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だって、理不尽の方が面白いじゃない。


「その方が理不尽じゃない」という女神の言葉がそう聞こえました。ここで悪役になっているのは女神で、犠牲者はメリーさんの飼っている中で一番弱い羊。気立てもよく、愛らしい姿と同じ可愛らしい性格で、全ての行動が善で動いて、悪を考えないような純粋な純粋な羊。

罪と罰、そして、罪と贖いと償い


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で、ここで焦点となっているのは罪と罰に加え、罪と贖いと償いの3つの関係性でしょう。そこに運命が加わるんだから、アニメ映像の中で伝えたいメッセージが多くて色々考えちゃいますね。でも、ココらへんは詳しい方が色々書いていらっしゃるので、私は感情面で簡単に書きたいと思います。

罪を犯せば罰が下る。これは因果関係として、当たり前の世の中になっているというか、社会の常識になっていて、むしろ、罪を犯したのに罰が下らないなんて、理不尽だ、世の中は間違っている。ひどい女神がいたもんだ。という感じで、反感を起こして革命を起こそうとした冠葉の親の動機になっているのだと思います。

冠葉の親も息子の冠葉も晶馬も生まれて、これから幸せな家庭を築こうという姿勢でさえも、犠牲にして世直しと言う名の革命を起こした。

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次に罪と贖いと償いですけれど、これが結構難しい。冠葉の親がその革命によって引き起こした無垢な人たちの尊い命を亡くしてでも、理不尽さを解消しようとし、彼なりの世直しをしようとした。

だけど、それには罪に対する罰が必要だということを自ら実践した故に、自分にその代償として罰が下ることを期待していた。むしろ、それが正しい姿なんだ、と。罰がくださない世の中を直すために自ら犠牲になったという彼の償いは、娘の陽毬になった。

理不尽な世の中を直したい冠葉の親の意志は、理不尽な女神の選択によって、また、理不尽さが輪る世の中へと変わる。それは別に女神が理不尽さを求めているわけではなく、冠葉の親がとった行動が理不尽なんですよね。それだったら、理不尽さをもって、その罰を下さないといけない。理不尽さが嫌いな彼に一番効く罰が理不尽な罰だと思うから。

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それで、冠葉の親の所有物である陽毬が選ばれて、それを償いとした。多くの犠牲者を出したテロ行為に対しての罰として甘い方かも知れない。むしろ、それは家族全員が償いの犠牲となって消えてもおかしくない。

だけど、そうしたら、冠葉の親に対する罰としては、自らの死を持って贖うよりも、愛する子供の死を味わって、人生を送り続けるほうがよっぽど苦しい罰だと考えたんだろう。

しかし、今度は残されたメリーさんの羊である冠葉と晶馬が可哀想になってくる。だけど、親の所有物である子は親の罪を背負わされることが多い。逆に子が負った罪も親が背負う。そんな重度であれ軽度であれ罪というのも血の繋がった家族としての絆の証でもあり、信頼の証にもなるので、晶馬は親の罪を「僕たちのせい」だと思っているんだろう。

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だけど、それは間違っていると唱えるのが冠葉。親が罪を犯したなら、その罪は親が背負うもので、子は子としての人生があるのだから、別個として扱って欲しい。子も成人していなくても、一人の人間なのだから、親がどんな過ちを犯そうと、一人の人間としての自覚がある冠葉にとっては、それはとても理不尽。

だからこそ、陽毬が犠牲になったことに対して、自ら贖いとして名乗りでた。陽毬の命の代わりに冠葉の命を。それは命の価値として等価で結ばれるものかも知れない。だけど、女神視点でいえば、冠葉の命はもともと消えてもおかしくなかった。むしろ、償いとして一緒に消してもおかしくないくらいだ。だからこそ、贖いとしての命は有効ではなかった。それを運命というのかどうかはわからない。

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だけど、冠葉はその理不尽な裁きに対して、親を擁護し、女神を憎んだ。冠葉がその親が起こした行為そのものを肯定しているかどうかはわからない。絶縁したいくらいに兄妹3人で暮らしたいと思っているのかも知れない。

はたして親と女神の理不尽な行為の結果はどうなるかわからない。冠葉の憎しみの矛先はどこに向かうのかもわからない。だけど、彼は運命は否定する。自分たちは自分たちで未来を切り開いていきたいから……。

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幾原 邦彦 高橋 慶

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