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そんな餌に釣られ……たクマー(AA略


わー、驚いた。これには度肝を抜かれた。色彩設計が色鮮やかで若干厚塗り風味な感じがどうしても受け入れられないかもしれないと思っていたけれど、初回を見た限りでは拒絶反応も見られず、逆にその絵柄がとても好きになって、この景色がまるでファンタジーのような現実、いや、現実というファンタジーかもしれない。どちらにしても、その異質でありながらもどこか現実味を帯びた作りにこだわりを感じてしびれました。

監督・中村健治への期待


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いやー、監督が中村健治ということで期待していたのですよ。だけど、男性だけしか出ていないというのがなんとも寂しくて微妙な感じになるのかな?という懸念を一発で払拭しましたね。いきなり「僕、ハル。…宇宙人!」ですよ。この突拍子のない会話を成立させてしまうというのに驚きを隠せないのと同時に心躍る展開をこれから期待してしまう瞬間でした。もう、この一言で心奪われましたね。初回は世界観とこの一言に尽きると思います。

監督で期待していたと書いたけれど『モノノ怪』は見ていなくて、前作の『C』を見たんですよね。その『C』がただのカードバトルではなく、現代社会を痛烈に風刺しつつも、個人の中でのお金をベースにした価値観を問うという意味ではかなりの完成度でしたし、こんな異色作を作れるというのがまず驚きでした。『C』は絵柄が好みだったんですよね。普通に女の子が可愛いし。そんな邪な気持ちで見てはいけないのだろうけれど。

キャラデザは『センコロール』の人


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で、今回のキャラデザは宇木敦哉ということで、劇場の『センコロール』のキャラデザを担当していたので絵柄は知っていました。キャラはエヴァの貞本義行に似た感じではありますが、あちらは普通に女の子が可愛いけれど、宇木敦哉は淡白な感じでリアルに近い表情を作るのを得意としているように見えました。

だから、萌え系ではないけれど、どんなに顔を崩しても、作画は崩れていないので描きやすいと思います。むしろ、その方が味があって好きだったりします。

理解を放棄してもいい楽しさ


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内容に関してはもうニヤニヤしっぱなしですよ。もう初っ端から何のアニメだ?って印象を抱かせて、その話も初回では回収しきれていないけれど、そこから現実の宇宙人が出てきた時の安心感ったらないですね。って、宇宙人の登場で安心できるアニメも少ないとは思うけどね。本当に宇宙人かどうかはわからないですが、どこかの刺客に狙われているので、嘘のようではないようです。それに金魚鉢の中に入っている生物も何か気になるしね。

現時点ではすべてを理解しなくていいのだと思います。黒縁メガネのつり王子と宇宙人とあがり症の主人公の三人の心が釣りを通して少しだけつながったという理解だけで良いかと。ボーイ・ミーツ・ボーイ。だけど、決して腐の感情は抱かせない純粋な友情。

ユキの友達関係の問題


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転校を繰り返す度にどうしても普通を演じきれない主人公に自分を重ねてしまう。転校が多いことには別に慣れていて、そのために築きあげた友人関係にはあまり興味がない点が問題だと思う。

とりあえず、最初と最後の挨拶だけはきっちりと自分を出して綺麗に終わりにしたいという気持ちだけが全面に出てしまう。ある意味、自分がどう思われるかを第一に考えてしまうのって自己中ですよねw。いや、ただそのあがり症と転校のせいで友人もいないので、自分の誇りだけを大事にしてしまうという気持ちが強いのかもしれないですけれど。

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頻繁に転校するから友達は作らないで、人間強度を高めるみたいな思想はなく、一人ぼっちでいることは辛いし、他人のことをよく観察して親切心を忘れない気配りはかなりあるので、どうして、友達がいないのかわからないですが、きっとそれは本人が思っている以上に人との付き合いに対して奥手になっているだけで、ある程度の人間関係が構築できれば、後は問題ないと思われます。

そうなると、今度もまた転校して別れの辛さを本当の意味で味わうのだろうけれどね。それは本人にとって幸せなのか不幸せなのかはわからない。だけど、ハルとは関わりたくないという気持ちはわかるけどねw。

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そのハルが一番友達に近いのだから、同じ一括りにされてしまうのはどうしても避けたい所ではあります。そのための誤解は解きたいけれど、ハルのムードに乗らされて、全く弁解が出来ないまま終わるユキを見るのは傍目に見ていて楽しいです。

シーバスはゲットできなかったけど、つり王子をゲット


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そして、釣りの面白さ。転校初日からまたもや失敗という雰囲気で肩を落とすユキでしたが、ハルがしつこいぐらいに近づいてきて(いつの間にか同居まで決まっているというw)、友達一人ゲット。そして、ハルが夢中になっている釣り具屋さんつながりで、つり王子もゲット。

こちらは釣りに関してはかなりの玄人志向というか、釣りに対するこだわりから、一緒に釣りをすることを承諾して出かけましたが、釣りをしている時の彼の表情を見るにまんざらでもないよう。彼も釣り仲間を欲していたのでしょうね。そんな感じでなし崩し的に仲良くなった三人。

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それがどう変化していくのか楽しみで仕方ありません。それと、スピッツの『空も飛べるはず』でちょっと泣きそうになった。個人的にはドラマの印象の方が強くて、それを思い出してウルッと来たのかも知れませんが、この作品では海にいる魚がテーマで、それが空も飛べてしまったら、ほぼ自由ですよね。飛ぶという意味では飛び魚がいますけれど、それは一瞬の跳躍に過ぎず、すぐに重力に押し返されてしまいます。

だけど、ずっと飛び続けて自由に生きることが出来るなら、それはそれで幸せであがり症と友達関係で問題を抱えているユキからすれば、自由に誰とでも上手くやっていけるようになれたら、それはそれで幸せで、それがこの作品の着地点ではないにしても、ハルの乱入で彼の人生は思わぬ方向に転がっていきそうでストーリーの予想ができません。個人的にはつり王子に期待しています。

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