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「知りたい」と思う普通の感情と「知らない」不安にかられる感情と、「知った」願望の行き着く先にあるものは?


えるに手を握られて、図書室に行く奉太郎は逝ってまえー!って嫉妬している場合じゃない。いや、今までの流れからいくと奉太郎は手を握られるのを待っているのではないかと勘ぐってしまう。えるの意見にも反対して顔を近づけるくらいに圧迫面接、いや、意味が違うな。

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とにかく、えるの気を引いて、えるを近くに感じたいという思春期特有のアレではないかと思ってしまう。だけど、奉太郎の心の声が聞こえているからそれはないだろうと思いたいけれど、裏ではウヒョーとか思っていたら、一気に奉太郎株暴落です。奈落の底に突き落とします。

でも、えるが奉太郎の手を引いていく姿はまるで介護老人をヘルパーが支えてあげているようにも感じたり。そのヘルパーの足が少し早いだけで、なんだか奉太郎がドナドナされていく様を見るのがなんだか楽しみになってしまいそうな光景でした。なんだ、えるに萌えるかとおもいきや、奉太郎に萌えるアニメだったか。

「パーツの集合体」


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パーツの集合体、各科目の成績の集合体。それが組み合わさって人を評価する。はたして、それは評価の基準としては正しいのだろうか? 人の評価で勉強が出来るとか頭がいいというのはある意味褒め言葉ではあるけれど、そのどちらかで言われるならば、頭がいいという方がいいだろう。前者なら勉強が出来ても、役に立たなければ意味がないと言われてオシマイだ。

なら、頭がいい。つまり、頭脳明晰とも言い換えることで、何か人より優秀に見える。人として評価が高いと自己満足して終わることが出来る。こんな感じで、ただゴタゴタを並べるだけで何か読んでいる人がスゴイと感じれば、それはそれで言葉に騙されているだけに過ぎないだろう。

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言いたいことはひとつの言葉に集約されているだけなのだから、言葉数多ければそれがスゴイことになるならば、里志は最高にスゴイことになる。遠回しに比喩的に難しい言葉で弄れた言い方に変えればいいだけの話で端的に言えば一言で済みそうなことなら、奉太郎ではないけれど喋るエネルギーや理解するためのエネルギーを使わないで済む。

短い文章と長い映像と…楽しみを求める先


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今回で言えば、「美術室でモデルのモチーフに使われたために学校の本が毎週決まった時間に貸し出され、決まった時間に返却されていた」というだけの話になる。つまりはあらすじだ。それだけの話だったら、その文章を読めばいいだけで、わざわざこのアニメを見るために30分もかけて時間を割く必要もないだろう。時間の無駄と思考の無駄、体力の無駄である。

しかし、その文章だけを読めば楽しいかというと、そうでもない。そこがこの作品の根幹となる部分でもあるような気がする。単純な話、アニメを見ずにあらすじだけを見てそれだけで楽しいと思えるかと言われればノーと答える人が多いだろう。せっかくならアニメを見ながら色々と考えたい。

会話しながらコミュニケーションを交えながら議論している彼らを見て楽しみたい。そして、謎が解かれた時のスッキリさっぱりとした気持ちを味わいたい。そのために労を惜しまず30分のアニメを見るわけだ。と言っても見るだけだから、それほど体力を使っているわけでもないけどね。

知ることは納得することと同義ではない


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で、一番大事なのは真実を知るための力でも、真実を知るための行動でもない。自分が納得できるかどうかだ。今回でいえば、えるが納得すればいいという奉太郎の思考が正しい。奉太郎自身は別に真実が知りたいわけでもない。ただ、エネルギーを消費しなければいい。

里志は奉太郎のことをわかっているから、そこまで追求してこないだろう。からかいつつもえるを使って奉太郎を動かそうとするかもしれないけれど、そこは空気を読んでわかってくれるだろう。そして、今回初登場の摩耶花は里志のことが好きだから、里志の饒舌な喋りを持ってすれば丸め込めることが出来る。

で、残ったのはえるってわけだ。例え、真実を伝えたとしても、えるが納得しなければそれは彼女の満足につながらない。真実を知ってもまだ「私知りたいです」と言ってくるかもしれない。

例え、真実でなかったとしても、えるが納得すればそれで終わりだ。だから、この作品ではミステリー風味にして謎を出して真実を知ることが第一優先ではなく、えるを通して奉太郎や周りがどう変化していくのかという部分に焦点を移したほうがいいのかもしれないと感じました。

「知りたい」願望と「知らない」でいい願望の対立


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で、その流れで、えるの言葉「パーツの集合体」の後の「思考を生み出すシステムが知りたい」というのが大事だと思っていて、人が「知りたい」と感じるのはなぜだろうという部分が重要なんだと思います。

まあ、えるがなぜ知りたいのかって話だと、自分で自分のことを言っているような気もするけれど、やっぱ「知らない」のと「知りたい」のでは全く違う。知っていて得することがあれば知りたいだろうし、知って得をしないのであれば知らない方がいい。

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だけど、得をしないとしても真実を「知りたい」という願望は多くの人に存在すると思う。思考を放棄して、何も知らないままに、何の知識も知恵もないままに人生を終えたいと思う人が数少ないのと同じ事だと思う。

だけど、奉太郎の場合は「知りたい」という感情がほぼないので、そこで人生を一時停止させて時間だけが過ぎていくのをただ眺めているだけという心理があるのもごく一部ではありそうです。

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それは人生に疲れたとか、人間が生きる意味について達観したとかそういう意味でもあるけれど、それはそれで寂しい生き方になってしまうので、やっぱり、えると摩耶花と里志が楽しく喋っているのを見て、エネルギーを消費させているだけでもったいないと感じてしまうのと同時に寂しさも感じているので、その3人が奉太郎をどう変えていくのか楽しみです。

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しかし、えるも可愛いけれど、摩耶花も可愛い。その二人がそれぞれ奉太郎と里志に好意を持っているのだから、全く、これからは奉太郎と里志に嫉妬する日々が続きそうなヨカンだぜ。

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