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10人に増やして公式戦での活躍と実績を作る道を捨て、今いる5人での結束力を高めて、今まで通りバスケを楽しむ方向性を選んだ。


それは広い荒野へとフィールドを移し、公式戦で勝たせてあげて、どこまで通用するか試してみたい彼女たちの夢が自らの夢になっていた昴にとっては苦渋の選択になったでしょう。

ですが、それは彼女たちが笑っていられれば、それ以上は何も望まない。コーチとしてよりも、彼女たちの一人の友達として、それが一番幸せだと築いているからこそ、何も言わない昴も段々男らしくなって来ました。

真帆への揺るがない信頼と期待


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彼女たちの仲の核となっている真帆が抜けても、ひなたは練習を選んだ。これはバスケと真帆を天秤にかけて、バスケを選んだというよりも、ここで練習をやめてしまい、予定していた試合が出来なくなってしまうことを懸念したひなたなりの配慮なんだと思う。

きっと、真帆は拗ねているだけで、いつか戻ってくる。もし、戻って来なかったとしても、誰かが真帆を戻してみせる。それが彼女たちの中での共通理解。真帆はこの5人の中でも中心的な存在で彼女たちを引っ張っていく存在だったけれど、今度は他の4人がその恩返しとして真帆を引っ張っていくという光景だったのだと思います。

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だから、麻奈佳はそんな空気を感じ取って、昴を制した。きっと、昴自身も同じ事を考えていたのだと思う。同じバスケをやっている二人としては、こういった落ち込んでしまった時の対処の仕方も経験してきたのだろう。

そういう意味では技術力を教えるだけのコーチよりも、彼女たちを全面的に支えるコーチとしての自覚と成長が昴にも見えてきたのかも知れない。

真帆の扱いがよくわかっている紗季


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で、その中でも、真帆を戻しにいった役目は紗季。この5人の中で二大大砲というシュート練習を頑張った仲でもあり、ライバルでもあり、幼馴染でもある。競いあって、励まし合って、お互いに強くなっていく。

それは真帆のことだから、励ますだけだと効果はないけれど、叱咤激励から激励を除いた態度を取れば、負けん気な真帆としては食いついてくる。そういう意味では精神面では幼さが残る反面、扱いやすいのかも知れない。

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だから、決闘を申し込んだ。これはどっちが強いかだけを決めるだけで、別にどっちに転んでも、真帆は戻ってくる。真帆が勝てば、有頂天になってその実力を他で試してみたくなる。真帆が負けたら、おとなしく紗季の言う通りにして戻るように指示する。

なので、結果はどうでもいいのですよね。ただ、真帆がやる気になるだけで。そんなことはわかっているひなたも、空気を読まない振りをして入っていく。勝負なんてどうでもいい。ただ、みんなと一緒にバスケが出来るだけで楽しいと真帆に再実感させる良いシーンでした。

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だけど、真帆にも真帆なりに目指しているものがあって、それはライバルの紗季でもなく、誰か憧れの選手ってわけでもなく、智花の綺麗なシュートフォーム。紗季から見れば、シュートだけしか取り柄がない真帆にとっては、シュートだけでも褒められたい。

もしかしたら、智花は超えられない壁かも知れないけれど、昴と同じように智花のシュートフォームに惚れた真帆としては、あの綺麗なフォームで投げて快感を感じたい。智花と一緒にバスケをやって、バスケ部を作ったあの時のように、「バスケって楽しいね」って思いたい。

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それには、強い対戦相手と戦って、どんどん自分の技術力を磨いていかなければいけないと思っていた。だから、練習だけでなく、公式試合に出て、自分の実力の程を知りたかった。

だけど、それも敵わない夢と化してしまった。だけど、紗季たちの思いを確認しながら、”今”は”今”のままでいいと感じた。これから、どういう変化が起きるかはわからない。でも、そこは5人でのバスケを、”今”を最大限に楽しんじゃえばいい。

上手いバスケよりも楽しいバスケへ。根本にあるものが変わってきた。もしかしたら、昴もそれを実感したのかもしれない。公式試合で自分たちの実力が知れて挫折してしまうよりも、みんなで練習しながらバスケが出来ればそれでいい。だから、昴もコーチとしてよりも、彼女たちを見守る保護者として、少しずつ心も体も成長していく過程を楽しんでいるのかも知れないね。

紗季の役目・紗季の信頼・紗季の立場


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そして、やっと紗季の回が巡ってきた(料理の話は除く)。智花、愛莉、真帆、ひなたときて、紗季にも出番があった。これで悔いなく最終回を迎えても大丈夫。紗季には後ろから指示やゲームをコントロールするポイントガードとして、みんなを統率する。周りが見えていて、みんなのことがよくわかっている紗季だから出来ること。

この5人の主役である真帆が一番理解していそうだけど、真帆はゲーム中には自分のことで精一杯だから、周りが見えずに一人で何もかもしてしまい、失敗してしまう。ここがゲーム内と外での変化。それに紗季から言われているように、シュートしか取り柄がない彼女としては技術力では劣っていることに気付かずに、実力はあると思い込んだプライドがゲーム中のプレイで裏目に出てしまう。

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それで真帆という厄介者を相手に対等に言い合える紗季が司令塔に選ばれた。みんな同い年だけど、人間関係は複雑な上に、能力面での優劣が出てしまう。だから、司令塔にはそれなりの実力を持ち、みんなから信頼され、みんなのことを理解している紗季が選ばれた。

それに紗季にも真帆に負けないくらいに高いプライドがある。真帆がシュートを上手くなって、愛莉は背の高さをいかして活躍し、ひなたも竹中直伝シュートをマスターして、智花は言わずもがな頑張って成果を出している。

でも、紗季はあまりそういうことは気にせずに振舞って、みんなの調整役として黒子に徹してきた。だけど、昴から才能を見出されて、ようやく開花しそうになっている彼女の今回の頑張り。プレイ中に冷静に周りを分析して、ボールをパスする。そして、智花はオフェンス重視。愛莉は味方ゴール下でリバウンド含めてディフェンスを徹底。ひなたはどうしているかわからないけれどw。

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で、紗季が司令塔として智花にボールをパスすれば実力的には問題ない。最初の試合での男子との対抗戦同様、智花はそう簡単に止められない。だけど、それを見て、智花がマークされていることを確認して、真帆にボールをパスする。

リスクをおかしてまで智花に頼らなくてもいい。もう一人、オフェンスでシュートだけは上手い真帆がいる。シュート”だけ”というのは、きっと紗季の中でシュートは突出して上手いという意味で使っているだけ。真帆が学校から帰った後に、家でかかさずシュート練習していることを知っている。

そんな彼女のシュートには絶対的な信頼があるからこそ、マークが外れたときに、真帆に渡して、シュートの指示をする。自分が打つよりも、智花に渡すよりも、真帆のシュートが一番期待できる。そんな信頼の元に渡された、明日に向けてのパス。

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そんな二人の連帯感を中心に少しずつ周りから認められて、自分たちでも認め合っていくこの5人の仲と信頼は泣かせるものがあります。見ているだけで可愛い。本気で見ても、心情が深く描かれている。そんなすごい作品に巡り会えたことが幸せでした。

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蒼山 サグ てぃんくる

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