所詮、すべては戯言なんだよ

プチ最終回というか、これが最終回なんだろう。ユーに戻ってきて欲しい。ただ、それだけ。今まで強そうに見えた歩の意志は、ユーによって支えられてきたのだと実感させられます。帰るところがある。帰ればユーがいる。そんな日常。


それが普通で揺るがないものだと思っていただけに、彼女からの拒絶（に見えた）されたことで、彼自身のプライドが傷つき、今までの愛情と友情といった感情が全て放り投げ出されたように感じた。ただ、一方的な愛情だった。ユーには伝わっていなかった。

そんな絶望が彼を現実世界から逃避させていく。でもさ、ユーに温かい言葉を送ったときのユーの顔を思い出してみなよ。あれがまやかしだと思うかい。言葉には出さないけれど、文章にはする。そんなやりとりが全て意味のなかったものだと感じてしまった歩に絶望を感じました。


それだけ人の心はもろい。もろくて崩れ去りそうなんだけど、それを支えてくれる仲間がいることの大きさを実感した今回。ハルナは未だに歩のことをバカにしていますが、必要とあらば何でもする精神を見せるし、セラも態度はつれない感じだけど、内心は動揺していることが感じ取れる。

セラとしては、里を裏切り、歩を失い、ユーも失った結果が重くつきまとう。彼女が今回の一件に関して、一番責任を感じているのではないかな。でも、そこは彼女の屈強な精神でカバーして、今出来る事をやろうという姿勢がかなりポジティブで今回の話ではかなり勇気をもらいました。


少しずつでもいい。前に前に進むことで、ユーを支え、歩を支え、そして、ハルナを支える。それに同調するかのように里のみんなもオーケストラのごとく彼女を支える。そんな人と人との支え合い。そこに見返りは求めない。

目と目で通じ合えるだけの関係にウルッときましたよ。でも、不器用そうなトモノリはトライアングルとショボイのに笑えた。ショボくないぞ、一応は正統な楽器だ、と言い張りそうだけどねｗ。

で、ハルナの方ですが、歩に対して付きっきりの看病（？）してあげる姿が本当に歩のことが好きなんでしょうね。それを大先生もわかっていて、何もないここから無理にハルナを去らせようとはさせず、ハルナの力を信じて、ハルナがこの局面を打開できると信じて消えていく姿に彼女に対しての信頼を感じました。


大先生は味方でありながら、悪役っぽいので、何者かと考えてきましたが、別にそんな大層な裏はありませんでした。意味深発言の多いドジっ娘キャラと覚えればいいですね（今更

でも、今回は男と男の殴り合いですね。魔装少女も夜の王の闇も、ただの迫力バトルの演出にすぎず、言いたいことははっきりとさせて、身体的に強いか弱いかで決着をつけない所がとても好きです。


正義は勝つ。そんな常識を才能や努力で証明するのではなく、話しあって、ユーのことを思うこと。そして、自分の不死身を嘆くこと。この両者の想いの交錯が拳に表れて、すごく良いシーンに仕上がっていました。

女を巡る男と男の殴り合い。ほとばしる汗、いや、血。これゾンワールドでしたよ。その間、ハルナは何をしていたかというと世界旅行だし、何がなにやら、って感じだけど、シンプルに泣けそうになりました。ユーの気持ちを考えろという歩でしたが、自分よりユーのことを第一に考える姿勢がいいですね。


だけど、夜の王の永遠に死ねないという辛さ。悲しみも喜びも分かち合う友が次々と死んでいき、友達を作ることの気力が失せ、この世の中で孤独に生きなければいけない彼の心境。何か目標があれば別なのかもしれない。

でも、その目標も時間さえあればすぐに達成できる。そして、彼にはそばにいてくれる人も、一緒に頑張ってくれる人もいない。孤独に目標を探し、孤独に目標を達成する。その繰り返し。


それが死ぬほど辛い。死ぬよりも辛い。そんな彼だからこそ、歩との殴り合いで感じ取ったんだろう。ユーと一緒にいていいのは私じゃない。彼だ。

だとしたら、私は一生孤独だ。なら、一縷の希望もなくなった今、いっそ、死んだほうがいい。殺して欲しいとユーに頼んだけど、友達は殺したくないという彼女。


でも、夜の王の苦悩がこの場でわかった今だからこそ、彼女は苦渋の決断をする。歩の願いでもあり、夜の王の願いでもある。一番の解決法。それが正しいのかわからない彼女の悲痛な表情が悲しさを誘う。

夜の王が「生まれ変わるなら、ペンギン…」というくだりで、いつもユーが抱き抱えている、あのぬいぐるみのペンギンになりたいのでしょうね。そういう意味では本当の意味でユーを愛していたと言えるのかも知れません。


だからこそ、そういった愛情の結末を見た歩としては、これから先、何十年、何百年も先も、同じように苦しむことなく、ユーを愛し続けることが出来るのかが課題になってくる。

その結末や行方を夜の王が見れないのが残念だ。もしかしたら、本当に歩は永遠の呪縛を解き放つ術を知っているかも知れないので、夜の王には死ぬことではなく希望を見せてあげたかった。この寂しさに号泣です。

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