サッカーマンガ? いいえ、青春マンガです
と、副題に書いてしまいましたけど、サッカーマンガとしての完成度は他の追随を許さないぐらいに群を抜いていると思える素晴らしい内容でした。
サッカーマンガなら「GIANT KILLING」が有名ですけれど、こちらもそういった本格派で攻めてきています。サッカー理論はわかりやすく説明しながらも、押し付けがましくないアプローチの仕方が上手い。
そんな本格派でありながらも、女子であることに引け目を感じつつ、頑張っている主人公の恩田の姿を見るだけで自然とサッカーをしたいと思える衝動にかられてしまいます。
一人のサッカー少女としてではなく、一人の選手としての憧れと感動を覚えるほどに興奮する展開と見せ場が用意されていて、2巻では終始、鳥肌モノでした。1巻は2巻のためにある。そんな感じで完結する納得のいく重厚なストーリー。
はたして、女子が男子に勝てないのはフィジカルのせいなのか?
女子はフィジカルで男子に勝てない。ただ、それだけのメッセージのために描かれたわけではないことは伝えたい。結論はそうなってしまうのかも知れないけれど、それ以外の何かをこの作品からは色々と感じ取ることが出来た。可能性は無限大。
青春の一ページとなるだけでなく、人としての成長、身体面での成長、色々な成長期を迎える中学生としての姿を、ありのままに描き出した等身大の恩田の姿が何とも愛おしい。
悔しい、歯がゆい。そんな気分と闘いながらベンチで見守っていた恩田が何を考え何を求めるのか、最後までわからない。絶妙な爽快感とダイナミックなシーンの連続。そして、ピッチでの鼓動を感じられるような輝いている表情と汗。
こんなマンガに出会えて本当に良かった。サッカー好きの人もサッカー嫌いの人にもオススメできる素晴らしい作品でした。この作者はずっと追いかけてみたい。それくらいに作品の虜にさせる程の最高の出来でした。