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皆さん、ちづめり! サブタイはメリークリスマスじゃなくて、メリーのクリスマスですからねっ。メリーにとっての特別な日であり、特別な人と過ごしたい思いが詰まっただけのお話なんだけど、その特別な人はそばにいなくて……。


千鶴の茉咲に対しての態度。さりげない挨拶、さりげない言葉、ただそれさえも何か許されていないように感じてしまう茉咲との関係。それは春君という好きな人がいるのを知っていて、あわよくばという狙いが在るのかもしれない。いや、ないと思いたいけれど、足は一年生の下駄箱に向かってしまうわけで……。

その不器用さが器用にこなす彼としての恥ずかしさでもあり、初々しさでもあるので、そんな千鶴の気持ちを感づいている祐希と悠太のように温かく見守って行きたいと感じる。

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千鶴としても、後輩に対する思いやり以上のものを茉咲に気づかせたいけれど、それは押し付けがましい優しさほど鬱陶しいものはないという茉咲が春君に最初に抱いたイメージと同じもので、もし春君でなく、千鶴が最初に出会っていれば、別の展開もあったかもしれない。という悔しさだけが彼の心に残る。

時の流れというのは残酷で、一度過ぎてしまった時間も関係も取り戻すことができない。だから、どうしてもいじらしく、気にしてしまい、自分を気にして欲しいと思ってしまうほどに茉咲が気になって仕方ない。そんな千鶴の積極性と分をわきまえる内面の葛藤を感じるだけで寂しくなってきます。

茉咲の心の矛先


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そして、今度は茉咲視点。千鶴とは悪友(?)、要とは恋人にしたい人の友達、そう思っている人たちが茉咲に近づいてくる。それは恋愛でもなく、ただの優しさという好意なんだけど、素直に受け取れない(まあ、千鶴は少しだけ下心がないわけではないけれど)。

それはやっぱり、人の目というもののコワサを知っている彼女自身の他人への恐れ。春君と付き合っている友達はみんないい人。きっとそれはわかっている。それに嫌いでもない。悪くもしない。悪態をつくかもしれないけれど、それはそれで良いコミュニケーションとして人間関係を楽しめている。だからこそ、そんな彼女を罰するかのように、周りの目が悪い方向に進んでしまう。

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人の噂も七十五日と言いますが、クリスマスが終わって休みが終わっても、きっと、要との噂も消えることがないだろうという不安がよぎる。それまで、事実と釈明を伝聞だけで誤解を解くというのはとても難しい。

だけど、そこは春君の気にしない部分で、茉咲のことを助けてあげたいという気持ちは変わっていないので、どんな形であれ、茉咲が幸せになれれば春君にとって幸せなわけで、茉咲の幸せというのはその春君が関わっているわけで……。

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だからこそ、その好意をさりげなく伝えて誤解を解くためにもプレゼントを用意した。きっと、それだけでは無理かもしれないけれど、何もしないよりは何か動いた方がいい。

人の気持ちというのは移ろいやすく、簡単に崩れてしまい、孤独を知っている彼女だからこそ、出来るだけその失敗を糧にしてなんとか崩れないように一生懸命頑張る。靴下だって、別にどの柄でも春君は気にしないだろうし、茉咲への好意もそれほど変わらないと思う。

だけど、茉咲の心の中でちょっとした安心感が芽生えるという意味では休みの間、学校で会えないからこそ、自分のことを思い出して欲しいという意味でいつも使う靴下を渡して、茉咲という存在を忘れてほしくなかった。

相合傘


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だから、要との噂はそれで帳消しになる。うん、きっとなる。ならないなら、どうしたらいいんだろう…? そんな不安が立ち込める中で千鶴と出会い、また相合傘というシチュエーションになってしまう。

もし、周りが見ていたら、もし、春君が見ていたら、今度は靴下だけでは済まない。きっと、説明してもわかってくれるだろう春君への信頼以上に自分が春君を何か裏切っているように感じて、そこは自重しようと思ったんでしょうね。

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これも順番が逆なら良かった。千鶴と相合傘で噂になって、要との相合傘を断る。きっと、それだけでも、茉咲の中でのイメージは変わると思う。

そして、千鶴自身も。茉咲にとっては千鶴との噂の方が良かったと思えるのは、要が学校の中での憧れの存在だからこそ、春君よりも要を選んでもおかしくないと春君が思ってしまっても不思議ではないと感じるからだと思う。

それだけ、要は茉咲にとっても春君にとっても魅力的な人だから(いや、だからといって千鶴が魅力的でないというわけではないよw)。

プレゼント(想い)に降りかかる雨


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千鶴なら別に普段から慣れ親しんでいて、茉咲にとっては絶対に友達以上になったりはしないという安心感があるから、誤解が生まれたとしても、春君に信じてもらえると感じる。だから、2度目でなければ相合傘に入ることは別に気にしなかったと思う。こちらも時-とき-という順番と他人への思いが生んだ、悪循環なんだと思う。

まあ、こうやって書いてきてわかったけれど、もし茉咲との相合傘になったとしても、それは千鶴だけの自己満足
に過ぎず、茉咲は全く気にしていないだろうから、どちらにしても不幸なんだけどね。だけど、二人だけの時間を作れたなら、千鶴からプレゼントを渡せるきっかけがあったかもしれない。

そういった既成事実を積み重ねていけば、本当にあわよくば心変わりを狙うことも出来るので、千鶴には不運だったとしかいいようがない。だけど、そうやってなんとか好意を示し続けて、最後に春君を選んでしまいそうだからこそ、千鶴にとってのその思い出はほろ苦いものとなってしまいそうで、涙が出てきます。

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で、それ以上に泣いてしまったのが、茉咲が春君を探して上級生の教室を彷徨っていた時に要がプレゼントを見て、茉咲の積極性に喜んでいた所。ようやくこの関係にも進展が生まれそうで純粋に嬉しい要は恋愛面では疎いというわけではなく、ただ他人の幸せを心から喜んであげられる所でしょうね。

嫉妬とかイラツキとかそんな感情もなく、ただ素直に嬉しい。だから、別に要自身が茉咲とのうわさ話は気にしていない。まあ、それに対して、なにか弁解するでもなく、ただ噂が噂として消え去るというのをわかっているという大人な態度なんでしょうね。

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だけど、茉咲に対する思いは本当に嬉しさ止まりで、茉咲のプレゼントを取り上げられても、あまり動かなかった要は茉咲がどれだけ春君を好きで、どれだけ気にしてしまう人間なのかはわかっていなかった。そこで千鶴の出番。

てか、本当に茉咲のことを思っていて彼女の事を知っているというのがわかったシーンでした。誤解だけでも悲しいのに、今度はプレゼントの中身を見て冷やかされたら、今度こそ、精神が崩壊しかねない。純粋な気持ちほど、捻じ曲げられた時のショックが大きい。

そこに目ざとく反応して、絶対に開けさせないと本気で奪い取った千鶴の姿勢に感動してしまった。さっきまで、落ち込んでいたのにね。そんな落ち込みは自分だけでいいとばかりに茉咲を助ける千鶴の格好良さに惚れました。

女子(茉咲)のことがわからない男子(千鶴)にはならない


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そして、畳み掛けるように涙腺崩壊の嵐。そこで終わりと思いきや、リボンが崩れてしまっただけで自信がなくなってしまった茉咲を助ける千鶴。

それは男子にはわからなくて、女子にはわかること。その男子にはわからない部分を一瞬の判断で女子の気持ちを理解して、茉咲のもとに駆けつける所がもうね、辛すぎますよ。

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そんな女子の気持ちを男子は気にしないので大丈夫と励ますのではなく、女子の気持ちになって考えてあげる千鶴の姿勢。それは茉咲が落ち込んでいた時に、春君は(茉咲のことを)気にしていないという失言をしてしまったことを後悔して、茉咲のことを第一に考えた千鶴の本当の姿。

それは春君を喜ばせる茉咲の姿を見て喜びたい千鶴なりの思い。千鶴の茉咲へのプレゼントはラッピングでしか機能しない結果に終わってしまったけれど、好きな人の泣き顔が笑顔に変わったから……。

ただ、それだけが嬉しくてね。それに男子にはわからない女子の気持ちもわかることが出来たし、千鶴にとっても報われたと思う。いや、思いたい。

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結局、千鶴のプレゼントはプレゼントではなくて、巡り巡って春君のもとへと向かったわけだけど、その茉咲の春君を純粋に愛する気持ちが守られたという意味では、

プレゼントの本来の形として、モノではなくココロを送るためのプレゼントとして終われたのは幸せだったのかもしれない。


どんなに好きであったとしても、好きな子の涙は見たくないですものね。

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だから、この作品らしくない演出効果として幻想を取り入れたのは、どんなに君を見ていても、君は素顔(本当の気持ち)を見せてくれない。その素顔は笑っているのか泣いているのかわからない。

だけど、その素顔は好きな人にだけ見せればいい。自分にはどんな姿になっているかは想像できない未知数として映るのだけど、その姿を見ているだけで心地いいと感じることが出来れば、それは自己満足だとしても、自分にとっても君にとっても最高の結末になるんだろう。

こんな雨が降る凍てつくような冬の寒さの中でも、心も体も熱くなって涙も乾くぐらいに君と僕は青春を温かく過ごせるんだ。これ以上の幸せなんてないだろう? ないよね? そして、ラストでは君の素顔も見れたんだから……。

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