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自分が録音したテープを再生するように、えるの前で再生してみせたけれど、奇しくも古典部が再生しちゃいました。


京アニ新作きました。もう、待ちくたびれたー。京アニが真面目にシリアスに取り組むという意味ではKey作品を除くと『ハルヒ』以来になると思います。『けいおん!』は2回も作られたけれど、どちらかというと癒しやコメディ向きであって、シリアスに日常を描くという意味では『日常』に続き、新たな冒険へと乗り出した印象です。

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原作が角川文庫なので、同じミステリーチックな『GOSICK』の挽回として角川が京アニに頼み込んで、これで成功しなければ、アニメでミステリーは無理だと角川も諦めがつくでしょう。って、『GOSICK』好きなのに、『GOSICK』disっている流れになってるw。

角川的には売れないとダメなんですよね。厳しい世の中です。まあ、同じような流れでP.A.WORKSに『Another』のアニメ化もしたけれど、角川はどうしてもミステリーで売りたいんでしょうかね。そういう意味ではこの作品の大ヒットを期待しています。(『GOSICK』も京アニで作るって話が出ていたのに、ボソッ)

省エネを貫き通す奉太郎


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で、氷菓の評価ですが、最高でした。もうね、冒頭から心をがっちり掴まれた。高校生活が始まり、春真っ盛りで部員勧誘で先輩たちが集まっていて盛り上がっている中で一人テンションが低い奉太郎の陰鬱な感じがたまらなく好きで、なんだかこれから待ち受けている人生にもう嫌気がさしているような感じで、そのテンションがいつまでも変わらない所に性格のぶれなさを感じて最高でした。

可愛らしいえるに会ったとしても、その姿勢は変わらず、自分のエコを通す。エゴを通すのではなく、エコを通す所がいいよね。主張しすぎの現代社会において人畜無害の彼がこの世の中には必要だと思う。

里志の役割


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この省エネ姿勢って、ただ単にやる気がないという言葉に言い換えることも出来るけれど、あえて、その言葉は使わない理由にやる気はそれなりにあるけれど、そのやる気を出すための何かがこの世の中にはないと達観してしまったのだと思います。なら、そのやる気を出させる役目が里志というわけだ。

だけど、そのやる気を起こさせるために彼は百万言を尽くしても、奉太郎は意に介さず全く気分がのらないのだから、どっちのせいだろうね。個人的には相槌を打つタイミングさえわからないくらいに言葉の波が流れ出るようにしゃべっている里志がうざくなってきましたよw。言っていることは正しい。それにテンションも少しだけハイなので、気分は悪くない。

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だけど、なんだかムカツク奴に見えてくるのは、中の人の阪口大助のせいか、その中の人が演じた『CLANNAD』での春原のせいかわからないけれど、まあ、彼がしゃべっていてくれればストーリーは進むのだから、進行役としては適任すぎるほどに適任。

そして、観察力に加え洞察力にも優れ、ちょっとしたジョークも交えて言葉巧みに話を運んでくれる。そして、一人で始まり、一人で終わるんなら、本当、ムカつく奴で終わってしまうけれど、話のオチとなるおいしいところは親友に残しておくあたり、なんとも良く出来た名脇役である。

里志がいなければ、えるが古典部に入るということで、省エネ主義の奉太郎は古典部に入らなかっただろうし、奉太郎をサポートしつつも、彼のその生き様に惚れている一人としてなんとしてでも関わっていたいんだろうなぁ、という好奇心と友情の狭間で揺れている里志を見ているとなんだかワクワクしてきますよ。

奉太郎の描く灰色の人生


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って、奉太郎の話をしようかと思ったら、里志の話になっていたよ。どうしても、里志のセリフ数が多いし、そのセリフ回しの面白さに惹かれて、他の二人が隠れてしまうんですよね。奉太郎はその知力で、えるはその美貌でなんとかなっているけれど、普通の子じゃ、里志に太刀打ちできないぞ、という印象。

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だけど、奉太郎はどこにでもいるひねくれた感じで人生に挫折してもいないのに、幾年か経てばその挫折がそのうちあるだろうから、今のうちに挫折感の気分を味わっておこうという感じなので、性格が全く読めなかった。それこそ、里志が彼と話してくれなければきっと奉太郎の信念や考えというのは全く同意出来ないものになっていたかもしれない。

バラ色の人生なんて憧れても、どうせ大した色にはならないだろうけれど、初っ端から灰色の人生を選ぶ彼の意志は固い。里志の説得にも全く応じないくらいだから、姉貴になんとかしてもらうしかないんだろう。そういう意味では彼は自発的に何かをしようとは思わない点がすごい。

えるの膨大なる記憶力と好奇心


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で、その正反対な生き方を願っているのが、える。何か謎があるとその謎が解けないのが悔しいというか、考えても考えてもわからないってもどかしさはとてもよくわかる。まあ、好奇心があるから謎に興味があるだけで、謎があったとしても、あー不思議だね、で終わってしまっても問題ない。奉太郎はだから無気力。

逆にえるは何としてでも答えを知りたい。要はその知識の宝庫というべきえるのその記憶力の良さゆえに、その不思議を解いてみた時の開放感というか、自分なりの納得を得たいと願ってしまうからなんでしょうね。人より記憶がいい分、忘れてしまうことも少ないというのが仇にもなって、悔しさにも繋がって、だから、必死にその謎を解いて欲しいと初対面に近い奉太郎の手を取ってお願いをしてしまうのでしょうね。

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まあ、可愛い女の子に手を握られて迫られるくらいでは、意地でも動かなそうな奉太郎の意志が動き始めた演出が良かったですね。えるがただお願いするだけではなく、彼女のその熱意が心のなかに迫りくるものがあって、それを断れないように奉太郎の体を文字通りがんじがらめに縛って、同意以外の答えは受け付けないという意味での拘束。

「今すぐ動き出せ」と言わんばかりの圧迫を与えて、えるのそのキラキラした好奇心を無下に断ってはいけないような気がしてしまうような気持ちが伝わったからなんでしょう。恐ろしい子やわー、えるw。

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で、そのえるの好奇心は留まる所を知らないので、彼女に関わったらどんだけ動かされるかわからない。文学系部活なのに、アグレッシブな彼女。古典部だったら、本を読みながらちょっとしたティータイムを挟んで、そのあとは本を読んで各自帰宅。とか、そんな風に考えていたから姉貴の願いを引き受けたと思うんです。

そんな彼の前にえるが現れたものだから、とにかく、追い払うために不思議の一つを解いて、そのもやもやを消してあげて、今回でスッキリサッパリ縁を切りたかったんでしょうね。そのために、あんな小細工してまで、謎をでっち上げた所になんだか奉太郎の人間らしさが見えてきます。

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そんな自作自演に加担する里志も彼のそんな挙動を見て面白がっていて、最後に奉太郎を古典部に入れさせるなんて策士すぎますよ。自分の口からではなく、彼女の口からなら絶対に断れないという意味では、奉太郎をどうにかして変えたいという意志があるのでしょうね。それだけ里志は奉太郎をかっているということで、やっぱり切れ者の二人は最高でした。

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そういう意味ではえるの可愛らしさだけに注目するのではなく、奉太郎と里志の男二人が魅力を増すという意味では男女ともにキャラが栄えているし、ストーリーも謎を混ぜながら、考える楽しみもあるし、その裏に隠された奉太郎や里志の考えていることにも注目しながら見れるので作品としてのクオリティは半端無かったですね。

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