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これは酷い。本当に酷い。ここまで人間を追い詰めることが出来るのは、この作品の持ち味でもあり、希望のない残酷さの提示。


そこまでして、さやかは何を手に入れたかったのか、という問いになりますが、一つの願いと共に全てを犠牲として差し出すというのは承知だったはず。だからこそ、今の苦悩が理解出来ない部分も多分にあります。

さやかの間違いはどこにあったのか?


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まあ、普通に考えて上條くんとの未来を望んだのであれば、それを願いにすればいいわけなのですが、何故それを願わなかったか、ということに思いを巡らせると、自身が自分に人心を掌握する魅力があると考えていたのでしょう。

別にそれは悪いわけじゃない。上條くんの選択という自由を奪うことは決して心地良いものではなく、人間として上條くんに選んでもらうということで、さやかの幸せにつながり、上條くんの幸せにもつながると思っていたのは致し方ないこと。

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そういう意味では上條くんの心を手に入れるのはさやかにとって安易に思えた部分がある。いや、むしろ、上條くんの心は手中にあったと考えていたために、まずは彼が一番喜ぶことをしてあげたいという思いが強かった。

さやかとしては楽器が弾ける上條くんを見ることが出来れば、それで満足だと思っていました。彼の幸せが自分の幸せだと…。

だけど、それは過程にしか過ぎず、自分との将来を夢見ていた乙女の部分が強かったというのが彼女の根本的な間違いだったのですよね。


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その部分で一度ブレが出た。

そして、二度目のブレは正義感。彼女は何より正義感から罪のない第三者の命を救うために魔法少女になったのですよね。

そういう意味ではまどかと同じ理由で、誰かのためになることをしたいというアガペーという「無私の愛」から、彼女は契約を決めたと思うんです。


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で、もう一つは、自らのプライド。彼女が魔法少女の勧誘を受けていた頃に「幸せボケ」という言葉を使いました。きっと彼女の中では上條くんを想像して、他にもそういった不幸を抱えている人が多くいると思った。

それらの人、皆を救いたいという願いがあって、上述の正義感とつながりますが、この世の中での自分の人生に価値を見出したいという理由もあったと思うんです。


整理しますと、さやかの本当の願いは、

上條くんとの恋愛、人のために戦う正義感、自らの存在価値。


この三点を重視しているわけです。で、今回でその三つとも希望をなくしてしまったということが彼女の悲痛な嘆きへとつながります。

自らの存在価値をなくさせた人間の体をした「ゾンビ」


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自らの存在価値という意味では、彼女は自らを「ゾンビ」と言っているくらいなので、人間としての自信をなくしてしまっているのが悲しい。

これはキュゥべえさんの悪徳商法に引っかかってしまったわけで、クーリングオフのない口車に上手く乗せられてしまったわけです。聞かれない限りはどんな大事なことでも言わないキュゥべえさん、マジ鬼畜ッスw。

だから、魔法少女として人間よりも高位な存在と見ていたさやかにとっては、魂を抜き取られたという意味で、人間より下位の存在へと格下げになったわけです。


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一人の人間としての生涯を一つの願望と共に捨て去ったわけですから、魔法少女としての存在価値を高めようにも、人間と対等に暮らしていくことができないという感覚をつけてしまうと、もう戻れない高嶺の花になってしまうわけです。

それをわかっている杏子は魔法少女という"底辺"の者同士、仲良くしようと持ちかけたわけです。共感して傷を舐めあって生きようと提案するのですが、この時のさやかにとっては、まだ正義感と上條くんが残っているので、そこまで落ちぶれてはいないと感じて、その提案をけった。

上條くんとの自由な恋愛という、「選択」という名の不自由


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で、次に上條くんとの恋愛に話が移るわけですが、これが上手い具合に杏子の「選択の自由」という話にリンクしているわけなんですよね。

杏子は信者の「選択の自由」を奪い、父親の威厳を保たせた。さやかは「選択の自由」を上條くんに残し、恋愛の道に可能性を見出した。


そして、結果的に杏子は父親にバレて、人間の自由を奪ったことに罪悪感を覚えた父は罪を償うという意味で一家心中を選択した。杏子を残したのは、魔女と戦い生きることで一人でも多くの人を救わせて、彼女に罪の償いをさせようと考えた。

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対して、さやかは上條くんに「選択の自由」を残したことにより、自分が選択されない恐怖に怯えることになり、自分が幸せになる結末を逃してしまった。

どちらも心という意味では崩壊している。

杏子は周りの心を自由にさせないことで彼らの人生を間違わせ、さやかは自分自身の心を正常に保てなくなってしまった。


人の心を動かす奇跡を起こすことによって、何かを得て、何かを失うわけなんですよね。現実問題、一つの願いが現実の自分の幸せを失うことにつながって、人間としての肉体も失っているので、最悪の結果しか残っていないわけです。

さやかの持っている正義感の喪失


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で、一つ残っているかに思われた、さやかの正義感。これは魔法少女として人間に害を及ぼす魔女を倒すことで、人間に救いを与えることが出来る唯一のさやかの生きがいとなるはずだった。

杏子との同盟を断った理由としても、杏子がりんごなどの食物を手に入れるためにどうやったかを答えられないことから、盗みなどの手段を用いて、悪を行なっていることにさやかが幻滅しているからだと思う。

まあ、杏子の立場から言えば、人間を救うために働いているんだから、少しくらいの悪事は十分な対価として許されると思っていることでしょう。

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だけど、さやかとしては正義感だけは守りたいと思っていた。だけど、仁美からの告白。

告白をするという告白。そのことに焦りを覚えて、上條くんを奪われたくないという思いから、ただ人を好きになっただけの仁美を救わなければ、あの時、殺されておけば良かったと思ってしまった。


恋という罠にはまって、正義感を失ってしまったということに気づいた。

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なので、彼女がこの世の中で生きていく意味ってなくなってしまったんですよね。

全く救いがない。全く希望のない今回の結末。


この容赦ない絶望感を彼女に与えて、狂気へと変わってしまったさやかを嘆くまどかの悲しみがさやかの思い以上に伝わってきて辛いです。

人間としての何かを失ってしまった彼女は助かるのか、それとも、前回のまま死んでしまった方が彼女のためになったのか、二つに一つの未来が予想できないだけに、これからの展開が非常に気になる所です。

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