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本気でぶつかって、本気で挑めば、その本気が他の誰かに伝わって、奇跡は起きないけれど一つの旋律となってハーモニーを奏でることが出来る。そんな劇的な変化はないけれど、最初から最後まで一貫して伝えたいことが伝わってくる作品でした。


綺麗な終わり方だけど、どこか予定調和というかサプライズ的な何かはありませんでしたね。紗羽の留学は予想外でしたけど。でも、細かく見ると最高に面白かった。偶数回が大体最終回仕様だっただけに第2話での感動を超えることは出来ないんですけどね。

そういう意味で最初からハードル上げすぎてしまったかな、って感じがします。

でも、最終回としてはスッキリとした納得のいく終わり方で全体を通して見た時に「音楽の面白さ」と「心の通じ合い」をテーマにして最後までぶれることがなかったという点では監督の橋本昌和を改めて尊敬します。


校長、無茶しやがって……


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Aパートは白祭開催出来るかどうかの不安と周りの支えがあって、無事出来たという流れがあって良かったですね。特に校長。このままダメ校長で終わるかもって可能性があっただけに少し見直しました。

合唱部の5人を停学処分にするということと、自らの老いぼれ校長としての幕が下りることを天秤にかけて、いつまでもうじうじ悩んでいたけれど、このまま何も出来ないまま合唱部5人の将来を不安視して老後を送るよりも、とにかく自分にできることを必死にやろうと抗っている姿が合唱部の5人と重なって良いシンクロになっていました。

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今回も鉄の調律道具の音叉(おんさ・鉄のU字型の奴)を鳴らして登場。実際、理事長に逆らうということはあの校長の性格からすると人生の中でも一番大事な出来事になるだろうし、その決断をするにあたって心を落ち着ける必要があったのだと思います。

音叉で心が落ち着くかどうかというのはわからないけれど、本当は冷静に理事長の説得をしたかったのだと思います。だけど、この校長は言葉で誰かを動かすことは出来ないと感じているからこそ、少し悔しいのかもしれないです。

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そういう意味では生徒会でも恐い教頭にも自分の意見をはっきり言える来夏に感銘を受けたというか、夢や希望を抱いて必死に頑張っている姿が羨ましいし、彼女たちの力になりたいし、負けたくないという校長なりの自負があったんではないでしょうか。

だけど、理事長は頑として聞く耳を持たない。だったら、もうどうにでもなれって感じで、ようやく校長の生の声が聞けた感じがします。この校長は説得力があるように見える用意した言動よりも感情に任せてとにかく心に訴えかける言動の方が似合っている気がします。結果的に理事長を追い返したわけですしね。追い返しただけですけどw。

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でも、校長の特徴になっていた音叉は楽器の音がきちんとした音を発するためや共鳴するための道具。その役割として学校を守るための調和を大事にしたり、崩れかけそうな音楽への方向性を直そうとする意味では白浜坂高校として最後まで音楽を影から支えて崩れないように調律した。

そして、音叉が共鳴するという意味では自らが振動して音楽の素晴らしさを周りに伝えたかった。


そういう意味では理事長のズボンを下ろすというハプニング的な格好になってしまったけれど、ここは笑わずに校長の最後の勇姿を讃えたい。

てか、この最終回では教頭が色々裏で動いていたので、全ておいしい所は教頭が持って行った感じですけどね。せめて卒業式くらいは校長の姿が見たかった。いや、見れないからこその英断だったわけで校長は情けない人物から最後に輝きを見せました。全く無茶しやがって。

教頭と声楽部の合唱部への支え


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で、我らが教頭の出番です。校長の解雇よりも白祭が大事だという発言がなんだか笑えてw。駐車場の警備をなくして門を開けたり、声楽部や吹奏楽部の協力を得るために事前に動いていた教頭がすごすぎて、どちらが校長でどちらが教頭かわからなくなりますねw。

でも、必死に頑張ろうとして部活動新規申請書の一枚の紙を教頭が丸めて捨てたのを和奏が拾い、今度は理事長が白祭の告知ポスターを丸めて捨てたのを教頭が拾う。この二つの場面だけでなんだか感動してしまうんですよね。

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自分が紙くず同然と捨てるかのように下らないことだと思ったとしても、その人にとってはとても大事にしていることというすれ違いがこの作品の大きなテーマになっていた気がします。

来夏が出した申請書は大智がゴミ箱行きを実際に防いで和奏が拾って、人数合わせに過ぎなかった和奏は来夏が本気でやろうとしていることに対して少しイメージが変わったと思うんですよね。

ただの部活動、ただの趣味、ただの遊びだと思った教頭と同じような気持ちを和奏はその時感じていたかもしれない。だけど、来夏の気持ちを踏みにじるような行為に対して、それだけは間違いだと異を唱えるかのようにその紙を広げた。

その時は音楽に対して遺言に近い母親の特別な思いは聞いていなかったので、それが音楽に対して感じる楽しさに対して前向きに捉え始めたきっかけにもなったわけなんですよね。

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それと同じように、今回は理事長が捨てた合唱部5人の気持ちを今度は教頭が拾った。来夏や和奏たちが合唱部で奮闘していなければ、捨てる側だった人間がこの短期間に拾う側に立った。

別にここはただの一杯貼られたポスターの一部なのだからわざわざ拾う必要はないわけで、それをあえて拾ったのは和奏が以前に拾ったことに対しての共感の証だったのかも知れないですね。


そして、彼女たちのプライドを守るためでもあった。そこまで気にかけている教頭がなんだか愛しくなってきてね。

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ミュージカルはほぼ和奏の一曲だけで演じているのもほぼ素人同然で、ウィーンは脚本通りにやらないし、その脚本も決して面白いと言える内容でもないし、衣装もちゃっちいし、それだけを見れば決して感動を呼ぶものではない。

だけど、晴れたおかげで体育館ではなく舞台は中庭で行うことが出来た。教頭が晴れたことを少しだけ喜んだように見えたのは体育館という狭い場所でなく拾い中庭でやって欲しかったからだと思う。

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事前に準備していた声楽部と吹奏楽部を体育館には収まりきれない可能性もあったわけで。それよりも、プロになるための声楽部や音楽学校で楽器だけでも素晴らしい演奏が出来そうな吹奏楽部が、どちらも単体で出番があるわけではなくて、あくまで合唱部のミュージカルを支えるための準備に徹してきた。

その二つの部員は最後の白祭で歌ったり演奏できるのは嬉しいかもしれないけれど、こんなちゃっちく思えるミュージカルのためにやらなくてはいけないのはなんだか悔しい気持ちがあるかも知れない。

それに開催されるかどうかもわからない不安もあるわけで練習も時間の無駄に終わってしまう可能性もある。

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だけど、教頭がその部員の思いを変えるだけの説得力と、声楽部の広畑さんが合唱部から受け取った誠意に対する応えなのかも知れない。

実際に裏方に回ることで音楽の素晴らしさを伝えるのはただ人より上手く歌えたり演奏できたりするだけではなくて、本当に楽しんで音楽に込められた思いを伝えることが大事だと、どちらの部員も来夏の信条を感じ始めたように思うんですよね。


そうでないと自分たちの曲も単独でも演りたいと思いますので。そういう意味では、来夏の本当の歌「声」は偏見も深い溝も合わない性格でさえも人を変えるだけの魅力や熱意、そして色々な壁を全て超えてしまうという結果なのかも知れませんね。

紗羽の険しい道への挑戦と決意


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そして、白祭も終わって、それぞれの道を「歩き出す」。誰もが一緒に同じ道を目指すのではなく、合唱部で過ごした時間を経て、楽しかった思い出という過去と共に未来へと踏み出す。

まだまだ、それぞれの一歩は小さいもので、それは未知数で何かをやり遂げたという結果は見えない。でも、まだ歩き始めたばかりなのだから、それを着実に進もうとする意志を合唱部で築きあげた彼女たちだからこそ、これからに期待してしまうわけで、きっと彼女たちならやれる。

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特に紗羽の道はますます厳しく険しくなってきて、外国なら可能性はあるにしても今から言語を学んで世界の舞台で騎手の勉強をしてって、絶対無理、無理無理無理とか言いたくなってしまうけれど、大智の「いつまで?」という問いに「納得できるまで」という答えを聞いてしまうとなんだか出来そうな気がしてくる。

ここの部分で紗羽じゃなかったら、「諦めるまで」とか「見込みがなくなるまで」とか、それでもポジティブな思考に思えるけれど、あれだけ父親に反対されたり無理な減量で怪我したりしても諦めない紗羽が納得するわけがない。

その紗羽が「納得できるまで」って、ある意味「いつまででも」に言い換えることができそうですよね。


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少しだけ大智が紗羽に魅力を感じていたというか好意を寄せてきたのに、それが「納得できるまで」戻ってこないのだから、大智から会いに行くしかないよね。

だからこそ、飛行機を見送る大智は一人でちょっとしたほろ苦い恋愛っぽさを残しているのがなんだか寂しい。だけど、空港での別れの時の言葉を勝手に口パクから妄想するに、

「紗羽が好きだった。出来たら付き合って欲しい」の大智の言葉に対し、
少し言葉に悩んで紗羽が「日本に帰ってこれたら」だと思うんですよね。


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大智の気持ちは嬉しいけれど今は騎手になることだけを考えたい。この部分がこの作品の唯一の恋愛要素だと思う。だけど、そのエッセンスはあまり作品に入れない。夢をつかむことだけを第一に考える二人だから。

大智としても自分の道を決めたらとことん突き進む姿勢を紗羽から感じることが出来て、バドミントンにだけ打ち込むことが出来る。そんな大智と紗羽は進みたい道に専念して、必死に挑戦するというのがなんだかカッコイイですよね。この二人の未来は分からないのがなんだか楽しい。そして、大智も合唱部の付加要素でしかなかった「時々バドミントン部」じゃなくなったものね。

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てか、この二人はすごいよ。弓道も出来て騎手になれそうなぐらいの能力があって、他の国の言語も出来て歌もうまい紗羽に、バドミントンで全国レベルの選手の上に歌も上手い大智。

二兎追うものは一兎をも得ずって言葉が当てはまらないくらいだけど、最終的には他は捨てて一兎を追いかけるぐらいに割り切ることが出来る二人は精神的にも才能的にもすごい。

まあ、それとは反対に来夏は普通にキャンパスライフで、ウィーンはヤンに会えたってだけに見えてしまうけれど、こちらの二人も嬉しそうな終わり方なんですよね。だから、普通でも天才的才能がある人でも、どちらも自分が進みたい道を歩めればそれだけで幸せなんだと感じることが出来ました。

教頭と和奏の音楽に対する愛


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それと「音楽」的な意味では和奏と教頭が締めてくれました。才能のあったまひるに悔しいとかイライラしたとか和奏に告げる教頭。それは音楽の才能はないけれど、自分にはない何かを持っている来夏に対する和奏の気持ちに似た様なものだったのかもしれないです。

まあ、来夏に才能はないのでいつまでも音楽は才能だけみたいな錯覚を起こさないで済んだ和奏からの教頭への言葉。それは変な巡り合わせだけれど、こうして和解できた二人も仲介役の来夏や紗羽の母親がいなくても、お互い努力の人だったから通じ合えるものがあるんですよね。

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そして、二人共来夏とまひるから受けた影響が大きい。そんな年齢差が離れている二人もこうやって音楽を通じて一緒に仲良く話しあえているのがなんだか嬉しくて。

そして、もう一度音楽の道を切り開こうとしている和奏に、まだ一緒にいる時間が出来て喜んでいる教頭もいて、そのレッスン風景が微笑ましい。音楽がいつも側にある。

才能がある人に対して悔しい気持ちはあるけれど、必死に頑張って勉強して音楽を愛し続ける楽しさを感じているそんな二人がこの作品のテーマを象徴していた気がします。


もう、5年以上ピアノを触っていない私でも、またピアノの道を目指したくなってきました。来夏の反骨精神と紗羽の諦めない熱意と和奏の人と音楽への愛があれば何でもできるような気がしてきました。(あれ、男性陣は?w)

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