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物語が動き始めそうで動かない、このじれったい気持ちが解決への悩みとなり、登場人物へとシンクロする。なんだか本当にカンヤ祭を楽しんでいるかのよう。


むしろ、奉太郎にとってカンヤ祭はどうでも良くて、その中で犯行声明と予告があるのだから、これは挑んでみたい問題として奉太郎自身の好奇心へと変化していく様は見ていて楽しい。

摩耶花の漫研での立場


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相変わらず、摩耶花は漫研での立場がなくて、あれほど上手い絵が描けて、あれだけ努力している姿を見れば、他の人たちも感化されてヤル気が出てくるというものだけど、どんなに頑張っても届かない目標やライバルと直面すると、自分が頑張るよりも相手が落ちてきて欲しいと願ってしまう人間の負の性。

出過ぎた杭は打たれて、平均化してしまおうという漫研の雰囲気がなんだか創作を扱っているサークルとしては将来性を感じないから、河内先輩や湯浅先輩のようなマンガをノビノビと誰かと比べるでなく本気で描きたい人たちが集まって創られた『夕べには骸に』が最高傑作になる所以なのかもしれない。

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もしかしたら、年齢が湯浅先輩たちと同じ年だったなら、摩耶花もその制作に参加出来たかもしれないだけに何だか惜しい気がします。だけど、そこで落ち込むことなく、冷静に対処して場の空気を凍らせることなく、普段通りを心がける摩耶花の態度が可哀想だったなぁ。これは湯浅先輩でも救えない。

本当に摩耶花を救いたいのなら、漫研の全員の指導を一からやり直すことと、女性特有の恨みそのものに気をつけなければいけない。まあ、気をつけても、恨むものは恨むので、今度は湯浅先輩がターゲットになるだけだから、摩耶花にとっては何もしてくれない方がいい。摩耶花自身の問題でもあるから、その問題を軽く乗り切るくらいの精神力は彼女にはあると思うから、それを信頼してあげて見守ってほしいな。

えるの貞操は守られた!


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で、えるはいつも通り、平常運転。入須先輩はきちんと役割をこなして、えるのために動いていることもわかったし、十文字事件の真相について少しずつ疑問を整理したい奉太郎に対して、「私、気になります」も出て、奉太郎の首を締め付けます。

まあ、卑猥な話には興味が無いえるの純粋さは守られた。良かった。「でも、卑猥なはな…」「私、気になります」ってなったらどうしようかと。これは諸刃の剣で、確かにえるは遠ざけることが出来るかもしれないけれど、「折木さんがそんな人だったなんて」みたいな感じで思われて、今までの苦労が全て水の泡になりそうだから、奉太郎はえるを信じたんだろう。

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例え、卑猥な話を里志としている奉太郎であっても、えるからの信頼は揺るがないって。まあ、場の空気が凍りついたけれどね。よしよし、可哀想なえるたん、こっちにおいで。

そして、校内放送出演。無駄にテンション高いDJ風の司会とえるのフリートーク。てか、こんな高性能マイクとこんなノリノリで喋られる高校生、私の時にはいなかったよ。私は一時期放送委員だったけど、喋るの嫌だし、誰も喋りたがらないし、普通にアップテンポなJ-POP流していただけの文化祭でした。こんな有能な高校生、うちにも欲しかった。

里志の知識と行動の限界


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で、里志になるわけですが、久々のお出まし、探偵もどきさんたちの登場です。そして、すぐさま退場です。全く探偵もどきの時もそうでしたが、持論を語って終わりで、それを曲げようともしない人たちだから、楽しくないとすぐに飽きてしまうんでしょうね。

そういう意味では最後まで張り込みが出来た里志は警察になれると思うよ。で、「く」は飛ばして、「け」の「軽音部」の「弦」が盗まれた(私のギー太が… by 唯)。里志が動くと全て裏目に裏目に出てしまうのは里志の才能がないからなのか、それとも弄ばれているだけなのかわからないです。

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でも、知恵比べでは十文字の方が上だとわかって諦めて帰って来る所が里志らしくて潔いです。出来ることと出来ないことの区別が出来ている里志はある程度は諦めも肝心だと考えていて、そこはデータベース以上のお仕事は出来ないと感じているからこそ、今回、十文字を捕まえて、新たな可能性を捉えようとしていたけれど、やっぱり無理だったみたいだ。

でも、相当に悔しいと思う。自分の限界を超えられるチャンスをミスミス逃さないといけなくなるのって辛い。せめて、足掻いてもがいて最後まで十文字を追いかけて、それでも無理なら諦めるみたいなことも出来た。

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だけど、この悔しさを奉太郎に頼むあたりが里志らしいし、奉太郎から質問攻めしたときの里志の熱い表情を見ていると、奉太郎は簡単に考えているけれど、僕は本気で捕まえようとしているんだ、という意思表示を必死にしていますが、こういう事件って難しく考えようとすると深みにはまって出られなくなり、簡単に考えるとサラッと答えが出てくることもある。

これが勉強が出来る人と頭が切れる人の差かも知れない。だから、奉太郎も対抗して「安心院」を「あじむ」と読むことに対してイラッときて、それは本当に必要な知識なのか?とムキになってしまったから、両者ともお互いの長所に対して羨ましいと感じているのかもしれないですね。

奉太郎と『夕べには骸に』


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で、最後に奉太郎。わらしべプロトコルで念願の『夕べには骸に』を手に入れたぞ。わらしべプロトコルは小麦粉を手に入れるための伏線かと思いきや、こんな所で『夕べには骸に』で摩耶花と結び付くとはなかなか面白いですね。

でも、奉太郎が言っている「プロトコル」というIT用語は異なる通信回線の相互利用を目的とした共通言語みたいなものだから、厳密に言えば間違いなんですよね。だけど、面白ければ何でもいいんです。

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で、この『夕べには骸に』をあとがきから読む奉太郎。ラノベとかはあとがきから読む人多いですものね。時々、そこで重大なネタバレが書いてあったりするから、最近だとあとがきでは内容紹介程度になっているけれど、そこにこの作品を作った作者の思いが込められているから、そのあとがきで面白さを判断できるというのは頭のいい奉太郎ならではだろう。

あとがきが社交辞令や謝辞だけの作品は大体中身がない。きっと作者がその作品に対して思い入れがないと見なされるからだろうと思う。そのあとがきに、『クドリャフカの順番』という作品を今年出すということ。クリスティの作品を一ひねり二ひねり入れること。それが十文字と何が関係あるのさ?と里志風に奉太郎に問いかけたくなるけれど、奉太郎がピンときたら、大体想像から外れていない。

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そういう意味では里志は知識をまとめるデータベースとして今回は役割をきちんとこなした。その働きに奉太郎も感謝している。里志にしか頼めないことだから。だけど、なんで里志だけと話したかったのかは不明。謎の整理がしたかったとしても、部室で話しても良かったし、えるの純粋さを逆手に取ってまで里志と二人きりになる必要はなかったと思う。

だから、えるの前では見栄をはったのかもしれないですね。謎解きすれば解けない問題はないと、あの目の輝きで迫れば、その期待に応えたくなる。だけど、今は整理の段階。謎解きに一歩も踏み出せていないから、その様子を見て、えるが落胆することがないようにしたかったのかもしれない。最悪な方法だったけどねw。

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で、『クドリャフカ』は可哀想な犬だったよ。帰って来ることがほぼないロケットと共に旅立ってしまった。そういう意味では犠牲は一匹なんですよね。別に飛ばす犬の順番付けはなかったように思う。

だから、ここでいう「順番」という意味では「犠牲」が十あってそれぞれ「無機物」を盗り、それがクリスティの『ABC殺人事件』の「あいうえお」の順番として、今回はマンガではなく実際のミステリーで楽しませるという主旨なのかもしれない。

事実は小説(マンガ)よりも奇なりってことで、それを実践している犯人は誰なのかわからないけれど、これはこれで面白くなって来ました。あと、すっごい適当な推測だけど、『クドリャフカ』は『「ク」を(省)略化』するという意味だったら笑える。アイスクリームで一度ダジャレを使っているので、それはないだろうと思うけどねw。

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米澤 穂信

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