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君の笑顔は眩しくて、君の困った顔は見ていられなくて、君の気持ちがどこにあるのかもわかっていて……。


またまた同じ事言っている気がしますが、このエピソードは最高で、本当映像化するときの雰囲気って難しくて、まだまだ心が定まっていない彼や彼女のふわふわ感や甘酸っぱさを表現するには重いようでいて軽い感じに仕上げなくてはいけない。そんな仕事を花田十輝先生に任せるという粋なことをやってくれたスタッフに感謝。

茉咲ちゃんの涙と笑顔


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とにかく、茉咲ちゃんが可愛くて仕方ない。祐希には(泣き)ベソ顔は見せないようにと、お面を買ってもらったけれど、それをからかわれて、お面を割ってしまうほどに強がっている姿は本当彼女らしい。

春ちゃんに買ってもらって大事にすると誓った直後にプレゼントをなくしてしまって、その責任を感じて探すことを考えると彼女一人で抱え込むには重すぎて、彼への心がこんなことで折れてしまいそうな気がして寂しくて、なくしたことを知ってしまった彼の心を思うと強がりなんて言っていられなくて、自然と涙がこぼれてしまう。

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そして、それをいつも通りの無表情で彼女の心を汲んであげる祐希。だけど、第3話で千鶴と祐希の出会いの話があったと思うけれど、それと同じように、心の弱い部分を覆い隠すのが祐希であれば、それをすべてさらけ出して何もかも話しても決して責めたりしない押し付けがましくない優しさを持つのが千鶴。

この二人が一緒にいれば最強だと思ってしまった。最強の友達を獲得できた茉咲ちゃんが羨ましい。

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まあ、そんな茉咲ちゃんの哀しみをすべて理解した上で協力体制を惜しまない要と悠太も人がいいんですよね。それだけ、ここの輪の中にいる人たちに対しては友達以上の感情を持っている。言葉ではなく、行動で気づく、行動で示す、そんな連帯感。だから、茉咲ちゃんは春ちゃんと二人でいたいけれど、余計な奴らがいるとは思っていなくて、春ちゃんだけでなく、その輪の中に好んで入っているんだと思います。

まあ、要からは人が増えたという不満とか、千鶴のセクハラもあるけれど、基本は好意の上での言葉だから、心に突き刺さらずに、笑いになる。そんな空間がとてつもなく愛おしくて、こういう空間が学生の頃にあったら最高だと思った次第でした。

恋愛感情に気づくのは、もっと先の話


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で、今回は恋のお話がメインになるけれど、まだ、その恋に気づいたか気づいていないかって所の塩梅が難しくて、青春の甘酸っぱさを感じるんですよね。

確かに、要の言うとおり、茉咲ちゃんは春ちゃんに恋愛感情を持っていると思う。だけど、それはもしかしたら、一人で頑張っている自分を見てくれた人だからという、あの一件でさびしさから人のぬくもりを感じられる好意に変化しただけかも知れません。

それに、春ちゃんは女性っぽさを併せ持っているので、あまり友達のいなさそうな茉咲ちゃんからすると、同性を好むのと同じような感覚で、恋とは違う友達以上のわからない何かを感じているのかも知れない。好意に対して、好意で返す。そんな人間関係の基本中の基本が彼女のプライドのせいで出来ていなかったんですよね。だから、その居心地の良さを感じて、春ちゃんのそばにいる。

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でも、春ちゃんだけのそばにはいないんですよね。今の所、必ず春ちゃんのそばに仲良しな4人組がいる。それは茉咲ちゃんの心を理解して、それを責めたりせずに認めている優しさが彼らの中にあるからでしょうね。

彼女の心を見抜き、絆創膏を指摘して春ちゃんとのきっかけを作ってくれたのも祐希だし、言葉では色々言うけれど、この子たちみんなが行動でその絆の大切さを証明しているのが泣けるポイントなんですよ。

メリーはいつしか、メリーではなくなって……


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そして、今回。茉咲ちゃんの笑顔の持つ威力に気付いた人が一人。可愛くないとか、メリーとか変なあだ名をつけたりするけれど、千鶴も茉咲ちゃんと同じで、言葉と心は必ずしも一致するわけではなく、彼なりのプライド、彼女なりのプライド、自分も楽しみ、周りも楽しませようとする気持ちは共通するものを感じるのですよね。

だから、メリーというあだ名は千鶴にとっては友好の証であって、茉咲ちゃんからどんなに遠ざけられようと、お前という呼び名からあだ名をつけて関わり合おうとする気持ちのすれ違いがあって、なかなか素直になれない二人の関係が笑えるけれど寂しさを感じる。

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今回、要が気付いていた茉咲ちゃんの笑顔の矛先。それが春ちゃんじゃなくて、千鶴自身に向けられたときの彼女の可愛らしさに気付いてしまったときのどうしようもない気持ちというのが切なくて何とも言えない気分になりました。

きっと、このときには茉咲ちゃんに恋愛感情を持ったというわけではなく、ただ単純に笑顔を見せたときの彼女の本質というのに気づいたので、その笑顔を独り占めしている春ちゃんがちょっと羨ましくなったのかも知れませんね。

千鶴の意地と茉咲ちゃんの意地


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なので、千鶴が持ち金のすべてをはたいて、茉咲ちゃんの人形を取り戻すために必死になった姿には惚れそうになりました。もうね、空気を読むだけなら茉咲ちゃんに「諦めな」って笑って済ませて、いつもの口八丁手八丁で春ちゃんをごまかすくらいしか方法はないかと思っていました。

それだけでも、嫌われているんじゃないかと思えるくらいの態度をとる茉咲ちゃんのために自ら犠牲になっているくらいだとも思えるんですよね。

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だけど、それだけじゃ納得いかなかったんですよね。千鶴に恋する女の子の気持ちがわかるかわからないかは別として、第3話で祐希との小さかった思い出の回想で、祐希が木を揺らしてせいで怪我を負ったときにも、怒ることも責めることもせずに一緒に遊べた楽しみを大事にしたいということで笑顔でお別れをした。そんな彼なりの気持ちを汲めるだけの優しさを持ち合わせているのですよね。

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だから、冒頭で胸ときめかせていた千鶴としては、せっかくの高校生活の中で最高に楽しい時間となる夏休みの祭の中で、誰も悲しい思い出にはさせたくなかった。せめて、この時間が楽しかった、良かったと思えるように彼なりの配慮を払った結果。

それが例え、無謀な賭けだとしても、無駄な結果になったとしても、その思いだけは彼女に伝わるだろうから。少しの涙を拭ってあげることが出来るかも知れない彼としての最大限の努力。

奇跡が起きるのは…きっと……


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その気持ちが茉咲ちゃんにも伝わって、隣で南無南無と唱えていた茉咲ちゃんの祈りと合わさって、奇跡になる。その祈りはもしかしたら、春ちゃんからもらった人形を取り返すよりも、千鶴が頑張って一生懸命自分のために挑んでいる姿への感謝としての祈りだったのかも知れない。

どちらにしても、茉咲ちゃんのその祈りは自分のためじゃなく、春ちゃんや千鶴の気持ちを大事にしたいという彼女なりの最大限の努力。それが笑って泣けるなんて最高じゃないか。

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そして、いつも通りの二人に戻る。それは表面上では変わっていなくても、心の中では大きく変わっている。そんな心の変化というのは十代でなければ味わえない最高の思い出の瞬間だったのかも知れません。

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堀田 きいち

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