。その「協力」を迫られた風早も爽子も同じように断ったというのがまた水面下で二人の気持ちが繋がっているように感じましたね。

今のままを続けていきたい風早が一歩踏み出した。

だけど、気持ちを表面化できないという意味では慎重に石橋を叩くように渡って行きたい。そんな告白っぽい一言で終わったりしない関係なのはわかっている。でも、すごく大切で自分にとってすごく貴重な相手だからこそ、今の雰囲気を壊したくない。その雰囲気だけでも守っていきたいというのはお互いにすごく伝わってくる。そんな暗黙の了解。

だから、風早の唐突な一言が心に響いてくる。それに応えないといけないのはわかっているんだけど、戸惑いが大きい。何を返しても大丈夫だと思うんだけど、風早が勇気を出した気持ちに精一杯の言葉で応えなきゃいけない、そんなプレッシャー。

一緒の時をこれからもずっと過ごしていきたいという気持ちを素直に表現するのが難しい。だけど、風早はその気持ちを言葉で伝えることができた。爽子も同じ気持ちだということにも気づいた。

それだけで今の風早にとっては十分。新しいクラスで新しい年度で離れてしまいそうな気持ちを確認したかった。そんな不安と闘いながらの風早のちょっとした告白。その問いに答えるのはイエスかノーでなくてもいい。くるみちゃんが風早に求めていた気持ちと風早が爽子に求める気持ちの違い。


共通するのは友達以上恋人未満。くるみちゃんは風早に恋人の権利を欲した。だけど、それは応えられない。風早は爽子に恋人の権利まではまだ欲していない。

あくまで友達の男子の中での一番でいたかっただけ。
恋人ではなく、「特別」を欲しただけ。

まだ、爽子から「特別」であるという気持ちは聞いていないから。

そして、くるみちゃんもその爽子の「特別」な気持ちを風早に伝える、そういう無粋な真似はしない所に彼女の優しさも感じる。同じように、矢野も見返りがないけど二人のことを思っている気持ちにも泣けてくる。

そんな感じで、色々とキミトドとしての本領発揮してきた今回。人間関係の機微にこれからも注目して見ていきたいと思います。やっぱり、キミトドは心に響くことが多くて必然的に感想が長くなりますね。
 

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爽子の純真空間が久しぶりで心地いい。席は離れてしまったけれど、心は離れていないという信頼。そこには今までの積み重ねがあり、新らしい発見もある。人は馴れ合いでいつまでも過ごすことは難しい。色々な困難があるけれど、それを困難と思わずにはサラッと乗り越えていく爽子のポジティブ思考にはいつも見習いたいと思ってしまいます。

思い出を形にしながら、思い出を心に刻みながら、一歩ずつ前へ進んでいる感覚が彼女にはあるのだろう。思い出を過去のことにして、楽しい思い出はもうやってこないみたいに憂鬱になるのではなく、

その思い出を上回る出来事がこれからも起こるんじゃないだろうかという希望的観測。そう、ちょっとした希望なんだ。

その希望を補完するようなイベントがやってきた。誰もが平等に、誰もが不安に、誰もが一喜一憂する最悪で最高で最低なイベントが…。そのイベントをどう認識するかは自分次第。それを利用したり、きっかけにしたり、ほんの何気ない日常の一部と思っていたりね。別に風早のことは気にしていないといえば嘘になる。

今のままを壊したくない爽子のちょっとした前進

風早には好意の形で渡したい。別に返答とか進展とか求めていない。義理堅い彼女としての最低限のお礼なんだ。その感謝の気持ちで一部でも、ほんのちょっとした一部でも風早に伝わるといいな。

形なんてどうだっていい。言葉だけでもいいかもしれないし、市販のチョコでもいいかもしれない。だけど、それだと、口下手だと思っている彼女としては、相手の気持ちに応えられないのが少し寂しい。

だからこそ、さんざん悩んだ。初の出来事。好きな相手に好きだと表明する。今までのお礼としての義理として捉えてくれればいい。だけど、相手の捉え方はその時になってみないとわからない。

もし、好きだという表明だと受け止めてしまったなら、と考えると勇気が出てこない。その勇気は時間と共に減ってゆき、渡せずじまいになってしまう結果に後悔するはめになる。

でも、それでもいいんだ。一応は試みようとした自分の勇気を褒めてあげればいい。今までは人とそれほど関わり会えなかったからという言い訳で自分を慰めることが出来る。次は頑張ろう。次のリベンジでなんとか出来ればいい。先に一歩進めなくても、別に後退していないんだから、また、他の場面で一歩ふみ出せばいいだけ。

くるみちゃんからの刺々しい声援

だけど、それをくるみちゃんは許さない。彼女は風早を一人になるのを待って、一緒に話せるときを狙った。早朝に下駄箱に入れるだけの人でもなく、義理チョコを配るような感じでもなく、この機会に告白するようなこともない。

ただ、単に友達として、まずは友達以上恋人未満を狙う彼女としてのアプローチ。そこが彼女の経験。彼女の上手さ。これが彼女の生きる道なんだろう。

そして、既に負けているライバルに対するエールも忘れない。

言葉はトゲトゲしいけど、彼女の一歩を踏み出させようとする、その友達としての応援にはちょっとした涙が出るシーン。

ここで、爽子が渡せずに、風早に失望されれば、今回のイベントでポイント稼げたのはくるみちゃんになるので、自らの功績を絶対上回るであろう彼女のチョコを応援する理由はない。

だけど、応援する。そのセリフがとても上手くてね。くるみちゃんが人として成長しているんだと感じる一言でした。

「私は特別よ。私はもうとっくにフラれているもの。（あなたも）特別でしょ？」。

ここで「（あなたも）」という部分が抜けているのは風早にとって自分はは特別だというのを前提にしてプライドを守り、特別だと思っているのは風早ではなくあなたがそう思っているんだから、渡すのは簡単なはずでしょう？ということ。

くるみちゃんの悲哀と葛藤とプライド

まあ、ここで「（あなたも）」という言葉を入れると、風早が爽子に対して特別だということになり、相思相愛を認めることになる。彼女はいつだってライバルでいたい。

もう、フラれちゃった分、アドバンテージは爽子にあるのがやっぱり気に入らなくて、ちょっと励ますのにも、恋敵と友達としての葛藤があったんだろう。その思いがこの言葉に凝縮したと考えると泣きそうになる。

その後も、爽子の心にズシンと響くセリフの数々。彼女は悪気があって言っているのではない。ただ、自分のライバルの理想までのし上がって欲しいという意味合いで言っている。

だって、自分がそんな意気地なしで終わってしまう相手に負けたなんて格好悪いじゃない。

せめて、爽子のことを盛り立てようとする姿や、ちょっといい過ぎた感じのくるみちゃんの去っていく姿がかわいかった。彼女は言い過ぎたなんて思わない性格だったのにね。

そして、これ以上の関係を心のなかでは期待していた爽子。爽子からもらえると心では期待していた風早。二人の関係は雪がふっているように寒い結果に終わってしまったけれど、お互い自分の気持ちを再確認できただけでも十分だと思ったりしてしまうんですよね。そう、しゃべらなくても、いつかはある程度は気持ちは伝わる。今度はお互いのその気持ちを確認しあえるといいね。それだけ。
 

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第2期ということで、今までのおさらいも兼ねてくるみちゃん視点の総集編でしたが、素晴らしいものでしたね。くるみちゃんの心情を切り取りながらも丁寧に繋ぎ直した感じで、くるみちゃんから見た風早や爽子が見えてきます。

今回は全編私の大好きなくるみちゃんということで、くるみちゃんについての思いを一挙に語ってしまいたいと思います。第1期である程度は語っていますけど、彼女の思いというのはやっぱり爽子フィルターで見ているので、爽子との比較で少しだけドス黒い部分が見えるんですよね。

でも、彼女の思いというのは一途ではありながらも結構シビアな結果が帰ってくるので、報われないんですよね。誰かを好きになることで、誰かから嫌われる。そんな不安な気持ちを受け入れてくれる友に恵まれなかったのが彼女の可哀想な所。

いや、でも、現代っ子はみんなそうなんだというのを爽子視点ではなくくるみちゃん視点になることで、彼女たちの人間模様がリアリティを帯びてくるんですよね。それは良い面もあれば悪い面もある。だけど、くるみちゃんには悪い面しか見えなくなっている。

くるみちゃんの本心と念願と現実と……

それは彼女の過去の経験が縛りとなっていることや、爽子と合う前にあったプライドや周りとの関係を気にしているがゆえに、思い通りにならない世の中の常。それを知りながら若者は成長していくのですが、彼女は何でも完璧にこなそうとしすぎた。

それは決して、貪欲だからでも、性格が悪いからというわけでもない。ただ、自分の人生が順調に進んでいくことを願う、たったそれだけのこと。だけど、彼女の言葉が重い。

一つ失敗しても多くを成功出来れば、人はそれで満足してしまうものかもしれないけど、彼女は風早との関係だけが最重要で他のことは気にしないという思いが苦しくて悲しい。

上っ面な関係だけのの友人、八方美人ゆえの人気、その他諸々、自分のステータスとして、風早の彼女候補として自分を磨いてきた部分でしかない。なので、風早に拒絶されるようなことがあれば、そのステータスは目的をなくして、意味をなさなくなってしまう。彼女の頑張りが全て無に帰してしまうわけである。

そんな不安定な気持ちのまま、ライバルとして現れた爽子に対しての敵意。画策を練り、二人の関係を悪くさせようとするのは彼女の嫉妬。そこに全く罪悪感を感じないことに少しだけ彼女が風早に対しての思いで周りの心を考えてあげられなかったのは人間としての不完全な面がある。

でも、彼女は風早が好きで好きでたまらないので、二人の関係を悪くさせるために風早の爽子に対してのイメージを悪くしようとするけれど、

決して、風早のイメージを悪くさせない所に本当の愛情を感じてしまうんですよね。

風早を褒めて、自分の良さを感じさせて、爽子をあきらめさせようとするぐらい。そこに風早の悪口は入らない。

片想いで終わってもいい…けど、後悔はしたくない

そこの根の部分では爽子や風早と同じように、好きになった人を貶めるように仕向けない所が正々堂々としていて清々しい。だからこそ、風早好きの共同戦線として爽子と気持ちの面で一致団結してしまう一面が、くるみちゃんの思惑とはだいぶ離れてしまって笑える反面、彼女の人の良さや爽子の包容力に感動してしまうんだ。

それに時間というメリットとデメリットがこれまた涙を誘う。風早と過ごしていた時間という思い出はメリットになる反面、過去の思い出として片付けられてしまって、関係を進展できなかったという悔しさが残る。

過去は過去で今は今。そういう時間の流れでいつ自分は選択や決断をするべきだったか、思い悩んでしまうのは青春を感じる。

そして、爽子に薦められて一歩踏み出したくるみちゃん。風早への告白は胸に閉まっておくべきだったのかもしれない。それは言ったあとに思うこと。何もせずに後悔して終わるくらいなら、何かして終わった方が気持ちの面での整理がつく。

だけど、この告白のシーンはかなり良かったですよ。

風早が爽子を大事にする気持ちと同じくらいにくるみちゃんのことを思っている。

それはただ恋愛感情かそうでないだけで、今までと同じように大事な友達として、これからも一緒にいてほしいという願いが、自転車を止めて、わざわざくるみちゃんの前に行き目を見て、まっすぐに応える姿から風早の人を大事にする気持ちがひしひしと伝わってきました。

そんな感じでくるみちゃんの青春の一ページが終わりを告げて、新たな二ページ目へと段階を踏めるか、彼女の頑張りには注目です。
 

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隣の席の男の子、それは爽子にとって遠い存在で、友達と未だに呼べない。現実面での距離は近いのに、遠く離れているように感じるのは、風早という存在が大きすぎるから。

憧れになっている風早との日々は楽しくて、嬉しくて、この幸せが逃げないように、しっかりとつかまっていたくて…。だからこそ、今年最初に会えた人が、風早だということが嬉しい。

その嬉しさを友達に伝えたくて、最後の「ありがとう」が短いけれども、こういう状況にしてくれて、協力してくれたことに対して理解して、そして、感謝しきれないくらいに、心では感謝をしたいんだろう。

だけど、あまり、ケータイメールを打つのが早くない爽子にとっては、この風早と一緒にいる一瞬一瞬を大事にしたい。だからこそ、風早に許可をとった。

風早にとっては別に長くなっても構わない。一緒にいられるだけでいい。そんなことより、爽子へのメールを他の誰かに一番をとられたことが悲しい。

だけど、そう簡単に独り占めできるものでもない。ただの友達なんだから。一方的な片想いなんだと思っているとなおさら…。

段々回を重ねる毎にわかってきたけど、風早は爽子以外の部分では、結構、うまくやっているけど、爽子が絡むと、どうしても独占欲が強くなったり、本当に爽子にとっての一番になれるかが不安なんだと思う。


その不安な気持ちをおこがましいという爽子の言葉がさりげなく気持ちを否定しているようで、そこにまた不安が重なっていく。だからこそ、前に進もうと思っても進まない。そのじれったさ。

風早はそのじれったさに満足はしていないんだと思う。爽子の謙遜さは時に人を傷つける要素にもなりえる。それは爽子を好きでたまらない人にとって、自分は拒絶されているんだと…そう勘違いするくらいに。

なので、少しでも行動で示す。さりげない仕草、ちょっとした優しさ。黙っていても伝わる、その配慮。滑りやすい石段で手を差し伸べたときに、爽子は一瞬、躊躇した。だけど、風早の気持ちに根負けした。

それだけ、爽子のことを想っている。これだけはわかって欲しい。そんな手の差し伸べ方でした。このカップルの場合は、当たり前が当たり前じゃなくなっているんですよね。爽子は未だに遠い存在だと思っているし…。


私は今回の件では矢野の気持ちに心うたれましたね。この子は自分の幸せを願っているけど、他人の幸せの方が嬉しいと、そう感じられるタイプだと今になって気づきました。

だって、風早と爽子、龍と吉田。新年早々5人組の中で一人になることの寂しさ。その寂しさをもろともせず、風早と爽子がうまくいっていることに心から満足する。

吉田とも離れてしまったし、恋に燃える女である矢野が独り身であることに、悲しさや悔しさといった感情がなかった。別にそんなことはどうでもいいみたいな感じで、悲しさを背中に感じない。

で、矢野にナンパしてきた二人組。ここで独り身で寂しいと感じたなら、少しは遊んであげて、大勢になり寂しさを紛らわそうとするかも知れません。

コンビニで遠藤さんたちを誘った男子たちと同じ気持ちで、ほんのちょっとしたきっかけに縋るかも知れない。

一人でいるより、大勢でいる方が楽しいものね。だけど、きっぱりと断った。そこに迷いは微塵も感じられなかった。

そんな所に矢野の成長を感じられるんだ。爽子や吉田に注目しがちだけど、こういった縁の下の力持ちである矢野の努力も見てもらいたい。（見た目は派手だけどねｗ）

とまあ、全キャラが幸せを感じつつ、誰もが悪意を持っていないキャラばかりで、心が清らかになっていくのを感じました。やっぱり、この作品は他の恋愛ドラマとは一味違った雰囲気を見せつけました。

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