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感動した。ボロ泣きした。なんだよ、これ。みんな泣いていたら、自分だけ泣いていないのがバカみたいじゃんか。泣かないことなんて、そんなに難しいことじゃないのに、すごく難しく感じてしまう。


みんなの涙という号泣。感情という面を表面に出してとありのままの自分と向きあう。そして、それを受け入れてくれる周りの寛容さへの信頼と、仲間と世界の優しさを感じる最高の物語でした。

めんまの役割


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この物語の根幹は、じんたんの母親の残した想いとじんたんをつなげることだったと思います。その架け橋になっていためんまの役割。それはメッセンジャーとしてだけではなく、母親から息子への想いとして、ちょっとした愚痴に近い言葉。でも、それは愛する息子の近くにいてあげられない自分が悪いのだから、仕方のないこと。だから、少しだけめんまに想いの欠片を手渡してみた。

本当は退院して、いつも通り、遊んで帰ってくるじんたんたちのおやつとして、蒸しパンを作っておける自分がいればいい。だけど、それは願っても叶わないものだと知っている。でも、ほんのちょっとした奇跡に期待してもいいじゃない? 生まれ変わりという希望を見出してもいいじゃない? 死にゆく定めだとしても、その定めにこの世界を作ってくれた方の慈悲があってもいいじゃない?

じんたんの母親としての願いを伝えるめんまという奇跡


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きっと、そんな気持ちを抱えながら、逝ってしまわれたのでしょう。じんたんの泣き顔を見ることなく、自分の為に我慢して頑張っているじんたんの気を休めることもなく、母親と普通に接することの出来ない息子に引け目を感じながら……。

そうして、残されためんまとじんたん。めんまはじんたんの母親からの想いを受け取った。それをいつ渡せるか、機を見ていたのだと思う。だけど、じんたんとしては人前で涙を見せるなんて恥ずかしい。自分は強くならなきゃいけない。

母親がいなくなって、厳しい環境になったからこそ、人より頑張らなきゃいけないんだ。それに超平和バスターズのリーダーとして弱みは見せられない。そんなじんたんを泣かせる方法なんて、一人では思いつかなかっためんまの超平和バスターズ(じんたん除く)としての使命。

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みんなで話して、みんなでじんたんを泣かせようよ。

こうやって書くと、なんかイジメみたいに聞こえるけど、もう自分たちが支えてあげるから泣いてもいいんだよ、という優しさからなので、人間としての機能停止を防ごうという狙いもあったのだろう。

母親からも、自分がいなくなったとしても、息子が心をなくすことなく、人生を楽しんでいけることが唯一の希望でもあったしね。

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思い出して悲しくなるならば、思い出さなければいい。
楽しかった思い出に心を浸しても、大丈夫になったら思い出せばいい。

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きっと、心のバランス。それが崩れてしまっているじんたんに、課されためんまのおばさんからの願い。それは心に閉まっておくのではなく実行しようとした日に事故にあって死んでしまった。

それだけが、めんまの心残り。逆に言うと、じんたんの母親の心残り。一人亡くなっても、その想いは奇跡にはならなかったけれど、二人亡くなって、その想いが重なったときに小規模な奇跡が起きた。

それはやっぱり、じんたんの心。追い込んで、追い込んで、不幸を背負いながら、前向きに生きることさえ放棄してしまった彼の将来を憂いての奇跡だったのかも知れない。二人の大事な人を亡くした彼にとっては、心を亡くしているので、ほぼ、生きている機械としての人生。

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泣かせるどころの話ではない。もう、泣いても、意味がないくらいに、彼の感情は打ちひしがれている。喜怒哀楽全てを無にしている。やる気、気力、そんなもの、全てムダに終わる。そんな人生に対しての悲観。そんな彼の感情を支えるためと、じんたんの母親とめんまの心残りが合わさって出来た奇跡。

だから、めんまはじんたんを泣かせることが願いだと知っていたと思う。でも、今のじんたんを泣かせる術がわからない。楽しかったら泣くのか? 悲しかったら泣くのか? 感動して泣くのか? うーん、何をやっても無駄になっちゃいそうだし、一応このままでいいかな、みたいな感じだったと思う。

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一番は超平和バスターズに近づいて相談出来ればいいんだけれど、じんたん以外に見えないからなぁ。それに、じんたんだけが見えているってことで、バカにされているじんたんを見るのも辛いし。でも、頼る人はいないから、あの日出来なかった超平和バスターズのみんなで、じんたんを泣かせてみたい。そんな秘めたる願い。

じんたんが泣けばいい。感情が豊かにならなくても、人並みに楽しんで、怒って、泣いて、笑っているじんたんがいればそれでいい。その役目はなんとか果たせそう。じんたんの心が少しずつ正常に戻っていく。それが嬉しくもあり、悲しくもあり。

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悲しくなったのは、超平和バスターズのみんなと関われたから。やっぱり、みんなと一緒に居たいという独りよがりな想いが先行してしまう。ダメだよ、おばさんの願いが優先なんだから、と。

だけど、じんたんのそばにいて、超平和バスターズのみんなと仲良く遊んでいる姿を想像すると、そこに自分が加われない悔しさだけが心の中で増してくる。早く、この世界から消えて、新しいめんまとして、超平和バスターズに加わらないとね。だから、おばさんの願いを叶えないとね。

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そんなめんまの思いを抱えながら、超平和バスターズのみんなが、こんなにも自分のことを思ってくれている。それだけ、自分が必要とされていることが嬉しい。メッセンジャーとしての奇跡が、こんなご褒美があるなんて、知らなかったよ。

こんな幸せでいいのかな? もう、こんな幸せはこの先ないのかな? そんな思いが交錯しつつも、かくれんぼで見つけてくれたみんなとこんな奇跡を与えてくれたことに感謝して涙を流して消えるめんま。

この切なさと嬉しさと感動が入り交じったような、どうしようもない気持ちを持ちこし、後日談パートに入って、奇跡のない普通の日常が繰り広げられる。そこには、めんまを通して、成長した五人の姿。

じんたんだけではなく、めんまの存在によって、心の傷が癒えた五人。みんな前向きに頑張ろうとしている。そこにめんまはいないけれど、みんなの心の中にめんまはいる。ただ、それだけで嬉しい。

お別れはお互いに……


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ぽっぽに言われて気づいたけれど、突然の死が受け入れ難いのは、お別れの言葉が一方だけか、出来なかったことが一番悔しいんですよね。人間関係は一期一会とはいいますが、一期一会にも、きちんとした出会いと別れをしたいという、今までのその人との思い出を言葉にして、自分の中で決着をつけたい。

人へのつながりだけでなく、それを受け入れることが出来るように、また会えたら、また笑い会えたら、また泣き会えたら、そんな気持ちを残しつつも、互いのお別れの言葉で締める本作品の終わり方に感動しました。

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秘密基地に刻まれた「超平和バスターズ」の文字。
  それはめんまとの思い出。
そして、「超平和バスターズはずっとなかよし」という文字。
  それは大きくなっためんまとの思い出。
    ……出会ったのは一人だけど二つの思い出として永久に残る。

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それはめんまが託した想い。おばさんの想いとは別のめんまとしての想いが残った言葉として、それを秘密基地に刻みこむことで、みんなの心のなかに刻みこむことが出来るんだろう。そして、その想いだけは、ずっと大切にし続けることが出来る、じんたんを含めた彼らの未来に希望や生きがいを見つけ出した時間だったと思う。

いつまでも、じんたんが笑って涙し、楽しくて涙することができればいいね。出来れば、超平和バスターズのみんなと一緒に……。

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