やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)
渡 航
小学館 (2011-03-18)
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世界観

[日常][恋愛][残念系][ぼっち][学園][コメディ][シリアス]

あらすじ

--青春は嘘で欺瞞だ。リア充爆発しろ!
ひねくれ者故に友達も彼女もいない高校生・八幡が生活指導の先生に連れてこられたのは、学園一の美少女・雪乃が所属する「奉仕部」だった。
さえない僕がひょんなことから美少女と出会ったはずなのに、どうしてもラブコメにならない残念どころか間違いだらけの青春模様が繰り広げられる。
俺の青春、どうしてこうなった?

短文感想(ネタバレなし)


前評判が良かったから気になってはいたんですよね。残念系として『僕は友達が少ない』と比べられてもそれなりに擁護する人もいて、逆にそれを上回るとしていた感じもあって全面的な戦争になりつつあったけれど、こっちは”ぼっち”系として話の展開的に似た感じはあるものの作品の切り分けは出来ているように感じました。

全体的にパロネタが多いです。幅広くどの年代にも対応した感じでかなり古い層も意識しているのかと思うくらいにストライクゾーンが広く、しかもかなりの数撃ちゃ当たる方式で他社ネタも積極的に使ったりしてそのパロは権利者的に大丈夫か?と思うくらいにパロネタのオンパレード。

その数に対抗するがごとくネットスラングを多用し、今の時代の2chをメインに見ている中高生にも受けるようにしてある、それをただ使うのではなく自ら生み出した名言として昇華させられるほどの実力をもっているからこそ侮れない。

基本的にボケは軽くツッコミに重点を置いています。メインヒロインがボケで主人公の八幡がツッコミで、大体八幡が3行ほどの弱音と強気が入り混じったツッコミが基本で、言葉に出してのツッコミは基本弱気でほぼ低姿勢が笑え、しかも内心でもツッコミを入れていてこちらは時々強気で口に出せないもどかしさで笑いを取りにかかります。

それにメインヒロインの雪ノ下雪乃の容赦ない八幡への罵りにぶれがない。結衣も含めてダブルヒロインのキャラ性の確立は上手い。

どちらも似たような他作品のキャラはいるけれど、オリジナリティがある要素を持ったヒロインで、雪乃は『化物語』の戦場ヶ原ひたぎに似ていますが、それは言葉の刃だけで基本的に”ぼっち”だからこそ、その特有の思考がある分、彼女にも心があるんだ(当たり前だけど)、と思える部分で心情描写の上手さも相まって絶妙なキャラとして引き立っています。

それに1Pに一つは笑いのネタを仕込んでいるし、会話と地の文の掛け合いのバランスがちょうどいい。それにテンポがいいのでさくさくと読めます。それにシリアスにも重きをおいてリアル性を出しつつ正論に対し、正論で返して真面目な議論のネタとして引っ張りだしていて色々な捉え方が出来ますが、エンターテイメントを重視しているからそれを度シリアスにはしない。

結論は八幡の思考の変化と変化させないことでの読者へのテーマの提示が主だから、変則的短編形式をとっているのですが落とさない所もなかなか挑戦的だと思っています。それぐらいに本編である中身が面白いんですよね。

分析すればするほど色々なことがわかる『俺ガイル』の可能性は無限大だといっていいのではないでしょうか。しかも、痛いのに楽しめる。”ぼっち”だからこそ寂しさを共有できる。その気持ちが伝わるからこそ、笑いと感動を提供できているのだと思って感心しました。