涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)
谷川 流
角川書店
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世界観

[日常][恋愛][SF][学園][コメディ][シリアス]

あらすじ

校内一の変人・涼宮ハルヒが結成したSOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)。ただ者でない団員を従えた彼女には、本人も知らない重大な秘密があった!?第8回スニーカー大賞〈大賞〉受賞作登場!

短文感想(ネタバレなし)


ハルヒはラノベの金字塔を立てたと思うんですよね。京アニの力も強いけれど、このラノベは句点をあまり使わないため、非常に読みにくいのですが、それが逆にシーンの切り替えの早さやアクションの疾走感などが半端無く面白い文体となっています。

ハルヒについては語る部分がないのですが、やっぱり、この作品のテーマは、世の中は自分たちが考えているよりも面白いという部分で、平凡な毎日を過ごして人生を終えるよりも、何か楽しいこと、それがハルヒにとっては人とは違うだけで、そこで世の中をもっと面白くしたいというエンターテイナーとしても活躍しているんですよね。

キョンにとっては迷惑きわまりないけれど、ハルヒが起こす迷惑に付き合うほどにキョン自身も成長して考えを改めていく成長物語でもあるんですよね。全てを全て詰め込んだわけではなく、テーマを絞っているからこそ、シンプルでありながらも複雑な背景から収束する物語が最高のカタルシスを得られるわけです。

そこから何か穿った見方をするよりも、ハルヒが提供するエンターテイメントを受け入れ、そのハルヒイズムに乗って行きたいと思うほどに楽しく人生を生きて行きたいと感じさせる一作でした。