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ウワァァァン。なんで終盤にきて、こんな最高のエピソードを用意しているんだ。短編で一話完結が続くということで期待していなかった分、カウンターパンチを食らった格好で、まだまだこの作品を見ていたいと感じて、最終回間近で終わることが悲しく感じてきました。


ここはチョコへの執念を燃やす、いや、里志への愛情への執念と自らのプライドを燃やす摩耶花に萌える回でした。それ以上に話として面白い。しかも揺れる人間模様が感動を呼ぶ。

4人共がそれぞれの思いを慮るばかりに苦くても甘いエピソード。私は何も理解できなかったという奉太郎の言葉と同じく、里志の全てを知っているようなふりして全く知らなかった。そういった部分で今までの積み重ねがあった分、今までの中で一番おもしろかったエピソードだと思う。これだけは人生の永久保存版にしたい。

えるはチョコが気になります


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里志の話は後にして、えるのことが気になります。摩耶花の愛情たっぷりのチョコレートが盗まれた。摩耶花を応援して一緒に協力したり、熱心に頑張っていた摩耶花のことをえるは見ていたわけで、それが直接渡せないということで部室に置いているチョコを見て微笑んでいる姿がなんだか可愛くて純真だなぁ、って思ったり。

他人の恋を純粋に応援できるのって性格が反映されると思うのですよ。ネット用語での「リア充爆発しろ」は普通に恋が実った人たち向けの言葉みたいなもので、恋が人生の全てではないけれど、その恋愛というのは一人の人が自分だけを選んでくれたという意味で孤独を感じずに済むという意味では確かにリア充っぽいですけどね。

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で、その感覚をえるは全然抱いていない微笑みなんですよね。もしかしたら、そのチョコのおかげで摩耶花の恋が実るかもしれない。それは奉太郎への片思い的な感覚が芽生え始めているえるにとっては嫉妬へとつながる危険もある。

だけど、里志がチョコを見て喜んで、摩耶花が里志からの反応を見て恋が実る可能性とか考えるとなんだかウキウキしてしまうような感覚というのは本当に性格が良くなければできないことで、そのえるに惚れられそうな奉太郎の方が逆に羨ましくなってね。いや、摩耶花が可愛くないってわけじゃないですよ。摩耶花の壮絶な言葉攻めは一度受けてみたいくらいに大好きです。

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だから、チョコが盗まれた時のえるのショックって摩耶花と同じくらいに悲しい出来事なんですよね。いつものえるらしくなく、焦って暗くて戸惑って、天文部の沢木口先輩の「恋泥棒じゃあるまいし」というような冗談を言っている人に対して暗く少し睨みつけるようなえるがいて、とにかく犯人を捕まえるためには手段を選ばないような感じ。

そんなえるを奉太郎が沢木口先輩から見られないようにしている姿がなんだか笑えます。無愛想な奉太郎が、愛想いいえるに変わって人と話すなんてね。思ってもみなかったよ。

摩耶花を思いやるための里志の選択


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奉太郎とえるのことはこの程度として、本題は摩耶花と里志の関係だ。摩耶花の里志への愛情は痛いほどに里志は知っているので、こうやってチョコで責められると痛い。こう積極的にモノとして提示されるとそれは告白以上の答えを求められているようで、それに今すぐ返事を返さないで保留。

里志としては好きならそのまま付き合えばいいわけで、嫌なら優しい里志のことだから保留せずに、摩耶花の次への恋を応援する役目に徹すると思う。だけど、それは間違いだったわけで、里志の生き方、摩耶花の思い、里志としてはその二つの両立が出来るのなら、今すぐにでもしたい。

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仕事を選ぶか、恋を選ぶか、みたいな究極の選択の縮小版みたいなもので、それは里志も保留にしたくなる。摩耶花のためを思うなら、摩耶花のことを思い続けて自分の生き方を変えることを強いられる可能性もある。

それだけ里志が摩耶花のことを思っている証拠で、摩耶花のチョコを盗むという選択だけでも辛いのに、それを割った時の里志の心情を考えると、摩耶花が見ていないのにものすごい罪悪感にかられたのだと思う。

それこそ、言葉にして表現するのは難しいくらいに。大切な人を守るために大切な人の大切な思いを砕く。そんなことを奉太郎に説明しなきゃいけない。

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でも、奉太郎はそこから先を責めなかった。里志が摩耶花のことを思っていることだけわかればいい。あとは、えるに対して後始末的な電話をかけておしまいだ。省エネが最高の優しさにつながった。

二人とも真相を知っているだけにその嘘もお互い騙しているみたいでこちらも辛い。けれど、それは表面上のお付き合いみたいなもので、バレンタインでもお中元でも本当に親しい人には何もあげない。

親しくない人には何かあげないとそれで信用とか貸し借りでつながっていなければいけないから。だけど、それは親しい人には何もあげなくても何も言わなくてもわかってくれるというえるの家の風習に二人が習っているみたいで何だかここまで進展したんだなぁ、と感涙。

里志の人生での喜びと楽しみ


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でも、里志の人生観というのは本当深いと思う。この年でこれだけ悩んで答えを出すために色々試して自分の楽しい生き方を見つけた。それは大人になっても、楽しいと感じることが出来ない人にとっては羨ましいことで、日々苦痛の人生を送っている人には、こだわることをやめることをこだわるだけで楽しくなるならそれは最高の幸せだ。

それは幸せな青い鳥を見つけたようなもので、その生き方に徹すれば人生の終焉まで苦しいことも楽しさで打ち消せるかもしれない。それは奉太郎に対する嫉妬に近い憧れという挫折によって、自分がしたいと思ったことは自分で出来ないという結果を何度も味わってすべて否定されていた里志にとっては新しい道、新しい人生が送れるという希望にもつながったのだと思う。

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だけど、そこで摩耶花が出てくる。本当、このエピソードのために摩耶花がいたようにも感じられるような、里志にとって大きな存在となった摩耶花。それだけ楽しいと感じた道を見つけたのなら、一人の人の気持ちなんて謝ってオシマイにしたい。むしろ、そうしないと、前に進めない。里志の言う通り、逆戻りしてしまうかもしれない。

だけど、里志にとって摩耶花は大切な人になってしまった。それが誤算だったのかもしれない。その誤算はいつでも取り返すことは出来た。だけど、摩耶花はいつまでも里志に思いを馳せる。近い存在だけど遠い関係として距離を縮めさせることは絶対にさせない。

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摩耶花がいつか諦めて、自ら遠ざけるように時間を設けた。それがバレンタインでの保留と試験。きっと自分のことがいつまでも好きでなさそうな相手なんていつかは恋心は消えてしまう。そんな一時の憧れとか恋とかで終わってしまうようなら、それは自分の楽しい人生を捨ててまで代償を払うことはない。

だけど、摩耶花もそんな里志が好きだからムカツクと言っていたけれど、本当、避けはするものの普通の友達として接してきて、時折優しさを見せてしまう里志を好きになる自分も何も感じてくれない里志がムカツク。

「ムカツク」って一時の怒りなので、ケーキを食べに行ったら摩耶花の怒りは静まるだろう。いっそ、嫌いになればいいのに。って私は思ってしまうけれど、こんなことがあってもそんな一途に里志が好きな摩耶花が好きだ。

二人が選ぶ道


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二人の現状は悲しいように見えるけれど、打開策は残されている。一番望ましいのは、摩耶花が好きな里志は今の里志ってことだ。超当たり前なことを何を今更ってことだけど、きっとこれが焦点だと思う。

昔の里志は勝つために手段を選ばないような性格だった。今では勝つことはどうでもいい。それが今の里志の性格だ。里志に告白した頃の摩耶花はきっと勝つことに執念を燃やす里志に対してだったと思う。だから、摩耶花は昔の性格の里志を好んでいるのでは?という里志の気の迷いなのかもしれない。

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でも、普通に考えれば摩耶花は今の里志も好きでいるのだから、そこは気にしなくていいと思う。もし、摩耶花が昔の里志の性格でなければダメだと言うのなら、それで破局(別に付き合っているわけでもないけど)でもいいんじゃないか、なんてね。

でも、古典部の雰囲気は悪くなるし、昔の自分が好きだと思われていたら、摩耶花に対する期待も薄れてしまう。今の里志はそんな懸念があるからこそ、そのことを摩耶花に告げることが出来なかったんじゃないかって思ったり。

でも、摩耶花が今の里志の性格で良ければ、それはそれで事が済む話で、意外とスムーズに話が進むんじゃないかな、って摩耶花にかけた里志の電話の結果が気になって眠れなかったりしてね。

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米澤 穂信

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