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一人で勘違いして、一人で全てを決めてしまって、一人で全て捨ててしまって、ひとりでに何もかもを失ってしまった。独りの怖さ。相談できる相手がいる強さ。一人で生きていると思っていたら、本当は一人ではなかったという嬉しさや感動。


来夏が久しぶりに良い事言った。いや、久しぶりは余計だけど、来夏って深く考えて悩んでも壁を超えることは出来ないけれど、誰かから後押しされたり、普段の何も考えていない自分だったら、意外と簡単に乗り越えてしまうんですよね。

それはある意味、努力の成果が出ていないとか、行き当たりばったりとか、そういうのではなく、来夏の性格的に深く意識してしまうと責任を背負いこんでしまって自分の成果が出せないんですよね。

それが、合同発表会での失敗につながったわけで、失敗を恐れず進めと紗羽から発破かけられたら、普段の自分が出せる。それはある意味責任も重圧も紗羽が半分受け持ってくれるという部分が大きかったのだと思います。

「叶わなかった約束も大切な思い出」


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で、今回のさりげない一言。「叶ったら終わっちゃうでしょ。だから、約束があったからいつもお爺ちゃんのこと思い出すの。くそぅー、叶わなかったーって。これも大事な思い出だから」。この発想の転換が何気なく言葉に出せてしまうポジティブ思考って本当強いですわ。

和奏も来夏との思い出がなければ、この一言の意味なんて考えもせず流してしまいそうだった。辛くても悲しくても楽しくても、人との繋がりは自分からその人が切らない限り、続いていくんだって。しかも、来夏にとってのお爺ちゃん、和奏にとっての母親は亡くなってしまったため、相手から切ってくることはない。

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だから、こっちが切らない限り、いつまでも繋がっていられるんだ。でも、その繋がりに後ろめたさを感じてしまっている和奏にとっての母親に対する想いというのは申し訳ないという気持ちや後悔や悲しみで埋め尽くされてしまっている。

例え、思い出した思い出が辛いものであっても、母親との思い出は一生なくせない思い出だから。良い面も悪い面も全て受け入れてこそ、友達というか家族というか人との関係なんだと思う。それは自分が悪くても相手が悪くても、その思い出は一つのその人との出来事として心の中で息づいているのだから。

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来夏と来夏のお爺ちゃんの関係が和奏と母親の関係に類似していないかも知れない。でも、お爺ちゃんの話になると来夏はウキウキする。同じように人を亡くしているのに、なんて無神経な子だろう、と和奏は一瞬思ったかもしれない。

けれど、和奏にも母親との楽しい思い出は一つくらいあるだろうし、その人が残してくれたもの、託してくれたものもたくさんあっただろうと思う。だけど、和奏はそれを全部負の遺産として処分しようとした。

モノはなくなってしまったけれど、和奏の心の中で母親はいつも笑っている。それは別に脳天気になれってことではなく、いつも笑っていられることでどんなに辛いことにあっても人生を楽しく生きられるように和奏に教えていたのだと思う。和奏の母親は音楽面だけでなく情緒面での教育も敏かったように感じます。

まひるの娘にかけられた隠れた愛情


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で、そこから和奏の母親、まひるの娘にかける想いが語られます。結構、既出な所も多かったけれど、全てが一つにまとまったまひるの意志として告げられると涙が止まらない。もし、和奏が受験に合格してすぐに病気のことを黙っていたのは母親の意志だと言っても、和奏は信じられなかったと思う。

より一層の人間不信になってしまう。だから、心が落ち着いてきた今話した。本当はピアノを処分すると決意する前に話したかったと思うけれど、今度は父親が忙しくて落ち着いて話をすることが出来なかった。だから、とりあえず、別の場所に保管。

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父親はまひるにプロポーズはあちらからだと固くなに言っている割に、プロポーズの道具だと言ってばらしているあたり父親は嘘がつけない人のようです。プロポーズの道具として、まひるから音楽に詳しくない人(きっとピアノも弾けない)がもらっても邪魔なだけですしねw.どう考えても、父親から母親にプレゼントして、その母親から娘に託されて、なんだかこう大切な物を次々と愛する人へと受け継いでいくのはいいですね。

まひるはいつまでも一緒に娘と弾きたかったけれど、それは無理だから、娘へのプレゼントとして残したのでしょうね。それがわかった時の和奏の心境が痛いほどに心に響いてくる。来夏がモノより思い出ということで、和奏はその人とのどんな思い出も大事だと感じ始めて、その愛がモノに形を変えて捨ててしまったら、思い出もモノもその人からの愛も全て否定してしまうように感じて、なんだか物悲しくなってしまう。

楽しい音楽を一緒に奏でたい


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娘と曲を作りたい。その意志はコンドルクィーンズの時にも聞いているので、和奏は理解しているつもりでいた。正確には娘に音楽を好きになってもらいたいという言葉だったけど、突き詰めれば、娘と健やかなる時も病める時も音楽が共にあると感じられるような曲を作りたいという意味でもあったのだと思う。

だから、悲しい別れの歌にはしたくない。レクイエムなんて音楽の楽しさを感じる前に大切な人を失った悲しさが全面に押し出されてしまう。

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だったら、いつも聴いていたい、音楽が共にあって良かったと感じられるような曲にしたい。だけど、それは叶わぬ夢とわかっていたからこそで、途中まで曲を五線譜に書いて、娘に託す形になった。

その曲がいつ完成するかわからないけれど、確実にまひるはその曲は聴けない。だから、まひるの意志と和奏の意志が入ったその曲で他の人に音楽の喜びや楽しさを感じられるよう娘を信じてこの世を去ったのだろう。娘とその周りの大切な人にとって娘の奏でる音楽がまひるの願ったモノになると信じて……。

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