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お婆ちゃんを想う気持ちは夏樹に痛いほど伝わって、その想いを伝えたい、ユキの想いを伝えてあげたい、そんな支えになるための夏樹の行動に泣けます。


あぁ、やっぱり夏樹好きだわー。ユキの昔と今を比べての成長には劣るけれど、ユキは対面恐怖症に近いものがあるだけで根は昔から良い奴だったから、それが上手く表面化しただけなんですよね。その下支えになったのがお婆ちゃんであり、ハルであり、夏樹である。

お婆ちゃんだけでは甘えもあって、現実から逃げてしまっていたけれど、ハルが半ば無理やり付き合うことを強要したために、夏樹を含めた3人の人間関係が出来上がった。それは釣りを通して、3人の共通目標を持つことで部活にも似たチームプレーを養い、誰もが人との関わりを楽しみ、釣りを楽しんでいる。

誰からも好かれる人間はいない


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その中でも夏樹は釣りに関しては熱いハートを持っているけれど、それを表には出したくなく、秘めたる闘志として、自分だけのプライドの結晶として隠していた。それはやっぱり周りから釣り=おっさんがやることみたいな図式が出来上がって、クラスメートからの目を気にしていたせいもある。

だけど、その偏見はいつか払拭したいと思ってはいたけれど、ユキと同じでやっぱりコワイんですよね。周りに対して、期待されている自分像を作り上げてしまって、その理想に近い幻想を壊したくない。他人からよく思われている自分でいたい。だけど、これって何を基準によく思われるかってわかりづらいんですよね。

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その自分像が好きな人もいれば嫌いな人もいる。万人から好かれる人間なんていないわけで、そんな人間がいたら超人というか、逆に周りからの嫉妬でやっぱり嫌われてしまうということで、ある程度の区切りが必要なんですよね。別に誰かから何か言われようと、バカにされようと、蔑まれようと、無視されようと、自分のやりたいことをやって悪いことはない。

むしろ、やりたいこともやれないままに人生を終えてしまいたくない。そんな気持ちを夏樹とユキは抱いていたと思うんです。だけど、その勇気が出せなかった。主人公のユキの変化がクローズアップされがちだけど、夏樹の変化の方が大きいと思うんです。

夏樹の人生設計の修正


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一人でクールに学校生活を無難に過ごし、趣味は釣りで、将来的にも船乗りか漁師あたりにでもなりたいと思うだろう。そういう意味では自分の人生設計がこの年で出来上がっているのだから、将来を見据えた真面目な子であるということなんですよね。

だけど、ユキたちがいなければ、人と関わることよりも、魚と関わることの方を優先しそうで、好きなことをやっているのに寂しい人生にもなりかねない。しかも、家庭では不和が起きているし、同い年の子と仲良くしている姿はあまりない。人に期待しない。あてにしない。信じたくない。

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そんな卑屈な気持ちを生涯抱き続けてもおかしくなかった。だけど、船長という心が大らかな人にも巡りあったし、ユキとハルは夏樹に対して気軽に文句は言うけれど夏樹のことを決してバカにしたりはしない。

「一回しか言わない」を口癖にしていた夏樹の教え方にも変化があった。一回しか言わないってことはそれだけ集中して聞いて学んで欲しいという情熱の表れでもあるけれど、釣りの難しさを知っている夏樹にとっては一度でわかってしまうような、そう簡単なものではない、というのは知っている。

だから、どれだけやる気があるか試している部分が強かった。生半可な気持ちで釣りに関わってほしくない。むしろ、その教え方の厳しさに釣りが嫌いになってもおかしくない。

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で、ユキはその夏樹の指導を受け入れ、真剣に取り組んだ。バケツにルアーが入った時の夏樹の喜びようは尋常じゃなかったのは、今まで同士と言える同士はいなかったし、同士と呼べるのは船長のバイトで知り合った客くらいで、誰かと一緒に釣りをする楽しみを彼はまだ知らなかったのだと思う。

半ば諦めかけていた一人での釣りが、仲間と一緒に釣りが出来るということがこんなにも早く訪れるとは思わなかったので、その嬉しさを隠しきれずに走りだした。その楽しみが明日にでも訪れようとしているし、これからも一緒に釣りをしていくという意志を感じ取っていたからこそ、夏樹の中でようやくわかりあえる本当の友達が出来た。これは嬉しくてたまりませんよね。

運良くハルも次の日バケツに入ったし、それを言い訳というきっかけにして夏樹の方から実践に行くと言い出した時の彼は平常心じゃなかったと思う。そして、段々と打ち解けていく3人。

誰かと誰かが喧嘩すれば、余った誰かがフォローする。釣りという大きな目標と趣味があるからこそ、その熱意のおかげで問題がおきたとしても友達としての信頼関係が深まる。この連鎖の末にようやく今回、夏樹の優しさがこもった言葉に感動してしまった。

「ユキが釣らなきゃ意味がないだろ!」


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「ユキが釣らなきゃ意味がないだろ!」。これは別に夏樹が教えたことで成長したユキに信頼を置いているだけでもなく、ユキがお婆ちゃんのために釣るという意識が一番重要だということがわかっているからこその言葉。

ユキが自分だけの釣り道具を欲しいと思った時も、夏樹がその手伝いをしたけれど、実際に体を張って給料を稼いだのはユキ。その対価としてのご褒美が自信にもつながるし、自分のために自分が頑張って稼いだお金で自分の好きなことに使う、そんな喜び。

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そして、今回は愛するお婆ちゃんのために自分が頑張って釣ったマグロで与えることの喜びを学ぼうとしている。結構当たり前なことに感じるけれど、意外とこの二人にとっては斬新なこと。最初の頃は自分のことしか頭に入っておらず、他人に対してどう思われているかは気になるけれど、他人のために何かをしてあげたいという気持ちはなかなか実践できなかった。

最初にも書いたけれど、ユキは少々その気持ちはあったと思う。でも、そんな二人が同じ気持ちを抱いていることがなんだか嬉しくてね。別にアキラが釣ったマグロをユキが釣ったように見せてプレゼントしてもいいとは思う。だけど、それでは意味がない。

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大事なのはマグロをプレゼントすることではなく、お婆ちゃんのために自ら努力して頑張って挑戦したという気持ちなんですよね。お婆ちゃんからすれば、孫が釣りという楽しみを覚え、ハルや夏樹という友達と一緒に仲良く出来ていて、ユキ自身が喜びを見出していればそれでいいんですよね。マグロは好きかもしれないけれど、それだったら、近くにあるスーパーでマグロの刺身を買ってこればいい。

だけど、そんな考えは出さずに、彼らは努力した。例え、釣れなくてもそれだけお婆ちゃんのために動いた彼らを誰も責められないと思う。特に夏樹にとっては家庭の複雑な事情を抱えていて、ユキにとってのお婆ちゃんはどういう位置づけかは全てを理解しているわけではないと思う。

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夏樹にとっての家族というのはある意味禁句でもあり、ハルが夏樹の店で夏樹の家族とはしゃいでいる時も顔を出せないくらいにその家族というあり方については夏樹自身が答えをまだ出せずにいる。だけど、妹と話している時は優しいお兄ちゃんでいられる。

家族で一人ぐらいしか心を開け放せないような大切な人のために頑張ろうとする意志。それは夏樹もユキも変わらないと思うので、夏樹はユキの大切な人のために全てをかけて頑張ろうとする気持ちがある程度理解できたんだと思う。だからこそ、この言葉は厳しさの根底にある夏樹の優しさを表していて、その熱意故に泣いてしまいそうになりました。

アキラの不思議


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といいつつも、今回の事件でアキラとハルが本格的に動き出しましたが、いまだ状況はつかめず。何故かいつも3人のそばにいるアキラがようやく真面目な行動に出ましたよ。

真面目というか正常というか、今まで絡んできそうで絡めなかった微妙な立場にいたけれど、今回も絡めなかったということで残念な人で終わりそうな感じです。でも、ハルの覚醒によってようやく物語がファンタジックに動き出したので、彼の今後の活躍ぶりにも期待です。

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というか、任務よりもカレー食っているか釣りやっている方が長いというワナ。むしろ、お前も一緒に俺たちと釣りやりたいんだろ?って夏樹に言わせたいくらいにぴったりくっついて、本人は一緒に釣っている気分なんだろうけど、仲間に加われれていないもどかしさがなんだか笑えてきます。

これは狙っているのか、本気なのかわからない所が売りなんだろう。でも、船を持っているということでようやく役に立ったけれど、全く夏樹からは見向きもされない様子は彼は釣り的にも人間的にも見込みがないってことなんでしょうか。いいんだ、任務を全う出来れば彼にとってはきっと。でも、釣りはしていたいんだろうから、ハルが地球から去ることを一番寂しがるのはアキラかも知れないねw。

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