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なんだろう、Bパートだけでも、ボリュームがすごい。一場面一場面が魅力的で蠱惑的で悲観的。でも、希望は残っている…気がする。


今回も見所多すぎて、ついていくだけでも精一杯な感じがしてきました。前川さんとロケット男との話と前川さん率いるエリオと、やっちゅーにさんと真のギコチなくも何気ない日常を描いたもの。前者はまだ全容が明らかになっていないので、憶測に過ぎないけど、楽しみな伏線だと思う。

その中でも、Aパートは前川さんの回想だったんだね。Bパートになって、ようやく、前回の終わりがわかった。残された3人がどうするかって話やっちゅーに。

「粗茶ですが…」


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沈黙と冷静に耐えられなくなった真が、「粗茶ですが…」とエリオに差し出す所がとても印象的。ここで、何故、お客であるリュウシさんに真っ先に出さないかというと、エリオから彼女に差し出すようにしたかった。

ここで真がただ単にお茶を出しても打開できない雰囲気だったので、エリオとリュウシさんの空気が良くなるように仕向けた。真が例を見せて「粗茶ですが…」とやった。

そして、エリオがそれを理解して、リュウシさんに回すところまでは良かった。まあ、「お茶ですが…」に変換されてしまったけどね。

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へりくだる気持ちなんて、これっぽっちもないよ、という気持ちなのか、それとも、ただ見たモノそのままお茶だと思ったので、お茶といっただけのことからも知れない。ここに人間(真)とエリオ(宇宙人)で齟齬が発生した。

まあ、リュウシさんがエリオのことを良く知っている心優しい人ならば、後者だと理解して受け取る流れでもあったけれど、やっぱり前者に見えてしまったようで、真に「他茶ですが…」と他者(エリオ)のお茶を真に帰すことになって、エリオと真の好意は無残な結果になってしまった。

再度、試みる真の熱心さと、何も気にしないエリオと、それを冷静に拒絶するリュウシさんの三者三様で、何か温かくも悲しいやりとりになっていました。

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だから、前川さんとリュウシさん、この二人とはエリオが無自覚に溝を作ってしまっている。そのことは無自覚だからこそ、エリオのダメージはないものの、いつまで経っても埋まらない溝に対してはいつか彼女が気付く時が来る。

それはバイトも出来ないという社会から拒絶されたのと同じように、心にグサッと刺さるものがあるかも知れない。それが今は真という緩衝材があるからこそ、エリオが傷付かなくていいということ。

リュウシさんはただ真の恋のライバルみたいに見えているからこそ、エリオには少しだけ冷たい態度を取っているけど、普段は明るくてサバサバして良い子なんだよ、と弁明してもエリオは困惑するだけだろう。

それに前川さんは誰に対しても平等的でありながらも、他人の敷居にドカドカと入るタイプでもあるので、言葉はそれほど選ばない。そんな危なかっしさを感じながら、エリオの心を守ろうとする真の誠意が泣けてくる。

技術科で学ぶ社会生活


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ここで、ロケット作成に。まあ、ペットボトルロケットという小学生でも出来ることに5千円も支払うというこのロケット男の胡散臭さ。

まあ、前川さんはそんな不審な男と実利で天秤にかけて実利が勝ったけど、実利が支払われない可能性も多分にあるので、興味本位が実利に代わるものであったのかも知れない。意味のない目的の行く末や報いのない希望への憧れを男の瞳に宿っている部分に少しだけ前川さんの心が動いたのかも知れない。

だからこそ、エリオを巻き込んでのロケット制作。転校生とリュウシだけで人員は足りていて、別にエリオはその場にいたからそのついでなのかも知れない。

いや、女々さんが前川さんに耳打ちしている部分を見ると、ある程度、この作業という名のチーム意識や連帯感や協調性といった部分をエリオが養えるように女々さんは前川さんに託したのかも知れない。まあ、あの前川さんなので、深くは考えていないのかも知れないけど。

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で、女々さんが作業部屋を用意していることや、ロケット男が次の日に砂浜にいることを知っていたことを鑑みると、ロケット男が女々さんに近しい存在の人に見えてくる。もしかしたら、エリオの父親かも知れない。

まあ、それは妄想が激しすぎるので自重するとして、ロケット男も前川さんから3人の高校生が絡んでくれるとは思わなかっただろうな。こんな一見無意味に思えるような作業にのって、青春を謳歌しているような錯覚を起こしたい願望を持つ、このロケット男も真と同じ青春を感じたい「青春男」なのかも知れませんね。

家庭科で学ぶ社会生活


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それにしても、自給自足料理が面白かった。技術科の次は家庭科ですか。学校で習ったことがそのまま社会で役立つ実践的日常。何か、エリオが学校に行けなかったことを悔しがりそうな擬似的家庭学校。

いや、それを思わせないために真が笑顔を作っているんだけどね。そんなことを頭に浮かべながら、エリオにしか構ってあげない丹羽君に腹が立つっちゅーに、と流子の包丁の切っ先がキラリと煌く。

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そんなリュウシさんの作ったのは親抜きの親子丼。前川さんがいたからこそ、ネタになったけど、「親が蒸発」ってツッコミは洒落にならんで、おい。そういうことに疎いエリオは気にした素振りはなかったものの、ネタのためにわざわざ親抜きにしたわけでもなさそうに見えるリュウシさんは、ある意味でエリオに当てつけて陰湿なイジメに走ってしまいましたよ。

本人に話を聞かないと、確定じゃないけど、真はそのことを気付かせないように時間と量と話題を一人でかっさらってしまう所に男気を感じました。リュウシさんのパイナップル混入のため、前川さんとエリオは、お茶を飲んで、お茶を濁しますw。暗黙の一人で食えw。

リュウシさんと前川さんに対立する藤和


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で、お泊り。家に女子の部屋があるとはいえ、女子高生二人のお泊りタイムがあるだけ青春ポイントは5を超えてもいいんじゃないかな。まあ、対するエリオも前川さんとなら目を見て話せるようになったし、お泊りのお願いもすることが出来た。

前川さんのことを思って、看病(?)も一人でこなして、出来るだけ距離を縮めようとはしている。友達とは言えないまでも友達に限り無く近い存在。真も「転校生」から「丹羽君」には昇格が難しいようだし、「藤和」と呼称が変わらなくても、彼女の心の中では微妙に変わっているのかも知れませんね。

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対するリュウシさんが問題で、エリオと話すときにも何故か真経由になるし、前川さんを間に挟む時もある。エリオに対しては対等ではない。

あくまで友達以上片思い未満な彼と同居しているライバル的な何か、みたいな感じなんでしょう。だから、エリオがオフロに服のまま入った言い訳の座標に対して直接突っ込んだのは初めてじゃないかな。

でも、ある意味普通の人とは思えない感覚をリュウシさんに披露してしまったので、エリオの友達計画は暗雲が立ち込めているような気がします。

リュウシさんと真を阻むエリオの存在


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その後の、真とリュウシさんの二人だけの会話。年頃の男女が二人きりで話していて、盛り上がって空気もいいのに、エリオの話を出してしまう真。

どうしても、エリオを救ってあげたい願望は自分にはあって、それは大切に想っているリュウシさんの頼みでもゆずれない。だから、そんな自分を蹴り飛ばして欲しい。この部分って、酷な話なんですよね。真にとっても、リュウシさんにとっても、エリオにとっても。

エリオは真がいないと「宇宙人」というレッテルを貼られて、地球人と関われない。それは彼女にとっては普通で、その普通を普通じゃないと気付かせてあげたのが真。

幸せの青い鳥は近くに飛んでいる。それに今は気づいていないだけと彼女を助けてあげる。だけど、その青い鳥は一人では捕まえられない。だから、真としては、そのまま引き離してしまうのも無責任に感じるし、見ているだけで辛い。そんな連帯感。

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そこにリュウシさんが入り込める余地があるかというと、違うというのが今回の真の告白。あくまで、リュウシさんはクラスメートの一人でしか過ぎず、自分のような「孤独」な人間になる必要はない。

リュウシさんにはリュウシさんなりの幸せを求めて欲しい。つまりは、真はリュウシさんよりもエリオを選択してしまったわけです。だけど、そんな真でも否定はせずに、自らのやり方で付いて行こうとするリュウシさんも一途な子だと思って、可愛いんですよね。

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この場面だけで何度泣きそうになったことか。リュウシさんも好きだし、エリオも好きだし、もう、真も好きだ。この作品には誰も悪い人間がいないし、誰も誰かを貶めようとしているわけではないのに、何故か皆が幸せになる選択肢は残されていない。

そこで、最善の道を模索しながら生き抜こうとしている彼と彼女らを自然と応援したくなってくるんですよね。みんな、ガンバレ!

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