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今回はものすごく好きな回だった。初回以来の衝撃だったと思う。


それは春香担当回だからってわけではなく、その春香を普通の子だとすると、周りの異質っぷりが浮き彫りになってきて、それが良い方向へ向かうか、悪い方向へ向かうかわからない面白さがある。

春香の楽観視


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春香って良くも悪くも普通の子なんですよね。担当記者の声の言葉を借りれば、ただ楽観的なだけ。この楽観的って、悲観的の反対で良い方に感じ取れますが、楽観視するというのは、自分の期待以上に自分は出来るという自己暗示に過ぎないわけで、もし、壁にぶつかった時にその楽観視は邪魔になってくる。

明るく元気に何とか頑張れば結果はついてくる。とにかく頑張ろう。そんな勇気を振り絞るけれども、それが仇となって壁を乗り越えられない原因や弱点の改善を正しく冷静に見つめられないために、その楽観的な態度は時折挫折へと変化させる。頑張れば何でも出来ると思っていたのに……という現実のコワさ。

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その現実にぶつかって折れそうになっている二人が今回の主役だと思っていたり。それがサブタイトルにある「予兆」。期待と不安が入り交じって、それぞれが助けあい、個々の勇気が努力へとつながり、成功へと導く。

そんなビューティフルストーリーの本筋の横で、美希と千早の弱点が見えてくる。報われない人もいるということが、この王道展開に影を落とす。

美希の目指すもの、美希が目指したもの


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美希の場合は(名無し)プロデューサーに対しての反感で暗雲立ち込める展開になりそうでしたが、美希の認識の違いは美希自身が間違っているということを彼女自身が理解しないといけない。これは(名無し)プロデューサーを責められない。

言葉の受け取り方の違いで、(名無し)プロデューサーはトップアイドルに導くために日々努力すれば竜宮小町を仮想ライバルとして、切磋琢磨できる展開を望んでいた。

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だけど、美希としては、仮想的にとらえることなく竜宮小町を目指すことになってしまった。前からやる気になったのは、竜宮小町が頑張っているからで、彼女たちが一軍、そして、それ以外が二軍という認識で、彼女の能力から見れば、いつまでも二軍でいたくないと思って、本気を出さない限り、いつまでもダメな二軍のままでいる。

そんな自分にプレッシャーを与えて、どうにか一軍となる竜宮小町に入って、自分の能力が他に比べて劣っていないということの証明が欲しかった。

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確かに竜宮小町に入れるレベルというか、ただ単に律子がバランスを考えて、この三人を選んだだけであって、決して、竜宮小町がトップレベルの能力があるグループではない。ただ、竜宮小町は律子のプロデュース能力が長けている上に、無能な(名無し)プロデューサーと関わらないことで、高みへと登っていけるのだろう。

だけど、それは765プロの一ユニットに過ぎず、最初の看板として小さなグループで活躍することで、事務所のアピールも含めて律子が考えた企画であって、一軍二軍は考えていなかったと思う。

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でも、美希の中では違っていた。競争化社会として、今のまま、ぬるま湯に浸かっているのではなく、厳しい社会の荒波にもまれるほどになった竜宮小町みたいに彼女は勝負の世界へと乗り出したかった。

逆にいえば、竜宮小町に入っていない今のメンバーで新しく曲を作ってライブをするということ自体が彼女にとってはそれほど魅力的はなかった。悪く言えば、お遊戯会の延長みたいなもの。

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ダメダメな雪歩ややよいや、ちょっとダメな春香含めて、こんなグループと一緒にいては自分の能力が霞んでしまう。トップアイドルになるためには、そんな能力の低い彼女たちと付き合うのではなく、レベルの高い人達と内部で競いあいながら、トップアイドルグループを目指したかったのでしょう。

だから、今回頑張って通しでやって成功した感動は彼女にはない。自ら蚊帳の外を選び、その中で彼女たちを支えたという自らへの評価だけで、彼女は彼女だけで戦っている。同じグループとしてではなく、一人のアイドルとして突き進もうとしている。

千早の心を表しているかのような空虚で寂しい空間


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そして、もう一人。如月千早。千早としては春香を家に泊めることになっても、別に気にしないぐらいには親しくなっていて、春香としてはお互いわかり合っている仲だと思っていた。だけど、それは千早の一部分でしかなくて、彼女の部屋を見た時の空虚な感じが千早の心を表しているようで、春香としてはなかなか反応に困るような廊下と部屋。

春香は普通の女子高生として、普通にテストに向けて格闘し、普通に友達とも付き合い、普通に事務所でも明るく振る舞い、普通に仕事でも頑張って生活している。そこに春香自身の不満はなく、海に行った時に、真や千早や伊織に話したように、いつまでもこのままでいたいと幸せを実感している。先にある未来に対しては希望を持っているけれど、今が楽しいから、そんな今がいつまでも続けばいいな、という感じだと思う。

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それに対して、千早は目指すべきもののために全てを投げ出している。自分の楽しみも自分の感情も自分の時間も全て捨てて、本気で(アイドル)歌手になることを目指している。歌手になれなかったら、人生を棒に振ってしまうのでは? と思うくらいに彼女は必死だ。だからこそ、練習や努力は怠らない。

だけど、現実では道が全く開かれないことに挫折してしまいそうになる。そんな時に慰めてくれる友達もおらず、彼女はいつも一人で夜を過ごして、不安な将来を見つめて、弱点が何か、これから何をすればいいか、日々考えながら過ごしている。

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これが春香と対峙する悲観的な姿勢。悲しい現実に対してぶつかっても、負けてしまう辛さを考えてしまう。上手くいかない。上手く生きていきにくい。それを補完できるのが楽観的な春香だと思うので、そこは上手く二人でバランスを取りながら、励まし合って目標に向かって頑張る自分を認めてあげて欲しいと思う。

でも、引っ越してきて、ダンボールのままの状態については触れにくかった。別に腫れ物に対して接するわけではなく、それが千早にとって普通だと思っているからこそ、そのことに触れれば彼女の悲観的な話になってしまうのが春香にとってコワかったのだろう。きっと、千早の悲観は春香の楽観を上回っていると、春香は判断したんだと思う。

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ダンボールのままというのは、別に千早が面倒くさがりだからではなく、ダンボールを開けて部屋を整理する時間があるなら、その時間を練習にあてて、今の貴重な時を無駄にしたくないという思いもあるからだろう。それに、ダンボールのままで普通に暮らしている現実を見れば、それほど、彼女に必要なものって少ないのだと思う。

生活するのに最小限な生活。テレビもなければ、遊びもない。女の子っぽいぬいぐるみとか、可愛い小物も一切ない。もしかしたら、そんなものを見ていたら、自分の目標が薄らいでしまう気がして、部屋の中でも彼女は精一杯目標に向かって生きようとしているのだろう。気の詰まる生活をしていることが春香にわかっただけでも収穫だと思う。

普段は冷静沈着で言葉少なな真面目な彼女だけれど、輪のなかを決して乱そうとはしない。自分を押し殺して、みんなに出来るだけ合わせようとしている。

美希と千早という優れたアイドルが仲良く出来る一歩目を踏み出せるか?


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そんな美希と千早の二人の特異性。美希は元々の能力が備わっているために、少し努力すればトップを取れるものだと思っている。だから、別に能力のない彼女たちとは浅い付き合いを保っている。こちらも輪を乱さないように気をつけてはいる。

千早も能力はそこそこ優れているので、これ以上努力しなくてもいいくらいに、彼女は頑張りすぎている。そんな二人共、みんなの輪の中にいて和やかにしているけれど、心の奥底では闘志をみなぎらせている。それはとても良いことだと思うし、仲良しグループのままではトップアイドルになれないかも知れない。

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その不安要素が出るきっかけを作った美希の(名無し)プロデューサーへの一通のメール。これが輪の中で頑張っている彼女たちの努力を無碍にする態度にならないことを祈っています。

みんな個性があり、劣っている部分もあれば、優れている部分もある。それを美希と千早が理解しながら、竜宮小町を除くメンバーでライブを成功させてくれると期待しています。

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