天体のメソッド0681

「今更何をしに戻ってきたの?」


汐音と乃々香のすれ違い。思いも心も行動も。バスの乗り換えですれ違ったのは偶然だけれど、その偶然が意図的に起こったのではないかと勘違いしそうなほどになかなか二人きりの状況を作れない。

乃々香と二人きりになれば汐音が抱えている問題について聞き出せるかもしれないのに。柚季とは違って素直になれないわけでなく問題はいつでも乃々香にあると考えている汐音に問題があるわけで、そのことを自覚していないからこそややこしい。

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遠回りでも学芸祭でのプラネタリウムをきっかけに何らかの心変わりがあればいいと時と場所の変化で彼女を促していく。

それにいつでも7年前と同じ乃々香たち5人での思い出の共有を継続していこうとする姿勢が柚季やこはるたちに見れてこの連携が素晴らしい。

相変わらずこはるは勧誘に不器用だから誰かがサポートして何とか汐音を誘う姿はこの5人で出来る事出来ないことを補完し合える関係なのではないかと。

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そして、乃々香にとって汐音は母親を通して友達になった人。汐音が乃々香やこはるたちと学校が違うことが明らかになったけど、今では乃々香との付き合いを途絶しようとする彼女にとってはその乃々香経由で友達になった他のこはるや柚季や湊太は乃々香を思い出す要員でしかないということが悲しい。会ったばかりで素性もほとんど知らないノエルの方が友達に一番近いのは皮肉なものです。

7年前の乃々香が頑張って5人の輪を作ったのに今では4人の輪になっている。そこに汐音を加えようと乃々香たちは必死になるけれど、離れていく人は仕方ないし、学校も一緒じゃなかったし、ああいう性格だし…と自分を納得させる言い訳は一杯思いつく。それでも乃々香たちの諦めないところに愛を感じます。

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それと、7年前の乃々香がノエルに残した伝言。一緒に流星群を見ようね。「すぐに」戻ってくるから。その「すぐに」の捉え方がノエルと汐音で全く違うのが面白い。

ノエルにとっては「すぐに」が何ヶ月か先でも何年先でも覚えている限りすぐに戻ってくればそれは彼女にとっての「すぐに」。円盤だと地球と時間の感覚が違うのかもしれない。

汐音にとっては「すぐに」はもうすぐにでも今夜か明日にでも戻ってくると思っていたわけで、それが何年かあとになっているころには「すぐに」の言葉はとっくに去っているわけで、7年後に戻ってくるのならばそう告げて欲しい。何年も会えないとわかっているならそれを言葉として残して欲しい。ノエルを通して期待させるだけさせておいて乃々香への信頼は全て失ってしまったわけです。

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しかも、面と向かってさよならも言ってくれないほどに蔑ろにされて、今までの友情は嘘だったかのような錯覚を植え付けてしまったわけで、なるほど、汐音が乃々香をそこまで恨んでいる理由がようやくわかりました。

言葉というのは難しいものですね。ここで乃々香がノエルに「すぐに」と伝えておかなかければ、いや、ノエル伝てに頼まなければというIFの世界で考えてしまいがちですが、それを今更考えても仕方ないわけでそんな状況がわかった今、乃々香がなんとかわかってもらおうと汐音にアタックする姿が今になって泣けてきます。

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で、「今更何をしに戻ってきたの?」ですよ。こういう展開嫌いじゃないです。乃々香の対応によっては汐音にとっても乃々香にとってもお互い傷口を広げるようなことにしかならないわけですが、これが汐音の信じることなんでしょうね。

信じることが恐いのは乃々香も同じで、ある程度お互いわかりあえてきた気がしたのに、汐音の口からまた同じようなことを聞くというのはまだ全然わかりあえていなかったんじゃ?と考えてもおかしくない。

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それでも、乃々香は汐音がそんな人間じゃないことを信じて、言葉の刃の恐ろしさに打ち勝った。同じく汐音も乃々香なら心からの言葉で今度は返してくれると乃々香を信じて同じ言葉でやり直しの機会を与える。

今の乃々香なら大丈夫という信頼。このやりとりだけでも泣けてくるのに、乃々香が流星群を見たいということは忘れずに胸のうちに秘め続けていたということ。

それでも、5人で過ごした日々を忘れていたというマイナスな側面もはらんでいながら。母親が亡くなったことでこの町での出来事を忘れたい、忘れていた、忘れないと辛い。そのことを前回のお墓参りで柚季たちに話したことを汐音は知らないわけです。


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だから、柚季たちのことを忘れていたという事実の背景にある乃々香の辛さは汐音にとってわからないことで、流星群のことを覚えていようが、他のことを忘れていたことに突っ込んで友情の尊さや儚さを憂いてしまっても構わないわけです。

それでも、何よりも大事なことが「何をしに戻ってきたの?」の答えなんですよね。7年前と同じように柚季たちと遊びたい。一緒に仲良くしたい。それだけでも十分なんですが、昔のことを忘れていた乃々香にとっては後付けでしかない。

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ようやくノエルや柚季によって過去の記憶が呼び覚ましてきたけれど、この町に戻ってきた理由にはならない。それに実際父親の行動が理由なわけだから、乃々香の願いで戻ってきたわけではない。

だからこそ、乃々香は汐音が戻ってきた理由を問うた時に皮肉を言って嫌われているだけだと思ってきたわけだし。その汐音の意味に気付いた今だからこそ、約束を忘れていないことに気づいて欲しかった。

いや、汐音は流星群というワードを前回伝えているだけに乃々香が気づいていることに気づいていたと思います。それを言葉にして言って欲しかった。

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汐音と一緒に流星群を見たいって。

そして、大切な友達であることを…。

その言葉を待っていたとばかりに乃々香に抱きつく汐音。

天体のメソッド0698
「ごめんね」と素直に謝ってもう一度、友達を一からスタートしてようやく自分の殻を破ることが出来ました。

が、また展開ががが。どうなるんだ、この後……。