少女不十分 (講談社ノベルス)
西尾 維新
講談社
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世界観

[ノンフィクション風?][変態][ロリ][家族][精神障害][シリアス]

あらすじ

少女はあくまで、ひとりの少女に過ぎなかった…、妖怪じみているとか、怪物じみているとか、そんな風には思えなかった。―西尾維新、原点回帰にして新境地の作品。

短文感想(ネタバレなし)


西尾維新クロニクル以来の西尾維新ファンブック的な存在になりそうな、この本。この本の評価については大きく別れると思う。

というのも、エンターテインメントとして読めばいいのか、現代文化に対する風刺としてみるか、西尾維新という裏側が垣間見えるような人柄について、色々読者によっては感じ方が違ってくると思う。

とにかく、西尾維新が好きでないと読めないと思う。いや、逆にかなり好きである人は嫌いになってしまうかも知れない。そんな冒険作であり意欲作であり、ある意味、ファンへの裏切り行為とも言えるかも知れない西尾維新の原点。とにかく重い。そして、思い。

いつもの西尾維新の文体とはかなり違って、軽いエッセイ風に書かれていて、ノリツッコミ的な自虐ネタ満載なので、読むのには楽だけれど話がなかなか進展しないので退屈だと思うかも知れない。

それにつまらないと感じるかも知れない。でも、この作品のテーマや本質に激しく同意してしまうから、西尾維新の書くものを追いかけるのをやめられない。

途中、本を投げ出してゴミ箱に捨てようかと思った。1ページで収まる内容を10ページくらいに無駄に引き伸ばしてなんだかやきもきした。

それこそ、筆者から読むのをやめるように促されて本当にやめようかと思った。だけど、終盤にかけての怒涛の展開にはドキドキさせられたし、胸がしめつけられる思いもした。そこに感動はあるか? そこに面白みはあるか? もしかしたら、読了後に感じる部分は何もないかも知れない。だけど、なんだか心には響いた。

あとがきでも書いているけれど、決して万人には受け入れられる本ではないと思う。むしろ、西尾維新初心者が読んだとすれば、全く違うイメージを抱いて、これほどのものかと見下されるかも知れない。

でも、これについては変わった本を読みたいという極少数の人向けに作られたピンポイントな本だと勝手に思っているので、誰しもがこの本を好き好んで愛読書にしたいと思わないように作られていて、ある種の読者に対する挑戦状と受け取ってしまう。

その挑戦状に受けるか受けないかは自由。だけど、このような本を出せるという意味では西尾維新の知名度や固定層のファンの許容度が増しているのかも知れない。

ただ一言言えるのは、西尾維新の作品を一度も読んだことはない人は『化物語』シリーズを読んで下さい。それでも、ダメならば『戯言』シリーズを。前者はコメディを欲する人向け。後者はシリアスに考えたい人向け。

この二つの系統が今の西尾維新を形成しているので、そこから一つ離れたのが本作。なので、まず西尾維新という作家を知ってから読むことをオススメします。そこから、本作を読んで、、、いや、読まなくてもいいかw。それぐらいの感覚です。西尾維新コレクション作品の一つという位置づけ。