もやしもん―TALES OF AGRICULTURE (1) (イブニングKC (106))
posted with amazlet at 08.10.29
石川 雅之
講談社
講談社
評点
面:5 オタ:5 パロ:2 共:5 痛:3 萌:2 燃:2
あらすじは、東京の農大に入ったばかりの新入学生、沢木惣右衛門直保(名前が長いw)が、変わった仲間と過ごす学園ドラマ風な作品。この主人公はちょっと人と変わっていて、菌が見える体質。
この菌が見た目、またかわいいんだ。菌というと、目には見えないくらい小さくて、顕微鏡でのぞくと、いびつな形をしていて、なんか気持ち悪い存在。でも、直保が見ている菌は丸っこくて、ふにゃふにゃしていて、かなり愛着が持てるキャラクターに見える。それでもって菌ごとに性格に合ったキャラ付けや見た目をしていて、語尾に「ござる」をつけたり、「かもすぞ」とか話しかけてくるので、より一層、菌に愛着が持てる。
菌については、良い菌と悪い菌、たとえば、乳酸菌とかピロリ菌とが聞いたことがあるくらいで、普段、全然気にかけないんだけど、これを読むと、日常生活を過ごす上で菌が役に立っていたり、そこら中にいる存在なのだと、豆知識的なエピソードが多分に含まれているのも面白いポイント。
大量の菌を書いたり、その菌が話していたりと、細かい部分には気を使う作者なのに、4話くらいまで、タイトルがころころ変わる大雑把さも合ったりで、この作品がどの方向に向かっているのかがわからなかったりもしたけど、中盤から直保の菌が見える使い道について、焦点が定まって、それを悪用というか金に変えようとする美里と川浜 対 持っている知識を存分に披露しているけど、何を考えているかわからない樹教授との取り合いの図はこれからも面白くなっていくであろう展開が予想される。
オタク度は農学として変わった意味でのオタクっぽさは最大級。3億円もする顕微鏡を使っている最新の研究という格好良い響きの裏で、牛の肛門に手を突っ込んだり、アザラシのお腹に海鳥をつめ、それを肛門からすすって食べたりと、これは本当に好きでないとできない。臭さと汚さでいえば、結構引いてしまうレベルかも知れないけど、勉強になる。
共感という意味では、美里と川浜が良い味を出している。一般人に一番近い存在。でも、酒と金のことしか頭にない一見ダメな学生、に見える彼らだが、結構知識は持っているので、感心してしまう。ムダ知識も使いようだな、と思う。
見た限りじゃ、痛さも萌えも燃えもないと思う。それだけオタク度(農学という知識)に特化した正統派作品だと思う。