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あくまでもフェアな姿勢を貫き通すくるみちゃんが発破かける様子が何ともうまい具合に作品のエッセンスになっています。


本当、爽子も風早も「あきらめちまえよ」なんですよね。周りからの目線で見たら、なんでこんなに苦しんで悩んで、落ち込まなきゃいけないのか、全く理解出来ない。告白して玉砕して、お互いの「好き」の度合いが違うなら、これ以上は望むなってことですよね。

それが健人の理解でもあり、周りから見た二人の恋の行方という第三者的視点で見たときの感覚。だから、サブタイの「あきらめちまえよ」は健人の思った言葉でもあり、関係のない人から見ればそう見えてしまうくらいに恋愛関係って単純に見えてしまうんですよね。

自分の想いを全て相手に伝えることが可能だろうか?


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人が人を好きになるのに理由なんていらない。私としてはこの言葉には反対なんです。理由がない場合もあるけれど、「好き」になるということは相手のことを少しでも思っているがゆえに、必ず理由がついているものだと思うんですね。

何を見て好きになったとか、どこが好きかとか具体的には話せないのかも知れない。

それは気恥ずかしいからではなく、自分の気持ちに整理がついていないからだけなんですよね。

恋愛にもよらず、今の感情を言葉や文章で言い表せと言われて、そう簡単に「感情」を言語化して誰かに伝えるというのは相当難しいんですよね。


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例えば、作曲の過程を思い浮かべればわかりやすいかもしれない。自分が思い浮かんだフレーズや音の連なりをただ楽器で弾けばいいんだけど、第三者に伝えるにはそれを自分自身が弾かなければいけない。で、その作曲した曲の良さの全てが他人にわかるかというと、そうでもない。それと、理解してもらうために譜面に書き起こして、第三者が自分が思った通りに弾いてもらうことも難しい。

相手に自分の気持ちを正確に伝える作業って、作曲で言えば譜面を作り、その譜面を見て相手がイメージできるようにする以上のことが求められている気がするんですよ。


譜面に起こすだけでも相当な労力がいるのに、まだ定まってもいない自分の気持ちを誰かがわかるように伝えることって、ほとんど不可能に近いんですよね。大体はわかる。でも、大体じゃ意味を成さないことが多い。

くるみちゃんが好きなのは風早でもあり、爽子でもある


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で、告白って、凝縮した相手への思いを少ない言葉にして表現するわけだから、本当に表現力やコミュニケーション能力が問われる。

その面に優れていても、人と人で感じ方は違うので誤解は生じるんですよね。


今回の爽子だって、自分を表現する術を知っているし、風早は周りとのコミュニケーション能力に長けている。それを理解した上での言葉のやりとり。

くるみちゃんが諦めきれないのには、それがあると思う。自分の思いを風早が100%理解していないと彼女自身が感じている。今までの積み重ねや風早との交流から自分の性格は大体把握できているだろうとは思っている。

だけど、それが全てじゃない。私の魅力は風早が思っている以上にあるんだから…。


とでも言いたいぐらいに再評価をしてもらいたい、くるみちゃんの諦めきれない気持ち。

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だから、くるみちゃんとしては風早と爽子が上手くいっていないのはある意味チャンスと言えるだろう。だけど、勝負はフェアにいきたい。

時々、悪だくみを考えたり、二人の仲を邪魔しようとしたけど、爽子の魅力が100%風早に伝わって、くるみちゃん自身の魅力も100%風早に伝わったときに風早がどうするかを見てみたいんですよね。

いきなり相手が勝負の場を離れるのは許せない。


それでこそライバルなので、くるみちゃんが風早と過ごしてきた季節を考えれば、くるみちゃんの魅力は100%に近いほど、風早は理解しているだろう。

だけど、爽子の魅力は風早に十分に伝わっていない。それが伝わってこそライバルになる。


そういう意味では爽子の性格を買っているのって、あまり関わりがなかったくるみちゃんというのが面白いですね。

お互いの表現力不足をどう補っていくのか…


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龍が言っていた「言葉足らず」というのが的確過ぎて、泣けた。爽子のことをこけしにしか見えていない龍としては別にどうなろうが構わないけど、親友が困っているのを少しだけ手助けしたいという気持ちで、言葉足らずな言葉で「言葉足らず」と言った。

具体的に何が悪いとかすれ違いがどうのこうのって指摘するわけでもない。

二人の手助けをしてあげるつもりはないけれど、吉田があれほど気にしていたので、少しくらいは協力できればと思って陰から見守っているんですよね。

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そんな爽子の感情の表現力不足。彼女なら勉強の成績や人に教えたりして、決まった何かを表現するのには困らないけど、

自分の気持ちを前に出さない性格なだけに、相手に嫌われたくないという思い込みから相手を尊重して自分を犠牲にするばかり。


だから、自分の気持ちを言葉で表すことに慣れていない。そんな彼女の葛藤。

自分を尊重するために相手を尊重しているように見せる健人と、相手を尊重するばかりに自分が尊重できなくなっている爽子の差というのは大きいですね。

同じように、風早も自分を尊重しきれていない。この二人のどちらかが自分を上手く表現し、尊重することができたなら、万事解決な感じがしますね。

それには彼女たちの成長と周りの協力が不可欠な感じがします。


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