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サブタイ通り、本当に思いっきり駆け出したり。おもいっきり駆け出すだけではなく、紗羽が騎手の道を思い切り駆け出したり。


ギャグ回と思いきや、いつも通りのシリアスな『TARI TARI』でした。いや、いつも以上に寂しいし辛いし悲しい。来夏が失恋と勘違いしたり、ウィーンが忍者が忍んでいると勘違いしたままになったり、ウィーンの家でウィーンが痛い子になってしまったり、これはこれで『TARI TARI』のコメディ風味に仕上がっている分、紗羽だけが一人だけ苦しんでいるように余計感じてしまう。

紗羽の諦めない姿勢


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で、声楽部に対して自分を重ね合わせて文句を言う紗羽がいつも以上に光っていた。紗羽は感情をむき出しにしてしまうとその場で制御できなくなるくらいに怒りも喜びも吐き出してしまうけど、誰かが止めるよりも吐き出してしまって楽になったほうがいいんですよね。

それこそ、来夏が紗羽が失恋したと思ってアドバイスしたように、紗羽のことを愛してくれる人がいつか現れることを待っていてもいいんですよね。それが恋愛じゃなくて、母親や父親であってもいいわけで、むしろ、その愛が受けられないからこそ反抗するわけですよね。わかってくれない。

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私がやりたいこともしたいことも全部取り上げてしまう。そんな父親だと思っているから何度となく反抗するわけです。でも、愛情って甘やかすことだけじゃなくて、その子供の気持ちがわかっている上でどうしたらいいかの指針を与えるのが一番の愛情であるわけなんですよね。

だから、父親として愛情は注いでいるけれど、その愛情が上手く伝わらない。それは父親の威厳を守るという変なプライドが入っているからかもしれない。でも、父親として出来ることはやってあげたい。父親も娘の身長を見て騎手なんて無理だとわかっているとは思う。だけど、やっぱり一人娘として可愛い。

反抗していても子供は子供なので、大人しか出来ないことをやってあげる。紗羽の熱意が伝わって、父親の愛情のかけかたが少しだけ変わった。その気持ちが伝わった時の紗羽はどう感じたのだろうか。自らが抗って諦めない姿勢があることは父親譲りだったんだなぁ、なんて感じたりしたのかな。

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それは後の話で、それまでの紗羽は騎手の体重制限のことを知らなかったし進路希望にその競馬の学校以外は「なし」とハートマークを付けるくらいに気楽に考えていたのが、実際現実は甘くなかった。

きっと紗羽が知らないであろう競馬の馬は走れなくなると殺すように、馬への愛情の理解も足りないと思うんですよね。自分に対して与えられた愛情を理解することが出来ないのが紗羽の欠点でもあり、直すべき点でもあると思うんですよね。

何事に対しても本気で挑む彼女だからこそ、自分のことになると自分しか見えなくなってしまう。来夏とか和奏に対しては客観的なアドバイスが出来るのに、自分に対しては何事も甘い。甘い上に厳しい。

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この甘いというのは楽観視して普段は行動するけれど、厳しい現実に対しては本気モードで臨むために自らを比喩的に叩いて駆け出そうとする。それは競馬の馬と同じようにとにかく自分を奮い立たせて本気で勝とうとするために厳しく心も体も傷めつける。

そうしたら、プロの騎手にも勝てると思えるから彼女は栄養失調になっても父親からの反対にも体と心の両面で厳しくても走り続けようとする。だから、そんな辛そうな紗羽に対しての和奏の言葉が一番的確なんですよね。

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一度、離れてみる。それは騎手から離れて違う道を歩めってわけじゃなくて、自らを客観視出来るように、第三者視点で自らを離れて俯瞰してみるという意味も込められた和奏の言葉だったように思います。

その言葉を文字通りに受け取って、騎手から離れてしまったら、もう戻れないという自らリタイアするような真似はしたくない。いつでも最後まで本気でやり遂げたい。それは来夏が合唱部に対してそれほど本気でなかったことに対して「オタンコナス」と言ったのと同じように、最後まで諦めない姿勢は貫きたいんですよね。

それでダメだったら諦める。という気持ちでいた紗羽としては和奏の言葉が心に響かなかった。和奏の愛情を理解できなかった。そんな紗羽の苦悩を吐露するシーンが今回は印象的でした。

合唱部のみんなに初めて見せる和奏の涙


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それに対して、紗羽の口調がきつかったことに泣いたのか、それとも、母親と会えないことに泣いたのかわかりませんが、きっと後者だと思います。音楽と母親をどちらかしか選べないのだとしたら、必ず母親を選ぶ。だけど、その機会は与えられなかった。

だから、残った音楽を続けているというわけではなく、母親の意志だから、音楽を続けている。母親を選べない彼女なりの誠意としての音楽なんだと思う。

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なら、紗羽はどうか。騎手と普通の道のどちらかを選べるとして、騎手を選ぶだろう。だけど、その騎手が選べないなら、残った普通の道で馬に対する愛情を注げばいい。それは母親を亡くした和奏とは比べ物にならない。愛する馬のサブレはいつかは亡くなるだろう。だけど、馬はなくならない。

また、違う方法で馬に乗れる。それは騎手という彼女にとって最良の道ではないかも知れないけれど、選択ができなかった和奏としては紗羽の気持ちがわかっているんだと思う。悟ったんじゃなくて、紗羽の気持ちになれたんだと思うと、紗羽の言葉攻めはかなりきつい。

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友達としての優しさを仇として返してしまったような、そんな印象。だから、ようやく和奏の愛情を理解できたという意味で、和奏の涙を浮かべてまで説得するようなアドバイスがきいたんだと思う。

紗羽と和奏はそれほど長い付き合いでないのに、和奏としては理解してくれない上に自らの悲痛を思い出して泣いてまでも紗羽から離れないで正面から向きあって対峙して説得するように成長したんだと感じて嬉しくなった反面、二人共、道が閉ざされてしまった現実に涙するシーンでありました。

音楽は辛いことも悲しいことも全てが「音楽」


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そして、教頭とぶつかり合う来夏と和奏。普通なら部長の来夏だけでいいはずだけど、和奏も呼ばれたということは和奏の意志も聞きたかったんでしょうね。で、その意志を聞いた。聞けてしまった。

まひるが生徒だった頃の教頭に音楽の本当の良さを伝えたいと思ったのと同じように、今度はまひるの子供の和奏から同じことが聞けてしまった。

きっと、音楽の道を諦めて普通科に転科した和奏を見て、まひるの志は間違っていたとは言わないまでも、それはまひる独自の見解だと思って、自らは自らの見解で持って音楽に望んでいた。

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だからこそ、普通科に転科した和奏ならその音楽の道は才能がないと楽しめないと来夏に実践してくれると思ったのかも知れません。

もしかしたら、和奏は教頭に呼ばれていなくて、メインステージで発表できないことを和奏は予想して来夏に付いてきて、普通科に転科したけれど、また音楽を愛するようになったことを教頭に言いたかったのかも知れません。

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でも、和奏の口から音楽は技術を磨いて一人で楽しむものではなく、その音楽を通じて人と交流できる楽しみを合唱部で見いだせたというのは大きいですね。

これで来夏が初回に合唱部に入って和奏にどんなメリットがあるのか叱責した時に、来夏が答えられなかったけれど、和奏が一人で答えを導き出せたというのは来夏にとっても嬉しかったのではないでしょうか。

でも、来夏の合唱部でのメリット以上に和奏は音楽を理解できた。何も音楽を一緒に楽しむことだけが音楽の全てではなくて、苦しかったり辛かったりぶつかり合ったりしたとしても、その結果、一緒に音楽が楽しめればそれでいい。音楽を続けていればずっと楽しいだけじゃない。

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それは和奏がまひるから受け取った答えで、何も全てが上手くいく事はなくて、作曲も頑張っても頑張っても技術は猫以下で苦しい思いをしているし、紗羽からは怒鳴られて避けられたりしても、まひるの作りかけの曲を一生懸命作ることで母親を感じることが出来るし、紗羽ともいつかはわかりあえるだろうし、音楽を通じて苦しいことも楽しいことに変わっていくんだということがわかっただけでも和奏の変化は凄まじいものがありました。来夏が思った以上に和奏は音楽を考えていたというのが来夏の嬉しい誤算でしょうね。

音楽にちょっとずつ愛されていく来夏


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そして、来夏も教頭にようやく自分の思いを伝えられることが出来た。悔しがって「辞めます」と出ていった来夏ではなく、教頭に対して「音楽」を語れるくらいに詳しくなった。それは和奏の協力もあったし、紗羽の本気モードで背中を押してくれて頑張れた機会もあった。

そして、大智やウィーンも合唱部で楽しく過ごしている。そんな人との繋がりや楽しい経験があったからこそ、音楽を通じて嫌われていない、人を動かす力があることを経験できたんですよね。

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まあ、その経験を全て教頭に見せることは出来ないけれど、きちんと言葉に出して「声」の力で人を動かしてきて自らも動かされてきたことを教頭に見せることが出来たのも大きな進歩でした。

そして、何よりも大きな進歩は敵対していて嫌われていることを知っている教頭に対して、いつも通り口喧嘩をするのではなく、今度はその経験から得た信頼の証として先生の力を貸して欲しいと頼めるようになった。

そして、教頭もその機会を与え、その経験を生かして証明するように取り計らってくれた。この和解が誰が悪で誰が善でということを考えるのが馬鹿らしいくらいにお互いの信頼があって泣きそうになりました。

紗羽が騎手を思い切ること


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で、それ以上に泣きそうになったのがメインステージの選考会での紗羽の必要性。来夏の言葉は全くといっていいほど紗羽の心に伝わらなかったのが可哀想だけど、それぐらいに紗羽の中では落ち込んでいるんですよね。親友の言葉すら全てが虚しいと思えてしまうほどの大きな挫折。

本当生きているか生きていないのかわからないくらいに「空っぽ」になってしまったんですよね。紗羽という存在がこの世の中からなくなってしまったかのように。だけど、騎手を諦めたくない意志はまだ持っている。最後まで抗って抗ってダメだったら諦める。

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そんな紗羽の性格を知っていたかのように、和奏のメールが素晴らしかった。紗羽のことを信頼しているし、友達だと思っているし、和奏自身の言葉が紗羽傷つけたのなら謝る。

そして、紗羽が諦めたくない気持ちを大事にしていることを見習って、自分たちも紗羽が来れなくなったとしても抗って最後まで諦めないで挑んでいく。それは紗羽にとっては騎手を諦めないのと同じように、合唱部でも諦めない気持ちを持っていて欲しいと願っているからこそなんですよね。

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騎手も本気、なら、合唱部も本気で……。ちょっと卑怯に見えちゃいますが、紗羽の気持ちと紗羽の存在が自分たちにとって大きいことの証明でもあるので、紗羽を責めずに紗羽を呼び戻すには最高の文面だったように思います。

そして、サブレに乗って学校に向かう紗羽の機転の良さに感動しました。騎手になれないのなら合唱部のために本気になるためにその乗馬のテクニックで公道を走ってまで抗ってみせた。

諦めない姿勢が最後実を結んだのかわからないけれど、間に合うことが出来た。わかりあうことができた。この結束力が音楽の力なんだなぁ、と改めて実感して最高の終わり方でした。

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