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書きたいことが多すぎて困る。困ることが多すぎて困る。社会はこんなにも冷たい。エリオは布団から脱出出来るのだろうか?


これは辛い。八方塞がりな社会からの抹殺。生きながらにして死を味わっているような、そんな感覚。こんなに深刻な話が展開されるとは思っても見なかったですよ。エリオが可愛ければ、それでいいと思っていた時期が私にもありました。

正常な母娘関係というものは…


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イマイチつかめていないのは、エリオと女々さんの関係。母娘でいいと思うんだけど、どこか離れすぎていて、どこか近寄りすぎてもいて、お互い距離感がつかめていないかのような言動が気になる。「お母さん」「好きだから…」という言葉を口に出して言うエリオ。

エリオとしては、ようやく母親として認識して、それが好意に変わって表面化しているようにも見えるんだけど、どうにもエリオ→真→女々さんという風に真がいないと正常な母娘の関係を気づいていないのではないかと思えてしまう。

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女々さんの真への求愛好意は本気で見るか、冗談で見るかで大きく違う。きっと、本気半分、冗談半分なんだろう。寂しいのは確かだと思うので、どこか構って欲しいのだと思う。

決して手を出さない真への安心感も手伝って良い感じに構ってあげるハメになる。ここら辺は母娘共通の性格なのかも知れない。それが積極的か内向的かの違いなのだろう。

で、娘に祝ってもらった女々さんはスラスラとお返事を返す。それがどうにも芝居ががっているようで、何か勘繰ってしまう。去年エリオの誕生日をさらりと「祝いそびれていた」と今更になって思い出す女々さんも女々さんだしね。自分を祝ってくれたから、思い出した。あくまで、ギブ&テイク。

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そして、一気に近くなる距離。モノでつられたわけではなく、愛情のかけ方とかけられ方に慣れていないんだろう。だから、怯えているように、かしこまって、距離を詰めていこうと頑張る。これが社会復帰の第一歩。まずは、家族から疎遠になっていた関係を築き直すことから。

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それが急に近くなったものだから、一緒の髪型(ツインテール)にしてみたりして、母娘の仲の良さをアピールするけど、あくまで真視点で仲が良いように見えるだけで、心が近くなっているかは疑問。

だから、職探しも真経由。エリオとは、そういったナイーブな面では心を許せていない部分が多いから。エリオ風に言うなら、「エリオが分裂」したように見せているのが現時点で見せる女々さんの距離の取り方なんだろう。

元クラスメートからも知り合いにしたくない存在


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そして、クラスでも流子さんは嫉妬心から怒ることもなかったけれども、それは「嫌いになるほど知り合いじゃないし…」という言葉に集約されている気がする。なら、知り合いになればいいと思うのは気のせいだろうか。暗に「嫌いになるくらいに知り合いになりたくないし…」という言葉で置き換えられそうな程の拒絶。

前川さんは相談にノってくれたけど、ノってくれただけで、エリオという存在はそこに含まれていないのではないかと思ってしまう。どこかに買い物に付き合ってあげるでもなく、ただ単にバイト先の和菓子を薦めただけだし、エリオのことを知ろうともしない。

エリオが映っていない時でも彼女は「いない」存在になっている所が、哀しいことに社会的に宇宙人という存在になっていたという顛末。せっかくのサンクスギビングなのに憂鬱…という。誰から感謝も関心も得られない寂しさ。

エリオは一人で立ち向かっていけるのだろうか?


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それに対抗していかなければならないというエリオは言葉では何とか頑張ろうとしているけど、布団を丸めて包めて縛って、その中に引き篭もろうとしている。そんな言動の矛盾。勇気を出したい。だけど、コワイ。布団の中に入って逃げ出したい。

その葛藤をさらりと真がほどく。ある意味、行動だけで叱咤激励したわけだ。誕生日ではないけど、誕生日のご褒美的な何かで元気づけてくれて、それがエリオの背中を押してくれた。社会に対して推してくれた。

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そんなご褒美に対して、「好き」という言葉で返すエリオと真の甘酸っぱい関係。これぞ、青春ポイントのマックスの瞬間なんじゃないカナ。

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でも、そんな見ているこっちが照れてしまうような明るくて和やかな空間を構築しているさなかで、鳴り響く雷声。前を向いて歩き始めたエリオに対して、世間という外の世界は、そんな甘いものじゃないぞ、と決意した時から暗い未来を暗示しているようで、ここで涙。

でも、真がいてくれるから、頑張れる。いつもどこに行くときも、自転車のカゴという安心空間で真は守ってくれる。一緒にいて、見守ってくれる。雨の日も風の日も…。それだけが今、エリオが社会からの拒絶に対して立ち向かっていく糧になっているのだから…。

青春ポイントを貯めているような草野球している人とエリオの違い


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だけど、草野球している男女は遊びに興じて楽しんでいるのに、自分たちはそれすらも許されない。いや、真は許されているんだけど、エリオを放っておけないから、同じ心境を味わいながら暮らす日々。

別に何かが間違って何がおかしかったというわけでもないのに、そんな感じで格差を感じてしまう。確かに布団にくるまって歩いているのはおかしい。でも、それは罪で、この仕打ちは罰なのかと思うと、そうも言えないだけに世の中の理不尽さを感じてしまう。

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そして、残された道は一つだけ。選択権すらない。それでも、それは母親のちょっとした愛情の証でもあって、エリオを人として認めている数少ない同類の仲間への紹介。

今はそれしか出来ないけれど、それ以上も出来ないけれど、そこから少しずつ広がっていければいいな、なんて考えているのかな、真と女々さんは…。人は独りじゃないというのを感じさせる二人の結託。そして、優しさ。

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でも、駄菓子屋という現実社会では廃れ行く定めにある場所で働く。働けるほどに仕事として、人と関わっていけるかという不安。旧知にして窮地に追い込まれた。

だけど、子供というあまり偏見のない相手はエリオにはちょうどいいのかも知れませんね。と、これ以上、悲しい結末にならないことを祈る。

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