人類は衰退しました - アニメ画像020

まさかの展開に唖然とするも、心を動かすという意味では感動したけれど、それが動かされた方向が悪い方向に思えてしまうのは何故だろう。きっと、私と「わたし」の純真な心は段々と、この作品を見る内に失われていくんですよ。


あれ、初回とサブタイが一緒だって? 間違えてサブタイを一緒のまま出してしまったとか、制作進行がやらかしてサブタイの部分の原画をなくしてしまって、初回の『Episode.01』を『02』に変える時間しかなかったとかそんなこと抜かしやがる人がいるとしたら、わからないですよ。

サブタイが一緒の不思議


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前回は『秘密の工場』という意味そのままでしたが、今回は『向上』かも知れないし、『恒常』かもしれないし、『口上』かも知れない。

もし、妖精さんはこの工場で秘密に何かを向上していたら、その何かに対して向上しなかったから人類は衰退したけれど、妖精さんは向上心が恒常化したから滅び行く定めを逃れたのかもしれない。それを「わたし」が口上として研究成果を会議で述べれば『ひみつのこうじょう』の完成です。

そんなこじつけが出来る世の中ですよ。それが通用するのかしないのかは「しょせいじゅつ」ってやつですよ。それを持っているかいないかで大きく変わってくる。なーんて、初っ端のサブタイを見て思った。つまらない冗談を言ってスミマセン。「わたし」に冷めた目で怒られそうです。

助手さんの高度な冗談


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まあそれで、まさかの冗談ですよ。助手さんの出番が回ってきて歓喜。しかも、絵が上手い。SDキャラの絵が最初から萌える絵でほんわか絵本の始まりです。でも、冗談だから、冗談抜きにしたらいけないので、妙にリアルにしてみました。

だから、起こりえる六人の死亡事故を淡いタッチでかるーく描いて、ナレーションも変にノリノリだ。まあ、七人目が生き抜いて一人残されたわけだけど、犯人はこの中にいる。そういるだけ。超わかりやすい冗談。

人類は衰退しました - アニメ画像002
オチはないけど、まず仲良しという最初の一言が間違いだった。仲良しなのに、人を殺してしまう。仲良しだったのにという過去形ではない。第三者から見れば仲良しだけど、ジェフは心の底では普段の行動とは違うことを考えていた。

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真面目で明るそうな良い子だったのに、というテレビでの近所のインタビュー映像が脳内で流れそうなそんな事件。つまりは人間ってそんな生き物ってことなんですよね。腹の中では何を考えているかわからない。そんなメッセージが込められた冗談。

冗談じゃないけれど、冗談にすればそんなに世の中を悲観しなくて済む。やっぱ助手さんは優良可だけの英才教育を受けただけあるわー。

犯人は局長


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そんな教育の行く末は局長になると考えると、世の中ダメですね。このご時世、地位や名誉もないという世の中で「わたし」の言葉をそのまま捉えれば、助手さんが描いた物語通り、衰退してそして誰もいなくなったらと考えてみる。

つまりは地位や名誉のために闘争し妬むことも人を蹴落とすような真似はしなくてよくなって全ては平等になるね、という前触れだったのですね。

なら、地位や名誉のない平等な世の中にするために自分以外皆殺しですね。平和的でない平和的解決です。全ては秘書がやったと言えばいいのです。平等のためにその秘書もいなくなってしまうのだけどね。

時間を貴重にする「わたし」の思考


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で、悪の幹部を追い詰めた。まあ、本当の悪の幹部みたいなのは局長なんですけどね。チキンだとは思ってもみなかった。最初みつけたあの柔肌プルプルのあの感触を覚えて、いや、あのチキンの不思議現象を疑えばよかったのですね。そのチキンも加工チキンだとやっぱり気持ち悪い。

もう肌身離さず毛皮を着ていて欲しいと、これからの「わたし」の絶望を与えるためのチキンの前口上を見ながらそう思いましたよ。

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まあ、「わたし」にとっては言葉は簡潔に短く、意味もない言葉を並べるでもなく結論を言って欲しいわけですよ。まあ、結論は会議を行う前から出ているわけなんだから、同じようにチキン野郎たちの結論もさらっと一言にまとめてくれれば、こんな30分アニメは必要ないわけです。

その部分は全部ディレクターズカットしてしまって15分アニメにすれば見る方にとっても無駄な部分を見なくていいわけですから、楽って言えば楽ですよね。

ってことを「わたし」がボスチキンのプープー言っているそれを天然で許されそうな茶目っけで聞き流して、いや見逃して、いや見流してしまえば、問題ないってことを、暗に自虐的なメッセージとして発信しているように感じてしまった私はもう手遅れでしょうね。「わたし」の思考病に感染しちゃいました。えへ。

飛べないチキンはただのチキン


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そこでチキンの下克上が始まり、すぐに終わる。助手さんのピストルによって、そうピストルの音だけで、まるで「わたし」のために単身で、(言っていることだけが)極悪非道で(首さえもない丸裸で無防備な)強悪な幹部たちの前で怯まずに臆することなく乗り込んできた助手さんの格好良さに惚れた。

武器もない。ただ撮っているだけ。なのに、洋画ばりのアクションシーンが見られたわけで、これって相手を傷つけるような武器もなく平和裏に救出シーンを演出することが出来たという新しい試みとしてアニメ史に永久に残りますよね。

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しかも、グロい体がさらにグロく残酷なことになっているけれど、加工チキンが普通に様々な加工をされて新しい食材になっただけで、「わたし」たちは別に何も悪いことをしていないのに、罪悪感が残るのは何故だろう?

もう、これって初回の冒頭から鶏を食材にする「わたし」言った命の上に立つ生き物の人間としての命題をさらに見方を変えただけのお話ですよね。だけど、現実は普通に殺生するよりももっと非道いことになっているのは何故でしょう?

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しかも、『アベ・マリア』のBGMがより切なさと絶望を感じる。加工チキンにとっても人間にとっても。そして、サスペンス劇場のごとく窮地に、いや崖に追い込まれたチキンたちの最後の勇姿「I can fly」を確かに見守った。

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きっと「わたし」たちの中で加工チキンたちの逝き様は一生忘れないことでしょう。まあ、「わたし」の心の中で語られたのは「自らの解放」というのだから、幸せな末路だったんですね。ああ無性にフライドチキン食べたくなってきた。

色々助けてくれた「髪」の手


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でもまあ、工場は妖精さんたちの手によって解体されて跡形もなくなっただろう結末を考えると、工場長から新社長となった局長は結局何になったんでしょうね。きっと何ものにもなれなかったんでしょう。そんな残酷な現実は優しさによってカットです。

今頑張って、地位や名誉を得るために努力している人たちを挫折に追い込みたくないですからね。そんな優しさだけで包まれたお話でした。(誰も死ななかったのに、見ていて大事なものを色々失ったような気がするのは気のせいです。そう、気のせいと思いたい)

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そして、ラストのオチ。見えざる「神の手」は「髪の手」だったと。まあ、長い友達として今後は罰として切られないように「わたし」の活躍を期待するばかりです。

で、本当のオチはED後のCパートだけど、それについては触れたくない。もう私の純真度はゼロに近い。少しだけ残しておきたいから、良くなかった探しをやめた彼女たちの未来に希望を夢見て。そして、私は純真度を取り戻すために来週に備えて良かった探しでも始めよう。そうしよう。

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田中 ロミオ 山崎 透

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