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ミステリーっぽくなってきましたよ。それと同時に摩耶花と里志が心と体で動き出す。摩耶花の漫研での立場とか居心地の悪さはなんとかしてあげたいですね。


摩耶花の「無視すればいいじゃない」の一言が核心つきすぎて笑った。本当、誰もがそう思ってしまうほどの奉太郎の省エネっぷりは半端じゃ無いのに、えるのことになると面倒な事になると思って面倒事を引き受ける。

無視しない面倒とえるを拒否する面倒を比べてみれば無視する方が楽に決まっている。だけど、えるのあの目の輝きが奉太郎の心を動かしてしまうのですよね。

そして、それを一度引き受けると、今度も引き受けてくれるという信頼をもとにまた面倒事を引き受けなければいけない。そして、また信頼を維持するために(以下、エンドレス

面倒事という表面上の繕い


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つまりは奉太郎にとってえるを無視した面倒事よりも、えるから信頼を得た面倒事の方がよっぽど重いというわけで、それは人からの信頼や交友関係の大切さを暗に示しているのですよね。

そこから、摩耶花も無粋にツッコミを入れない。攻めようと思えば簡単に攻められて陥落してしまいそうな奉太郎城もこれまら摩耶花からの信頼という優しさによって攻めてこないんですよね。からかいもしない。

まあ、摩耶花は今回の場合は落ち込んでいる部分が大きいから、ここであえて奉太郎と争っても仕方ないですしね。むしろ、奉太郎に協力する側としていなければいけない人間なので、とりあえず、一人笑って「バーカ」と奉太郎を密かに応援している摩耶花が可愛かったり。

奉太郎は周りのことは色々見えて摩耶花が不気味がるぐらいに才能を発揮しているのに、自分のことになると本当疎くて「バーカ」な奉太郎が面白く見えてしまったんでしょうね。

怪盗「十文字」 vs 里志


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で、怪盗「十文字」の犯行と犯行予告。この発想って好きだなー。もちろん、人から物を盗るという行為自体は好きではないよ。莫大な資産を持っている資産家からお金を巻きとって、貧乏な人に配るような怪盗も好きではない。いわば、盗みを働くという行為自体が正当化されてはいけないんだ。

だけど、この「十文字」はカンヤ祭終了後に返すと言っている。つまりは盗るというより借りる。それが同意を得ていないだけですから、怪盗というよりも、怪盗風といったほうがいいのかな。ほとんど役に立たないようなモノしか盗っていないので、カンヤ祭を盛り上げるための一つのエンターテイメントを提供しようってことなんでしょう。

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まあ、それが派手なものを盗んでいないから、一部の人しか知られていないだけで本当はおおっぴらにやりたいだろうなぁ、って感じますよ。でも、犯行が犯行声明を兼ねているため、探偵もどきとして黙っていられない里志としてはここで犯人を捕まえてそれなりに名を上げたかったのだろう。

だから、現場をおさえる衝動に出てしまった。奉太郎に頼んでばかりでなく、一人で何とか出来るってことを証明したかったのかも知れない。でも、それは自主制作映画の時の入須先輩と対峙した奉太郎のように、一人で何でも出来ると過信してしまうと、間違った方向に向かってしまう。

里志も奉太郎と同じ思いをして欲しくない。挫折を何度も味わっている里志なら分かってくれるだろうと思う。古典部4人で解決する道を。でも、静の奉太郎としたら、動の里志の見せ所として現行犯逮捕というのはあったらあったで面白い。それで里志が鼻高々になるような人間ではないしね。

『夕べには骸に』の背景


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あとは何かありそうだった『夕べには骸に』。河内先輩が黙った作品名。この学校で創られた素人の作品。でも、名作として摩耶花の口から出た。摩耶花を煽って名作云々のくだりまでほとんど自作自演に過ぎず、摩耶花の熱意を確かめたかったのかもしれない。摩耶花以外の部員は怖がって立ち向かっていけなかった。

そういう意味では河内先輩から狙い撃ちされた摩耶花は有望人物に映ったのだろう。あとは売り言葉に買い言葉。相手の言葉尻をおさえておけば会話は成立する。その時には摩耶花は河内先輩の手のひらの上で転がされたように見えたけれど、『夕べには骸に』を摩耶花が言葉に出してから河内先輩の形勢が悪くなった。

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この顔は知っているけど、あえて知らないように見せているという気まずさのもと、その『夕べには骸に』を待つことに。この時の河内先輩の心境ってどうだったんでしょうね。大切な友人と一緒に作った合作を「面白くない」と切り捨てるよりも「面白い」と思って摩耶花に頭を下げる方がいいに決まっている。

問題はその『夕べには骸に』を周りが読んだ時だ。河内先輩は口外していないから、先輩たちは例え面白くても面白くなくても、見ていないものを悪く言うような人たちだから、摩耶花の持ってきたモノだということで批判の嵐になるだろう。そこまでいくとさすがに部長の湯浅先輩が仲裁に入りそうですけどね。

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でも、摩耶花が自分が関わったマンガを面白い、しかも名作と言ってくれたことを河内先輩は一生忘れないだろうな。部員に誰にも知られておらず、反応もないことからそれほど売れていないみたいなので、その読者の一人がこんなに近くで自分のことを見ていてくれるなんてね。

後輩イビリの最悪の印象から一気に好印象へと高まりました。いつかは摩耶花と河内先輩が『夕べには骸に』の面白さを湯浅先輩交えて話せる日が来たらいいな。

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米澤 穂信

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