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親が子のために出来る事。それはいつも考えているけれど、どうしたら子にとって一番かは親にもわからない。だけど、その心を子が知った時の感動というのは何ものにも代えがたいものがあります。


千早の家族事情には久しぶりに突っ込まれた。千早の周りの事情なんて全く関係ない。千早は千早だけの世界で生きていく。そう決めていた小中学生時代。そこから高校になってかるた部作って、そこから全国大会に行って、注目を浴びだした。だけど、所詮はかるた。

マイナースポーツで頑張ろうとも、周りの反応もマイナーでしかない。だからこそ、吹奏楽部というメジャーな部活のために、千早は二階の部室棟を貸してあげることに協力した。

吹奏楽部


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まあ、一瞬でも20人を超えたという肉まんくんのアドバイスを受けて、そう言えばいいんだけど、かるたを通じて、周りへの優しさも気づき始めた。千早の中の千早だけの世界。

そこに新と太一が加わっているわけで、中学生時代は一人になってしまったからこそ、一人にこもってしまってもおかしくない。だけど、かるた部を作ることでその部内という世界が広がり、そこからまたかるた部を通じてライバルが出来てその他校との関係性も強まり、吹奏楽部という困っている人を助けるという優しさにつながっていく。

千早はかるたのためと女帝に言っていたけれど、段々とかるたを通じて人を知るだけでなく、視野を広げたという証でもあり、周りの人のことを知ることが出来ている成長の証なんですよね。

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周りの人が千早を知ろうとはせずとも、千早は周りの人を知ろうとする。そして、そのために何をすればいいか考える。それだけでも、ひねくれるのではなく、ポジティブにとらえて、人と人との勝負から繋がりを大事にしていくという過程があるだけでも、かるた部で学んだ千早の成長を感じ取れました。

だけど、前回は団体戦の中の個人戦に負けた。原田先生の言う通り、団体戦は個人戦だというのが千早にもわかるぐらいに、千早個人で負けたがゆえの敗退にショックを受けた千早が茫然自失となっているのがなんだか新鮮でした。

今までの千早なら、一応、全国大会の切符は手にしたから、次の大会に備えて頑張ろう、という気になるのに、落ち込みがヒドイのは、やっぱり優勝してトロフィーをもらって日本一になることを夢見ているがゆえに、この東京で二位という現実から全国大会に対しての意気込みがポジティブに考えられなくなったという千早の脆さが浮き彫りになりました。

親の心ここに極まれり


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だけど、そこは父親がスクラップで千早のことを見て、母親がかるたに一生懸命なら親として応援するという姿勢を見せる。家計の負担になるから今までやってこなかったけど、どんなに言われようとも挫折しないでハマっているなら親として応援したくなったんでしょうね。

ちょっと楽しいから流行にのってやってみる。でも、すぐにやめるかも知れないけどねー。って感じで、菫ちゃんみたいだったら、着物を買ったら勿体無い。でも、かなちゃんの家にはお世話になっているからお歳暮も送っている所が親心子知らずというか、子に知られないように子の友達のために親としての最善をつくす。

そして、千早はずっと頑張り続けている。それが親としてようやく、本当にようやくわかったから、母親自身が子供のために出来ることを考えぬいた結果が着物だったんでしょうね。そういう意味では太一とは違って、千早は段々と家族環境が良くなっている気がします。

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そして、親目線での千早とかなちゃんを見るのってなんだか心温まりますね。親としては子供をどうしても自分の思った通りにさせたい。こういう言い方だと同感を得られないので、言葉を変えると、親としての努めを果たすために子供に幸せを与えたい。

そのためには親自身が最善を探しだしてそれから導くというのが一番だと思えるんですよね。だけど、子供にも人権はあるし、趣味嗜好も親とは違うものだし、付き合っている友達も親が予定しているような性格のような子でもないかもしれない。

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だったら、親が口出しして、失敗も成功もしてきた経験を子供に役立てようとする。だけど、それは親のエゴにしか過ぎず、子供の自由を奪うことになる。なら、放任主義の方がいいかと言うと、そうでもない。放任主義は子供の自由で親は全く干渉しないために、子供としては不安になる。

親が自分をどう思っているのか、見捨てられたんじゃないか、相談もできないから、誰か他の人を探して、親の代わりになってもらう。そういう人生だと、それは自由ではなく、自由という名の拘束にもつながってくるので、塩梅が難しいんですよね。

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なので、あまり干渉しすぎず、子供が自由を感じて楽しめるように親として努力する。だけど、親の意向とは違う方向に行ったとしても、それを自由にさせるか、または自分の経験を活かして、違う道を強制、もしくは説得するか大いに迷う部分なんですよね。

だから、一度親になってみないとわからない気持ちを上手く描いているように見えました。太一母が反面教師になってくれているおかげで、こうやって親の子供に対する愛情の美しさを知ることが出来ました。

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そして、千早が周りに目を向けたから、周りからも少しは恩返しがやってくる。押し付けがましいけれど、気持ちは伝わってくる。感謝の気持ちとして吹奏楽部に今できることをやる。それはかるた部と同じ精神で上手くなりたい、みんなから称賛されたい、そんな思いを抱えながらも吹奏楽部は予選を突破できない。

別にかるた部に何かしてあげる義理はない。だけど、同じように全国に向かっている仲間として応援したい。応援してくれる自分たちを応援するように。

千早振る


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そんな吹奏楽部の思いとは反対にタイトルの『ちはやふる』の意味がようやくわかりました。正確には千早振るだけど、そんなに読みがあったなんて思わなかった。てっきり千早振るだけだと思っていたけれど、千早という名前が付いている千早でさえ知らない真実。

まあ、千早はただのかるたバカなので仕方ありませんが。荒振るよりも千早振る精神がなんだかこの作品の根幹を示しているようで、意味がわかっただけでも、確かに荒振るよりも千早振っているよなー、って考えてしまう。

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躍動する力のあるかるたの世界。世間の認識ではただかるたを取るだけの文化系の遊びに考えられてしまうけれど、この作品のおかげで、荒振ることが出来た。

だけど、そこから、千早の周辺の心理描写を丁寧にかつ心震わせるような描写のおかげで千早振るかるたになっていたことがタイトルを説明するかなちゃんの講義で改めてこの作品の良さを見直すようになりました。