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声に出していいことと出してはいけないこと。それは梓と梓の前友達と月子と色々な思惑が交差して複雑な世界を形成していました。


何気に重たい話になってきた。ラブホとかそんな変態レベルじゃなくて真面目に考えないと、それこそ梓をいじめるような輩と同じような感じのノリになってきたので、私は変態さんを卒業します。

梓の沈んだドラマ


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と言って、そうそう人格は変われるものはないけどね。ネタ成分とシリアス成分の混合が良い具合にマッチしています。伏線という伏線やドラマらしいドラマはないかも知れないけれど、一つひとつの言動に意味があって、それが自然に見えるのがいいですよね。

今回だと梓の家に行くボーイフレンドなんて母親がそう簡単に娘の部屋までいくことを許さないだろうし、こうなる原因を楽観視しすぎている部分もある。

けれど、梓も梓の母親もそうでもしていないとやっていけないというか、人の心ってそう簡単に変わるものでもないし、心に刻まれた傷は痕跡として残る。

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そして、その古傷がまた痛み始めただけどと思うことで、現実にけりをつけられるんだと思います。一人になりたいときは誰にだってあるし、一人になってから段々と冷静さを取り戻せるかもしれない。そんな時に陽人が動いて、月子も動く。その二人の友達としての優しさが何となく嬉しいんですよね。

それほど喋ったわけでもないし、従僕みたいなものだし、梓の背景なんて陽人がそれほど知っているわけでもなく、ただデートしようと軽いノリで友達としての遊びを一度味わったくらいで何がわかるというのかという話になってくるわけなんですよね。だからこそ、最初は部屋に閉じこもって陽人を信頼していなかった。同じく月子も。

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だからこそ、陽人は動き出した。動くことで梓の心理や背景を知り、もっと梓の人となりを探ろうとする。そして、梓から本当の友達として認めてもらう。

それは男女関係としてではなく、梓と関わった友達として哀しむ人は見ていられないという建前に見える本音が陽人が見えるんですよね。ここで陽人はどう思ったのか視聴者は考えなくてもいいから、この主人公設定はわかりやすい。

そこから導き出される真実。いじるといじめって似ているよね。いじって遊ぶつもりが、いじめへ発展しただけの話。陽人は本音をズケズケ言うことに対し、彼女たちはただの冗談を本気にするほうが悪いみたいな感じで遊びという名の嘘で梓を責める。

本人のことを考えず、自分が楽しめればそれでいいみたいな。で、その嘘をつかれた方は騙されたーみたいな感じでのってくるような人かどうか。

純粋は罪?


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きっとその見極めが出来なかったのでしょうね。梓が純粋であるがゆえに、その純粋さはいじってからかって一緒に楽しんでいたという事実っぽい彼女たちの思い出として根付いている。

だからこそ、質が悪い。悪意がないというけれど、嘘はやっぱり悪意だ。そうなると本音を隠して言った建前も悪意に見えてしまう。

嘘に優しさがあるかどうかという部分に突っ込みたくなるのですが、やっぱり嘘は嘘で結果的に傷つけなくても、その嘘はまたどこかに伝播して勘違いと憎悪へのきっかけとなるかもしれない。そんな建前と冗談の嘘の部分での恐怖というのを見せつけられた気がします。

きっと嘘ついた方はいいかも知れないけれど、嘘つかれた方はどんな気持ちになるかという思いやりがその嘘を消してくれるのかも知れませんね。いつも本音で思いやりに満ちた人が一番いいんですよね。そこに建前が出来ない陽人が成長していったように感じます。

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梓をいじめた子たちと話したときも、修学旅行で嘘の北海道と本音の沖縄を冗談にして楽しんだ。そのことに対して、陽人はその子たちに本音で怒ることも出来た。出来たけれど、すぐに立ち去った。

そんな人たちに何を言っても無駄だということと、陽人が思いっきり首を突っ込んで梓を擁護して、彼女たちを責めるような言葉を吐けば、陽人に対してだけ向けられればいい矛先は必然と梓へと向かってしまう。

口論になって揉めたとして何の解決にもならないし、それで責められた彼女たちは今度は梓の男として梓を狙ってくるだろう。梓にとって重い嘘が些細だと思える冗談に見える彼女たちのことだから、梓のことを悪く言うだろう。

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その上、根も葉もないことを言ってくるだろう。まずは陽人みたいな軽い男をたぶらかせているみたいなことを悪く言うかもしれない。それは陽人の知らない所で梓へと噂として流れるかもしれない。

そんなことを懸念した陽人は賢明だからこそ、今は本音がつい出てしまうからこそ、彼女たちの前から消え去った。本音だけで彼女たちに接しても最悪な事態になることは陽人であっても気付くことが出来たというのが今回の大きなポイントだったと思います。そう考えるとシリアス面でもよく練られたストーリーだな、と感じます。

恋愛感情のない付き合い


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そして、もうひとつのポイントは恋愛感情で梓に付き合っていなかったことですよね。普通のラブコメなら本音状態なんだから、好きという感情は下心があって恋人として付き合って欲しいようなセリフを加えながら落としていきます。

ですが、ここに恋愛感情はないと本音しか話せない陽人の言葉は大きかったです。これだけフラグ立てまくって、これだけ梓に関わって、可愛いと思っているけれど恋愛感情はないと言える陽人は本当格好良いです。

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バーバラさんの話になるとそりゃ女の子がパジャマ姿で誰もいない丘の上ならエロ妄想の一つくらい出てしまいそうです。だけど、それは全くなかった。

それとは逆に、恋愛感情と女の子と近しい関係になりたいというわけではなく、純粋に梓を救いたかった。これが本当か嘘かなんて考えなくてもいい言葉だということが何とも言えない気分にさせます。

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弱くてすぐに涙を流す一人の少女として友達から始めたい。いや、始めたいというよりも恋愛関係抜きにしてもずっと友達として一緒にいたいと思えるほどに梓に惹かれている。弱さも何もかも含めて鼻水を出したりして可愛くなくたっていい。

そんな梓の真の性格を含めて認めたい、いや、その姿でいていいんだ。それが小豆梓で、それが魅力的なんだということがなんとも嬉しいですね。外見ではなく中身だけを見てくれる。

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そして、月子から梓への手紙に泣きそうになった。テンプレ的なのに何だか新しい。月子自身が感じる梓という目でも梓はやっぱり好きなんだ。

お互いでお互いのことを思いやれる関係になれるし、もっと一緒にいればお互い楽しいという感情があるんだという月子のメッセージ。別に悪いことはしていないけれど謝って下手に出る。きっと月子には梓に嫌われた理由がわからないんだと思う。

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何か変なことを口走ったとか変なことをしてしまったとか、月子自身が不器用だからこそ、どうしたらいいのかわからないんでしょうね。きっと、陽人と産婦人科の前でぶつかり合った時のことかもしれない。

それ以後のことかもしれない。だけど無理に聞くことはしない。きっと梓が嫌ったのなら、月子自身が悪いことをしてしまったという懺悔なんだと思う。だから、梓が何か言ってきたらその面を直す。代わりに友達にいてくださいという意図。それが月子にとっての幸せを意味するから。

月子の本当の夢、本当の思い


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こっからが月子ファンへのサービスタイムでした。Aパートで話が終わっちゃったけど大丈夫なのかと思いきや、そんな懸念を吹き飛ばすくらいの月子過去編です。美味しすぎて涙が出て来そうです。

てか、中学生の月子は陽人の顔を見ているから、丘の上で食べられそうになった時に気付いてもいいはずなのですが、それは月子の方からは絶対に言わないという約束があるから、言わなかっただけなんですね。

あのエロシーンがなんだか感動シーンへと変わってしまいました。私の月子でのエロ妄想が出来なくなってしまうくらいに驚かされる結末でした。

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月子自身、なんで変態さんにつきまとっているのか不思議だったし、ただの共同戦線でお互いの大切なモノを取り返すためにしてはあまりにも近すぎると思っていたんですよね。

その理由が今回判明して、ずっとそばにいるし、声も変わっていないし、体格も変わっていないはずなのに、顔を見ていないからあの時の月子と陽人は見分けられないんですよね。変態王子ならば、女性の体格だけで見分けるぐらいの才能はないといけないと思うのです。

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って、どうでもいいことを口走ってしまいました。月子の中学生の時の悩みが何気に重かった。梓と月子のダブルパンチでした。目指したい夢に向かって頑張ろうとしてもどうしても無理で、自分の顔を隠してまでも小さな子供と仲良くなって保育士になろうと努力しているのに何をやってもうまくいかない。

そして、仮面で顔を隠すという行為は自分を消すようなものなんですよね。個性というものはあるけれど、育てた子供たちから顔を覚えてもらえず、仲良くなってもすぐに子供の記憶に残らず消えたままなんですよね。だったら、誰がやっても同じ。

月子のアイデンティティの喪失です。それでも、保育士になる夢は諦められなかった。悪夢を見ようとも、夢に向かって立ち向かう精神にやられました。眩しすぎるよ、月子が。

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それに気付かない陽人がもどかしすぎる。鬼のお面まで持ってきて、ヒントまで出しているのに、それすらも覚えていないなんて、と月子の気持ちになって落胆してしまいます。

しかも、月子自身が淡々と喋るものだから、感情がわからない。だからこそ、悲しい気持ちで楽しく紙芝居を読み聞かせているようなのに、それが全く出せない。厳しい現実もあるし、陽人への絶望もあります。

そして、最後は裏方に回ることを強いられる。みんなと仲良くしたいと思ってもそれが出来ない彼女の悲痛な気持ちは無感情な言葉に掻き消えてしまっていました。

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そして、突然終わります。姉との関係性だけ残して。悔しいですね。せめて、月子のことを陽人が気付いて終わって欲しかった。これはきつい。月子ファンだけになんだか切ない気持ちになります。

そこまで女の子のことをいじめなくてもいいのに、と今回はなんだか特別な感情を抱いてしまいました。改めてこの作品のスゴさを感じます。結構薄っぺらい感じだと思っていたのですよ。

ハーレム系のブヒればいいような感じで月子オンリーでいけると思ったら、今回の梓でしょう。それに月子と陽人との関係性も含めて何気に深いストーリーが展開されていて、今回は本当に神回だった。

エロ要素がなくても勝負できる。小倉唯パワーがなくてもいい。でも、その二つがこの作品にあるから、最強の作品として高みに上り詰めようとしていて、なんだか何度も見たくなりますね。

特に月子が桜の花びらが胸元に入ってくすぐったくエロっぽい声を出しているシーンとか何回も再生している(ってやっぱりそこかよ!