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本当、ひどいな。現実って非道いな。太一は自分のことを信じてくれている、それはわかっている。太一は自分のことを自分らしさをわかってくれている。それもわかっている。


だけど、人間は疑いやすい生き物で、その疑念が完璧に払拭されるまでは少しずつ疑念が深まっていき、段々と信じられなくなってくる。唯の男性恐怖症の時にも言ったけれど、太一は唯に対して一生その信頼に応えないといけない定めが与えられたわけでその対価として、唯の真の笑顔を手に入れられる。

まあ、そのほんの少しを義文にわけてあげたい感じましますがw。それと同じように、太一は伊織に対して言った言葉に一生責任を持たないといけない。その言葉が揺らぐようなことがあれば、太一そのものに対しての信頼が失われ、修復不可能な関係になってしまう。

どんな手を使っても太一はわかってくれる


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だけど、伊織は卑怯だった。卑怯な手を使ってでも太一の本心を聞き出したい。それぐらいに追い込まれていたのでしょう。姫子が一番もろいのは伊織だ、と言ったのを思い出して確かにこの状況でそんな手を使ってしまうと、誰でも入れ替わっていない状態でも、入れ替わった風を装えば、色々と騙せる。

姫子が周りを信頼出来ないといったように、誰もが誰もかも信頼できない関係になってしまう。しかも、誰に対しても相手の望む自分像をつくり上げることが出来る演技派の彼女としては、そんな諸刃の剣を使ってでも、太一から安心感のある言葉を聞きたかった。

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それは絶対的に信頼していたから、ただ指摘してくれるだけで安心できた。そういう意味では伊織は安易に考えた部分があって、まさか太一が姫子と信じきった現実に直面して、我を忘れてしまったのだろう。こっそりやって、こっそり安心して。そんな伊織の思惑が外れた時のショックは計り知れないと思う。

結局は太一の伊織への気持ちは、伊織の誰に対してもカスタマイズできる自分を下回ってしまったわけです。ある意味ではその能力を使って演劇部とかに入ってみるのも面白いとは思います。

ですが、その自動でカスタマイズされてしまう自分を普通の自分に戻したいという意味では、誰かが見つけてあげないといけないんだろう。それは彼女が自分らしさにこだわりすぎて、自分をいつまでも見つけられないままの人生を送らせないためにも。

橋の上での謝罪、そして、告白


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で、伊織を追いかける太一。黄昏れている伊織の側に行って謝罪。ここで義文と違う点は義文はただひたすら謝ることしかできないけれど、太一はその先へと踏み込んでいく。触れてほしくない部分に積極的に触れていく。救うと決めたなら、とことん救う。中途半端に救いはしない。

そこに太一の人間らしさがあって、伊織にも同じように人間らしさがあると言う。太一の返し言葉に屁理屈だと伊織は言うけれど、伊織の質問全てに太一は即座に返しているんですよね。

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どんな問いであれ決して口をつぐむのではなく、どれもこれも伊織の一部であって、それが伊織を形成しているんだという主張を通すためにも、それは自信を持って発言しないといけない。

それだけ伊織を見ているんだということと、伊織の主張を通させないことで、今までの伊織の我を肯定するためにも。逆転の発想ですよね。

自由に生きていいから、これから新しい自分を一緒に見つけ出そうと手を取り合って支えあっていくのではなく、今まで自由に生きてこれなかった伊織も伊織なんだという主張は自由でなかった頃の伊織も肯定してその態度や性格も全て今の伊織そのものなんだから、自信を持っていい、という主張は普通に格好良かった。口先だけでの自己犠牲野郎には全然思えなかったよ。

自己犠牲野郎から自己中野郎へ


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で、その自己犠牲野郎から自己中野郎へと昇格。いや、この場合、降格か。太一の言い分はわかる。自分が犠牲になればその人の痛みも苦しみも背負って、誰かを完全に救えることが出来る。

だけど、その反面、残された伊織からすると、自分の命の代償として太一の分まで一生背負わない悲しみがあるわけで、周りもそのことを知っているから、どうしても気まずい空気が流れていつの間にか部は解散し、伊織だけが残される。そうした時に太一の自己犠牲は本当に犠牲なのか?

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そういうことを言う奴は自己中野郎だと罵る姫子は本当に他人思いな性格をしているんだな。太一や義文や伊織や唯は時々一つのことにしか頭に入らないことがあるけれど、姫子は常に全体を見ている。その4人にとって保護者的存在かもしれない。

だけど、前回の告白で保護者、いや、人間として失格だと自ら烙印を押した。だけど、それは普通のことで姫子は姫子のまま変わらないし、周りのことを客観的に見てくれている証拠でもあるし、信頼が増すエピソードだった。

だからこそ、太一のことを客観的に見て自己中野郎と言える。誰もが幸せになることを望んでいる姫子だからこそ、誰かが犠牲になる道を模索するのではなく、最善策で臨みたいだけなんだと思う。

用意されたバッドエンドに抗うことなく…


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で、死者を選べ。死ぬ人間。死んでほしい人間。死んでもいい人間。きっと風船葛はこうドロドロした雰囲気を期待していたんじゃないかな。全ては計算づくだったと言っていたけれど、人が人を疑って精神が崩壊して自殺するような人としてどうかと思うような面白いことを期待していたんだと思う。

だけど、誰もが支えあい、救い合い、信じ合った結果、事態は好転にしか向かわなかった。まあ、自殺までしようとしていたら、善良な市民を守るため、そこで風船葛からのストップが入っただろうけど、この5人の結束力は固かった。

それが気に食わなかったから、ちょっと本気出して誰か死なせてみましょうか?みたいな感じでバッドエンドを用意しているように見せかけることで、試練を用意した。案の定もめてしまったけれど、伊織が事態を理解してからは落ち着いたものだった。

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姫子としてはこの不条理な死に対してどうにかしたかったけれど、風船葛の意志に逆らえないことを理解しているからこそ、伊織が最期に望んだ一人ひとりとの会話。その想いを汲んだ上での納得。

別れというのは突然で、「こうやって時間を用意してあげたことを感謝して欲しいくらいですよ」と言ってきそうな風船葛の言葉が頭に浮かびましたが無視して、最期の言葉としての太一への告白の返事に泣けてきた。

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ヒトネタ挟むというのはわかっていたけれど、その後の雰囲気が最高に良くてね。泣けてきた。泣いている伊織(姫子)と泣かない太一。伊織としては一緒に泣いて欲しいけれど、泣いても泣かなくても太一の心は橋の上での告白で信じきることが出来たので、それだったら笑顔でお別れ。

告白への答えはイエスだけど、太一の人生を束縛しないように付き合うこともなく私のこれからの人生のように自由に生きていいよ、という言葉は重い。伊織も最期になって自己犠牲野郎になったのでした。その自己犠牲野郎同士のカップルが見たかったぞ、おい。

そして、伊織は死に……


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って、流れで死ぬのは伊織、人格も伊織。こう無難にまとめられちゃうと楽しみがなくなっちゃうんですよ、とばかりに、それだったら、むしろ生かしておいた方が彼らにとってのサプライズだから面白くなりそう。という理由だったのかもしれないです。

まあ、いつまでも風船葛の手のひらの上で転がされていた彼らだったけど、彼らなりに未知の生物の風船葛に最初から最後まで試練を乗り切った感じです。風船葛はあなたたちにもいいことあったでしょ、みたいなことを言ってましたが、確かに太一を中心にこの5人の絆は深まった。

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だけど、それは治りかけの大傷をまた開いて本格的に縫うみたいな感じで、見えざる手が働いて何かを動かすというのはあまり好きではなかったりします。確かに人の内側というのはなかなか明らかにならない部分が多いし、ランダムに入れ替わる経験も貴重なものだったように思える。

そういう意味では結果オーライなんですよね。上手くいったのは彼ら5人の性格や信頼や想いが上手く巡ったからこそで、それを計算してランダムという風船葛の意志によって操作されていたのだとしたら、それはそれで良かったのかも知れません。

でも、いつかは逆襲してやりたいものですね。それよりも伊織生還おめでとう。この笑顔だけで私は今日も幸せに生きていける気がしますよ。

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