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良かった。非常に良かった。非常に対して物語は常に非情ではなく、精一杯の努力に対しては真摯に報いがある。それを出せたときの充足感と満足感。


そこを上手く描いて最後の心地いい笑顔につながって、前編・後編通してのメッセージが色濃く表れた今回の非常事態への対処でした。

覆面記者はあくまで大切なお客の一人


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今回、一番良かったと思えるのは、結果はわからないけど、成果は評価される流れだという点ですよね。女将さんの意志を汲んだつもりの緒花と戦う若旦那率いるコンサルとの戦いに終止符は打たれず、これからも続いていくということなんですよね。

誰が間違って、誰が正しいとか、そういうことを考えさせないエピソードとしての優しさと温もりが感じられます。結果的に覆面記者を割り出せたのは緒花でしたが、それによって、何かが変わるわけでもない。結果がわからないだけに、いつも通りにサービスを提供することが正しいとは、コンサルも若旦那もあの小説家も思っていないでしょう。

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だけど、緒花は知っている。でも、そのことについてみんなに話すよりも、民子の初挑戦(?)の天ぷらに対して褒めあって仲良くなる方がよっぽど有意義。どの方針が間違っている、どの方針で進めばいい。そんなことは彼女にとっては今は正直どうでもいいのですよ。

向上心を持ち、お客様に対してのサービス向上に努める精神は大事ですよ。だから、民子も、今日の徹から褒められたことに対して、ただ浮かれるだけでなく、日誌に今日学んだことを書き込んで、忘れないように日々精進する。

そんな各人の向上心と負けない熱意の賜物の結果が喜翠荘での長い一日での成果としてつながっていて上手い作りになっていました。

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支えあって、一丸となって困難に立ち向かう。その精神が崩れなければなんとかなる。なんとかならなくても、女将さんがいない非常事態なんだから、失敗しても悪くない。失敗は成功の母。緒花みたいな新入りは失敗して怒られてナンボですよ。でも、コンサルの言っていることは緒花は実践しない。

そこには緒花の信念があり、周りも女将さんを見てきて、緒花の言葉から、女将さんの想いが伝わってきたと思うのですよ。だからこそ、次郎丸がサービスの変化をこっそりやろうとしたときに、人に対して臆病になっている菜子が緒花の活力ももらって勇気を出して暗黙のプレッシャーで勝利を勝ちとった。

努力は報われないかもしれないけど、その気持ちだけで評価に値する


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それに対して、次郎丸もコンサルも自分のやり方で、成果と結果を出そうとした。そして、結果はわからないけど、成果はあったと思っているのではないかな。例え、緒花の持論が正しくても、誰がそうだったかは書かないので、もしかしたら、自分たちのおかげで結果が出たと思っているかも知れない。

だけど、それもいい。そのことに対して、否定はしない。どんな形であれ、喜翠荘に対して行動したその姿勢を、この作品は評価しているんですよね。もし、彼らは緒花のやり方に不満を持っているならば、ボイコットすればいい話。

だけど、協力はしないまでも、邪魔はしないで、自分たちのやり方で喜翠荘を守ろうとした。喜翠荘を想う気持ちは皆一緒。だから、みんな笑顔でいられる。笑顔で女将さんを迎えられるんですよね。

徹に対する緒花の信頼


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そして、徹の仕事に対する姿勢。前に仕事とプライベートは割りきって、仕事の非常事態に備えていない彼の姿勢だと、徹を見付け出してから苦労すると思ったのですが、意外に苦労しませんでしたね。まあ、それが緒花の力尽きてしまった姿を見たからかも知れませんが、こんなにも自分を頼ってくれる人がいる。

喜翠荘は女将さんも徹も菜子もいないでやっていける。こんなお客が大勢でも、非常事態だからという理由で、お詫びとして料金を割引したり、サービスを縮小して出来る限りのことをするまで。だけど、一度、徹の移籍話を勘違いした緒花と民子同様、頼られる存在として徹は誇りをもったのだと思う。

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結構、ノリはふざけているけど、人から頼られ必要とされる。それだけで、菜子が抱いた気持ちのような自分が喜翠荘の一員として周りに認められている。すぐにそれが喜翠荘の結束力に結びつくというわけではありませんが、徹としてはプライベートを優先するかしないかよりも、緒花がボロボロになって、自分を探しだそうとした。

それが緒花としての必要か、喜翠荘としての必要かはプロの徹なら、すぐにわかるだろう。だけど、緒花から少し好感度は上がったことにも、少し嬉しさがあったと思う。

自分のヘルメットは自分で被り、借りてきたヘルメットを緒花が被ればいいのに、ヘルメットの強度が違うので、緒花に対して強度の強い自分のヘルメットを差し出すあたり、口ではからかいつつもさりげない優しさを見せてくれました。そういう所が民子の惚れポイントなんだろうな。

突発的に動く孝ちゃんと緒花という二人の共通点


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そんな緒花の活躍の裏で考ちゃんは無駄足になった現実。この部分でのすれ違いが恋の波乱要因にもなりかねませんが、今から緒花のいる旅館に泊まりに行こうとしているのに、予約を入れない突発さ。言葉よりも体が動いてしまう。緒花に早く会いたい。その衝動で頭の中は占められて、他のことに頭が回らなかった。

これは緒花も同じことで、徹を突発的に探しにきたけど、みつからない。きっと、二人とも考える前に行動に移してしまう。考ちゃんとしてはそんな緒花に憧れもするし、いつの間にか思考も緒花に似てきた。そんな近くにいるのに携帯電話で話す自分の情け無さと共感。それが良い方に出たか、悪い方に出たかの例なんですよね。

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なので、少しくらいは計画的に、突発的な事態に対して、どう動けばいいか二人とも決めておいた方がいいかもしれません。なので、緒花がすごいのではなく、考ちゃんと同じで普通の高校生として動いただけなので、彼からは遠い存在にはならずに、きっと緒花は緒花のままなんだろうなぁ、と思いました。

緒花にはそれを支えてあげる良き仲間に恵まれたというだけかも知れない。そういう意味では変化を求めていた緒花にとっては高待遇で低賃金で重労働という感じだけど、楽しい毎日を過ごしている。普通に考えれば、ほんと、ホビロン。

でも、考ちゃんもバイトを始めて少しずつ普通の高校生として変化を望んで経験を積んできている。お互いがお互いにとって見えない努力を重ねて、いつか二人とも報われる日がくるといいですね。

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