あぁ、初めて祐希を可愛いと思ってしまった。彼の気持ちは周りの視聴者に比べて痛いほどにわかっているつもりでいたけれど、まだ全然わかっていなかった。
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色恋沙汰とかスポーツとか、青春の一ページとして思い出を作りたいとは微塵も思っていない彼としてはやっぱり食堂のシンデレラに対しては意識してしまうんですね。ある程度の距離感を置きながら、知り合い程度の付き合いかと思っていた。
だけど、シールの競い合いから会話を重ねていくうちに何だか彼にとって特別な人になってしまったようで、モテるのは悠太だけど、顔もクリソツだから、外見目当て(もしかしたら、好きな人にとって悠太も祐希も同じようなものだと思っているかもしれない。彼氏が格好良ければ内面はどうでもいいとか、そんな思考)で狙ってくる人がいるだろう。
だから、女性への耐性は出来ているだろうし、それで噂になろうと我関せずを保って、別に気にせずマイペースを貫くと思うのですよね。
だから、シンデレラに腕を触られたりした時の反応が面白かった。憎まれ口を叩いているけれど、それはお互いでその言葉でスキンシップが出来るのだから、かなり相性がいいと思う。
そんな彼女だからこそ、いつも通りの浅羽祐希でいられて、ちょっとの変化でいつも通りが崩れてしまう。彼のペースがいつの間にか彼女のペースになっている。
そんなイニシアチブを握られて、そのことを意識し始めたという一面はなんだか可愛い。シールを張っている所を回りに見られたくない。
それは彼自身の照れもあるだろうけれど、自分と彼女が良い関係にあるということが広まってしまうことを恐れていたのかもしれない。自分は気にしないたちだけど、彼女は気にするかもしれない。そんな所に少しの優しさが見え隠れするんですよね。
だからこそ、離れてしまうのが恐かった。なんだか別れを経験するのは千鶴の件もあるし、やっぱり慣れない。どこかでまた会えるかもしれない。だけど、その再会は生徒と食堂のシンデレラとしてではなく、知り合いとして、それ以下でもそれ以上でもない。
それが祐希にとって悔しいんですよね。もう少し、仲良く出来るなら仲良くしておきたかった。それは後悔にも似た気持ちだと思いますが、その現実を直視したくないということで、一人になることを選ぶ祐希はやっぱり弱い。支えてくれる仲間がこれだけいるのだから、そのことを打ち明けて、相談にのってもらえばいいと思うのですが、これは彼にとっては言葉に出してしまうことが嫌だという気持ちがわかります。
言葉に出して相談に乗ってもらって、最終的には諦める結論は変わらないと思う。それに言葉に出してしまうと、そのことで何か気持ちが楽になるかもしれない。そして、忘れられるかもしれない。だけど、忘れたくはない。
それだったら、その言葉は胸の内にしまっておいて、自分だけのものとして語ることなくいつまでも心の中で彼女を感じていたいと願ってしまう祐希のピュアさを感じました。
祐希にとって彼女は特別な存在になりつつあっただけに、いなくなることを早くに教えてもらいたかった。だけど、それは知り合い以上の関係を築けなかった自分のせいでもあるので、その悔しさをどこにぶつけていいのかわからなかったと思います。
だけど、祐希が偉いと思ったのはただ現実から逃げているのではなく、最初から最後まで彼女のためを考えて行動している部分だと思います。シンデレラは祐希が食堂にこないことを気にして困っていたけれど、そのことを承知で食堂に行かなかった。
シールで始まった関係はシールで終わらせたい。そこから進展することはないだけに、ピリオドは自分で打って、そのことで彼女が気を病まないように気をつけていたと思います。
離れてしまっても、時々は思い出して欲しい。それは皿のことだったけれど、祐希自身がシールの4点のパンをきっかけに彼女のことを思い出したように、その皿を時々使うとしたら、やっぱり祐希のことを思い出してくれると信じているのでしょう。
別に彼女が自分のことを思い出すのを強制しているわけではなく、皿を使ってもいつかは思い出さなくなるだろうし、祐希もそれでいいと思っているのだと。
そんな一期一会だったけれど、そのシールと皿というモノだけでなく、いつも気にかけてくれた食堂のシンデレラと祐希という学校の王子様の物語はいつかは忘れてしまうものだけれど、それはお互いにとってプラスとなる結末を迎えそうで、なんだか涙ホロリとなりました。
それに祐希は人のことには無関心で、結構自分のために動いていることが多いんですよね。アニメージュ買うために悠太まで連れていくし、先輩からのバスケの勧誘も、その先輩のために動くのではなく、あくまでシールを持っている先輩としてしか認識出来ていないのだと思います。
だから、その先輩が名乗ったとしても、祐希の中では一瞬で忘れているんだと思うと、バスケ先輩が可哀想すぎます(といいつつも、私も覚えていないというw)。で、そのバスケ先輩を利用するための賭けがいいですよね。
祐希は勝つとわかっていても、負けたときはバスケ部入部ということで祐希自身に影響が及ぶ。祐希の性格だから、知らず存ぜずで済ます予定かも知れないけれど、それだけシンデレラのために尽くしたかった。
部活で汗を流して勝利を目指し頑張って青春の喜びを満喫するのではなく、シンデレラのために何かをしている自分の方が性に合っているし、その方が青春の喜びを感じられると思った。
だから、その別れるときの話せる時間は出来るだけ多く取っておきたいからこそ、本気の本気を出した。まあ、それがスーパープレイというか奇跡というか、そんなことを見せちゃうとますます勧誘がひどくなるようなことをやってしまいましたが、そんな先のことよりも目先のことを大事にした。
無駄な時間を浪費するのではなく、彼女との時間を出来るだけ多くしたいからこそ、苛立ってすぐに勝負を終わらせた。
で、気持ちを伝えることが最後まで出来なかった祐希が格好良過ぎます。普通は逆なんですけどね。勇気を振り絞って最後に告白して振られるか承諾されるかして、ラストを迎えると美しいし、カッコヨさも感じてしまう。
だけど、ここは祐希の気持ちを伝えることで彼女を困らせたくないという部分が強いし、彼女自身は新しい一歩を踏み出そうとしている。そんな前向きな姿勢に水を差したくない。
彼女の一番の幸せを願うなら、自分の気持ちを押し殺しても彼女の将来を考えて応援するのが祐希らしいですよね。憎ったらしい言葉でやりとりをしていたけれど、せめて最後だけは寂しいという気持ちをいじらしく言葉にして伝えたかった。そこが祐希の人としての成長でもあると思います。
その言葉が「お皿使ってください。たまにでいいですから」。別にこの言葉を言わなくても、彼女は使ったと思いますよ。可愛い柄で気に入っているし、それが学校で働いていたときの思い出にもなるし、憎まれ口を叩く子のプレゼントでもあるしね。
だけど、彼女の口から「使う」という言葉が聞きたかった。もしかしたら、引っ越しの際にそこら辺において間違ってゴミとして処理されてしまうかもしれない。使われないかもしれない。食器棚の奥に眠ってしまうかもしれない。
そんな不安が祐希の頭の中を巡ってしまって、声ではなくマフラーを引っ張って無理矢理止まらせた。それだけ彼が彼女にご執心であるという証拠でもあるし、不器用な証拠でもあります。
だけど、すごく人間っぽいじゃないですか。常に無表情に近いので感情が読みにくい彼の中にあって、一番感情をあらわにした場面だったと思います。
あと、髪の毛の部分が一番気になりました。髪は女の命なんだから、気軽に触ってはダメというのは常識ですが、その常識が彼女に通用するかというとそうでもなさそうなんですよね。いつもボサボサであまり気にしていないように見えます。
だけど、千鶴が触ろうとした時に叱った。周りの女性と同じく髪を大事にしているという彼女なりの価値観を確認した場面だったと思います。なら、学校にいる間はなぜボサボサなのか?
髪の毛を普通の女性以上に気にするような職の美容師であった彼女なんだから、ボサボサは許せないと思うんです。だけど、あえてボサボサにしているのは、髪の毛を手入れすると美容師だった頃を思い出して、今の食堂での仕事が嫌になってしまいそうだからだと思います。
ボサボサであることで美容師の未練をなくしてしまおうと思ったのかもしれない。また戻りたいと思わないように。実家で母親に甘えながらもそんな生活もいいと思っていたと思うんです。
だけど、やっぱり自分の夢にまた挑戦したくなってきた。それは食堂でのパートで祐希たち生徒と話しながら、心に余裕ができたせいだと思います。時が流れると共に、再挑戦するなら年も考えて今しかないと思い始めた。
だけど、やっぱり母親のことが心配になってしまう。娘を心配する母親が心配になってしまう。だけど、やっぱり、それは甘えではなく、帰れる場所があるということを娘に伝えたかった母親の親心だと思います。
弱音をはいて、叱咤激励して頑張れという母親よりも、それだったら、戻ってきて元気な顔を見せて欲しいというのが親心だと思います。でも、それが娘にとっては甘えに見えてしまう。なんだか難しいですね。
そんな親子愛と夢という美しい話を最後まで聞いてあげてそれを肯定して、その優しさに甘えるのも、挑戦するのもいいことで、別に悪いことなんかない。落ちこぼれてはいない。それが人生なんだから。
なんて、達観したような言葉で年上を励ますのもなんだか気が引ける。だから、母親はもしかしたらそれほど気にしていないかもしれないので、深く考えないで気楽に頑張って自分の夢に挑戦して欲しいという願いを伝えた。
彼女の返答からすると少しは気が楽になったっぽいので、これで終われば良かったけれど、年下へのアドバイスに出会いはともかく別れもこれからというのは結構辛い。
今現時点で別れを経験しているのだから。それがこれからどんどん増えていく。それに耐性をつけた方がいいのか。この寂しい気持ちはいつまでも続いてしまうのか。それが祐希の気持ちを慮ると悲しくてね。
だけど、祐希は一歩進めた。彼女に別れの言葉を言えた。それだけでもその別れは祐希にとっては意味あるものであったし、いつまでも彼女のことを忘れないだろう祐希を考えると、なんだか切なくなってきます。
それぐらい良い話で終わって、寂しいけれど彼女の将来を考えるとこの別れは喜びにならないといけないわけで、なんだか諸手を上げて祝福したいという気持ちにならないけれど、なんだか見終わったあとは心温まるお話で、切なくも自分も何かを見つけて、彼女みたいに強くなっていきたいと感じました。
それと、きっと彼女は祐希の気持ちはある程度気付いていたと思います。だけど、自分みたいなおばさんになってしまって道を一度踏み外した人よりも、祐希にはもっと良い人が現れるんだと確信していたんだと思います。
だから、別れ以上に「出会い」も含めた。その「出会い」によって、自分よりももっと素敵な女性を見つけて頑張ってねというエールだと思います。そういう意味では彼女もすごく魅力的な女性だなぁ、と改めて実感しました。ここで別れて出番がなくなってしまうのが惜しいくらいに悲しくなってきます。
色恋沙汰とかスポーツとか、青春の一ページとして思い出を作りたいとは微塵も思っていない彼としてはやっぱり食堂のシンデレラに対しては意識してしまうんですね。ある程度の距離感を置きながら、知り合い程度の付き合いかと思っていた。
祐希と食堂のシンデレラとの日常
だけど、シールの競い合いから会話を重ねていくうちに何だか彼にとって特別な人になってしまったようで、モテるのは悠太だけど、顔もクリソツだから、外見目当て(もしかしたら、好きな人にとって悠太も祐希も同じようなものだと思っているかもしれない。彼氏が格好良ければ内面はどうでもいいとか、そんな思考)で狙ってくる人がいるだろう。
だから、女性への耐性は出来ているだろうし、それで噂になろうと我関せずを保って、別に気にせずマイペースを貫くと思うのですよね。
だから、シンデレラに腕を触られたりした時の反応が面白かった。憎まれ口を叩いているけれど、それはお互いでその言葉でスキンシップが出来るのだから、かなり相性がいいと思う。
そんな彼女だからこそ、いつも通りの浅羽祐希でいられて、ちょっとの変化でいつも通りが崩れてしまう。彼のペースがいつの間にか彼女のペースになっている。
そんなイニシアチブを握られて、そのことを意識し始めたという一面はなんだか可愛い。シールを張っている所を回りに見られたくない。
それは彼自身の照れもあるだろうけれど、自分と彼女が良い関係にあるということが広まってしまうことを恐れていたのかもしれない。自分は気にしないたちだけど、彼女は気にするかもしれない。そんな所に少しの優しさが見え隠れするんですよね。
祐希にとっての別れの悲しさ
だからこそ、離れてしまうのが恐かった。なんだか別れを経験するのは千鶴の件もあるし、やっぱり慣れない。どこかでまた会えるかもしれない。だけど、その再会は生徒と食堂のシンデレラとしてではなく、知り合いとして、それ以下でもそれ以上でもない。
それが祐希にとって悔しいんですよね。もう少し、仲良く出来るなら仲良くしておきたかった。それは後悔にも似た気持ちだと思いますが、その現実を直視したくないということで、一人になることを選ぶ祐希はやっぱり弱い。支えてくれる仲間がこれだけいるのだから、そのことを打ち明けて、相談にのってもらえばいいと思うのですが、これは彼にとっては言葉に出してしまうことが嫌だという気持ちがわかります。
言葉に出して相談に乗ってもらって、最終的には諦める結論は変わらないと思う。それに言葉に出してしまうと、そのことで何か気持ちが楽になるかもしれない。そして、忘れられるかもしれない。だけど、忘れたくはない。
それだったら、その言葉は胸の内にしまっておいて、自分だけのものとして語ることなくいつまでも心の中で彼女を感じていたいと願ってしまう祐希のピュアさを感じました。
ピリオドは自分で打つ
祐希にとって彼女は特別な存在になりつつあっただけに、いなくなることを早くに教えてもらいたかった。だけど、それは知り合い以上の関係を築けなかった自分のせいでもあるので、その悔しさをどこにぶつけていいのかわからなかったと思います。
だけど、祐希が偉いと思ったのはただ現実から逃げているのではなく、最初から最後まで彼女のためを考えて行動している部分だと思います。シンデレラは祐希が食堂にこないことを気にして困っていたけれど、そのことを承知で食堂に行かなかった。
シールで始まった関係はシールで終わらせたい。そこから進展することはないだけに、ピリオドは自分で打って、そのことで彼女が気を病まないように気をつけていたと思います。
離れてしまっても、時々は思い出して欲しい。それは皿のことだったけれど、祐希自身がシールの4点のパンをきっかけに彼女のことを思い出したように、その皿を時々使うとしたら、やっぱり祐希のことを思い出してくれると信じているのでしょう。
別に彼女が自分のことを思い出すのを強制しているわけではなく、皿を使ってもいつかは思い出さなくなるだろうし、祐希もそれでいいと思っているのだと。
そんな一期一会だったけれど、そのシールと皿というモノだけでなく、いつも気にかけてくれた食堂のシンデレラと祐希という学校の王子様の物語はいつかは忘れてしまうものだけれど、それはお互いにとってプラスとなる結末を迎えそうで、なんだか涙ホロリとなりました。
バスケは祐希にとって別れの花束と一緒で添えるだけ
それに祐希は人のことには無関心で、結構自分のために動いていることが多いんですよね。アニメージュ買うために悠太まで連れていくし、先輩からのバスケの勧誘も、その先輩のために動くのではなく、あくまでシールを持っている先輩としてしか認識出来ていないのだと思います。
だから、その先輩が名乗ったとしても、祐希の中では一瞬で忘れているんだと思うと、バスケ先輩が可哀想すぎます(といいつつも、私も覚えていないというw)。で、そのバスケ先輩を利用するための賭けがいいですよね。
祐希は勝つとわかっていても、負けたときはバスケ部入部ということで祐希自身に影響が及ぶ。祐希の性格だから、知らず存ぜずで済ます予定かも知れないけれど、それだけシンデレラのために尽くしたかった。
部活で汗を流して勝利を目指し頑張って青春の喜びを満喫するのではなく、シンデレラのために何かをしている自分の方が性に合っているし、その方が青春の喜びを感じられると思った。
だから、その別れるときの話せる時間は出来るだけ多く取っておきたいからこそ、本気の本気を出した。まあ、それがスーパープレイというか奇跡というか、そんなことを見せちゃうとますます勧誘がひどくなるようなことをやってしまいましたが、そんな先のことよりも目先のことを大事にした。
無駄な時間を浪費するのではなく、彼女との時間を出来るだけ多くしたいからこそ、苛立ってすぐに勝負を終わらせた。
告白はいつかまた違う人に……
で、気持ちを伝えることが最後まで出来なかった祐希が格好良過ぎます。普通は逆なんですけどね。勇気を振り絞って最後に告白して振られるか承諾されるかして、ラストを迎えると美しいし、カッコヨさも感じてしまう。
だけど、ここは祐希の気持ちを伝えることで彼女を困らせたくないという部分が強いし、彼女自身は新しい一歩を踏み出そうとしている。そんな前向きな姿勢に水を差したくない。
彼女の一番の幸せを願うなら、自分の気持ちを押し殺しても彼女の将来を考えて応援するのが祐希らしいですよね。憎ったらしい言葉でやりとりをしていたけれど、せめて最後だけは寂しいという気持ちをいじらしく言葉にして伝えたかった。そこが祐希の人としての成長でもあると思います。
その言葉が「お皿使ってください。たまにでいいですから」。別にこの言葉を言わなくても、彼女は使ったと思いますよ。可愛い柄で気に入っているし、それが学校で働いていたときの思い出にもなるし、憎まれ口を叩く子のプレゼントでもあるしね。
だけど、彼女の口から「使う」という言葉が聞きたかった。もしかしたら、引っ越しの際にそこら辺において間違ってゴミとして処理されてしまうかもしれない。使われないかもしれない。食器棚の奥に眠ってしまうかもしれない。
そんな不安が祐希の頭の中を巡ってしまって、声ではなくマフラーを引っ張って無理矢理止まらせた。それだけ彼が彼女にご執心であるという証拠でもあるし、不器用な証拠でもあります。
だけど、すごく人間っぽいじゃないですか。常に無表情に近いので感情が読みにくい彼の中にあって、一番感情をあらわにした場面だったと思います。
髪の毛がボサボサだった理由の推測
あと、髪の毛の部分が一番気になりました。髪は女の命なんだから、気軽に触ってはダメというのは常識ですが、その常識が彼女に通用するかというとそうでもなさそうなんですよね。いつもボサボサであまり気にしていないように見えます。
だけど、千鶴が触ろうとした時に叱った。周りの女性と同じく髪を大事にしているという彼女なりの価値観を確認した場面だったと思います。なら、学校にいる間はなぜボサボサなのか?
髪の毛を普通の女性以上に気にするような職の美容師であった彼女なんだから、ボサボサは許せないと思うんです。だけど、あえてボサボサにしているのは、髪の毛を手入れすると美容師だった頃を思い出して、今の食堂での仕事が嫌になってしまいそうだからだと思います。
ボサボサであることで美容師の未練をなくしてしまおうと思ったのかもしれない。また戻りたいと思わないように。実家で母親に甘えながらもそんな生活もいいと思っていたと思うんです。
だけど、やっぱり自分の夢にまた挑戦したくなってきた。それは食堂でのパートで祐希たち生徒と話しながら、心に余裕ができたせいだと思います。時が流れると共に、再挑戦するなら年も考えて今しかないと思い始めた。
だけど、やっぱり母親のことが心配になってしまう。娘を心配する母親が心配になってしまう。だけど、やっぱり、それは甘えではなく、帰れる場所があるということを娘に伝えたかった母親の親心だと思います。
弱音をはいて、叱咤激励して頑張れという母親よりも、それだったら、戻ってきて元気な顔を見せて欲しいというのが親心だと思います。でも、それが娘にとっては甘えに見えてしまう。なんだか難しいですね。
そんな親子愛と夢という美しい話を最後まで聞いてあげてそれを肯定して、その優しさに甘えるのも、挑戦するのもいいことで、別に悪いことなんかない。落ちこぼれてはいない。それが人生なんだから。
なんて、達観したような言葉で年上を励ますのもなんだか気が引ける。だから、母親はもしかしたらそれほど気にしていないかもしれないので、深く考えないで気楽に頑張って自分の夢に挑戦して欲しいという願いを伝えた。
彼女の返答からすると少しは気が楽になったっぽいので、これで終われば良かったけれど、年下へのアドバイスに出会いはともかく別れもこれからというのは結構辛い。
今現時点で別れを経験しているのだから。それがこれからどんどん増えていく。それに耐性をつけた方がいいのか。この寂しい気持ちはいつまでも続いてしまうのか。それが祐希の気持ちを慮ると悲しくてね。
だけど、祐希は一歩進めた。彼女に別れの言葉を言えた。それだけでもその別れは祐希にとっては意味あるものであったし、いつまでも彼女のことを忘れないだろう祐希を考えると、なんだか切なくなってきます。
どこまで祐希の気持ちを彼女は知っていたのだろう?
それぐらい良い話で終わって、寂しいけれど彼女の将来を考えるとこの別れは喜びにならないといけないわけで、なんだか諸手を上げて祝福したいという気持ちにならないけれど、なんだか見終わったあとは心温まるお話で、切なくも自分も何かを見つけて、彼女みたいに強くなっていきたいと感じました。
それと、きっと彼女は祐希の気持ちはある程度気付いていたと思います。だけど、自分みたいなおばさんになってしまって道を一度踏み外した人よりも、祐希にはもっと良い人が現れるんだと確信していたんだと思います。
だから、別れ以上に「出会い」も含めた。その「出会い」によって、自分よりももっと素敵な女性を見つけて頑張ってねというエールだと思います。そういう意味では彼女もすごく魅力的な女性だなぁ、と改めて実感しました。ここで別れて出番がなくなってしまうのが惜しいくらいに悲しくなってきます。
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