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今回はさおりんオンリーです。もう、さおりんしか見えなくなってきた。この熱い情熱をどこに向ければいいの?


今週もさおりんのセリフが胸に突き刺さる。あくまで、この世界の流れを断ち切ろうとして、孤軍奮闘している感じがして、彼女を応援したくなります。別に二鳥修一と高槻よしのがどうなろうが別に構わない。

構わないこともないんだけど、そんな二人が一緒になることを世界が望んでいるのなら、そんなおかしい世界に真っ向から対立してやろうじゃないか。

世界と対立する自分の無力さを感じる抗い


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自分の望み通りに世界は動かないことは知ってる。例え、望み通りに動いたとしたって、そんな世界はつまらない。そんな矛盾する気持ちの中で彼女は生きているのですよね。

現実はそんなに甘くない。でも、自分の頑張りで現実が少しくらい変わってくれてもいいじゃない?


努力の結果が現実に反映されないこの世の中のおかしさに対して、彼女は強い反感を持っているんですよね。努力すれば報われる、そんな世の中にしたい。

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「好き」という気持ちが強い方が好きな相手をモノに出来るのが普通の感覚じゃないの? それだったら、自分は誰にも負けていない。世の中を敵に回したとしても、二鳥修一のためなら、何でもできる、何でもやれる、そんな気持ちに世界が応えてくれないのが非常に悔しくて憎い。

少しくらい夢を見させてくれたっていいじゃないの? 自分の頑張りを評価してくれたっていいじゃないの。みんなが楽しんでいる中で自分は苦しんでいる。

その分の幸せを、他で分けてくれたっていいじゃない。そんな不平等。そんな世の中に対する敵意。


何も洗うもののない台所を掃除する、さおり


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誠「なんだ洗うものないじゃない?」
さおり「台所磨いているのよ」

ここのセリフがなんとも印象的です。普通に考えれば、母親が言うように、ただ単に怒りの矛先を台所に向けているだけのように見える。それは二鳥修一と二人で作る脚本がみんなによって侵食されていくことへの反感。

だけど、洗うものがない。やることがない。自分の役割として果たすものがない。


ここに彼女の生きづらさを感じるんですよね。やってもやっても終わらない。そして、あまり意味がないように思える行為。今自分がやらなくてもいい。みんなが来ているときにやるのではなく、暇な時にやればいい。

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そこを彼女は見逃しているんですよね。みんなの中で溶け込むことができない点で…。

十代の一頃というのは人生で一度しか訪れないわけで、中学生のクラスメートたちと過ごすときというのは、そう機会があるわけでもない。そんな時間をみんなと共有するのではなく、一人でただ、黙々と違うことに精力を向けている彼女を助けたい。

そんな気持ちで、少しだけさおりんの情熱の矛先を変えてあげようとするマコちゃんとの絡みには要注目の予感です。

子供のネットワークと大人のネットワーク


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子供(中学一年生のクラス)というネットワークがあり、その頂点として担任の先生がつく。その先生も大人のネットワークの一部に過ぎず、大人のネットワークで生き抜いてきている。

そんな大人の歯車の一つとして、子供のネットワークが大人のネットワークというものを見習って、少しずつ大人のネットワークに入りやすいようにしている。それが学校での先生の役割。

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つまりは子供のネットワークからすると、大人という社会の一部を垣間見ているので、それを真似することから覚えていくんですよね。社会の常識と暗黙の了解を、一人の担任と他の先生から学んでいく。

子供のネットワークから大人のネットワークへの橋渡しとしての教育がある。これは主要5科目などの勉強とは違い、社会の一部としてどう自分が機能していくのかを、担任という大人から学ぶ過程でもあります。

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で、大人のネットワークというのは社会や世界と同義と考えれば、さおりんは担任教師に対して反抗することで、世界を拒絶しようとするのですよね。

自分一人では変えられないことはわかっている。わかっている上で、その世界の常識に対して慣れ合っていくのを怖がって嫌っている節があります。


可哀想なのは、子供のネットワークでも上手くやれていないのに、大人のネットワークに対しても拒絶しているので、彼女の将来を考えると、他人との付き合い方という面で問題が起こっているのは確か。

でも、彼女の考えていることは正論だけに、世の中の矛盾や間違いを指摘する意味では、その姿勢を貫くことも一理あります。


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だけど、人って、いつの間にか周りに合わせるために懐柔されていくんですよね。それを大人の人は成長と呼ぶけど、ただ、単に自分の信念を譲歩したに過ぎないわけです。でも、譲歩しないとこの世界で上手く過ごしていくのは難しいだけに担任としても彼女を周りと出来るだけ親しくさせたいと思うわけです。

そういう意味で、脚本に対して周りから援助を募ったり、配役も抽選ということで、能力や希望ではなく皆平等に均等に責任を押し付ける社会の一部を垣間見せたわけです。まあ、それに対して、やっぱり反感を抱くさおりんでしたが、大人のネットワークには勝てない彼女の絶望感が伝わってくるんですよね。

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頑張っても、頑張っても、報われない社会の一部を彼女は痛感させられているわけで、その社会に対してどう立ち向かっていけるか、彼女は独りでいつも悩んでいるわけです。

だから、支えが欲しい。二鳥修一には世界と戦っていく彼女の助けとして、よき理解者として一緒にいて気持ちを分かち合いたいと思っているわけです。


今、彼女は混乱しているのだと思われます。二鳥修一を恋人にすることを過程として社会と戦っていくことを目的とするか、この社会に抗って自分の強さを見せることで二鳥修一を恋人にすることを目的とするか、まだ彼女の中で定まっていない気がするんですよね。

この部分で彼女の性格は発展途上で、何かを目的に動こうとするよりも目先の気になることに対しての不満を漏らすだけになってしまっている。

脚本変更も失敗して、前向きに考えようという、さおり


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そして、脚本の変更要望が彼女の精一杯の抗い。これは担任を介さないで、秘密裏にやりたかったのかも知れない。もしくは、ただ単に二人だけの脚本が、みんなの脚本になってセリフとなって現実味を帯びてきたことに耐えられなかったのかも知れない。

二人の脚本→みんなの脚本→配役は抽選→ロミオはさおりんだったけど、ジュリエットが二鳥修一ではない→せめて、脚本を塗り替えて劇の疑似恋愛でも、そういう雰囲気をなくしたい。そういう意図で吐いた言葉だと思います。

抽選とはいえ、そういう世界の歯車の一部として自分は動きたくない。


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だけど、やっぱり、大人の歯車の担任に責められる。となると、アドリブでセリフや演技を変えてきそうなさおりんの無駄とも思える抵抗力でも、少し期待してしまうんですが、彼女の世の中の波に逆らうのではなく、逆に波に乗って、自分の持論を主張したい彼女の決意が格好良く見えましたよ。

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