そらのおとしもの f-0そらのおとしもの f-0(1)

正しさの主張と実証と動力炉(心)に響く思い出という愛情。


面白い。面白いそ、こらー!
今まで、なんでこんなバカなことやってきたのか。
バカで何が悪い。いや、バカだったからこそ、このシリアスが映える。

エンジェロイドたち皆の表情がとてもいい。
この寂しげで自分の本能と心にの葛藤に悩む姿が、とても愛おしい。
バトルシーンも容赦ないし、今回の出来は異常すぎるだろう。

エンジェロイドの心の葛藤というのは、なんとも切ない気分にさせます。
ただ命令されるがままに動くロボット。それ以上でもそれ以下でもない。
本当に、召使程度にしか見なくてもいいようなロボット。

AIが入ったからとて、感情に左右されるものではなく、人ではなくモノとして扱う。
別にそれは悪いことじゃない。それは子どもがただ、単におもちゃを買って貰って、
そのおもちゃでおままごとをして、おもちゃを壊してしまったようなもの。

そこにおもちゃの感情などはない。と、思っているシナプス。
非常に合理的ではあるが、快楽を破壊でしか堪能できない悦楽主義者。

心ってなんでしょうね。本当、人間の心というのは不思議な存在で、
動物の脳に刻まれたシナプス(あぁ、そういう意味でシナプスと名乗っていたのか)
によって伝達信号が送られ、行動へと促す。

その信号が人間の場合には複雑で、他の動物にはないものを持っている。
本能というのを除けば、心や感情という言葉を使って表せる行動をとるのは人間だけ。

そらのおとしもの f-0(2)そらのおとしもの f-0(3)
そのシナプスから伝達信号という命令。
それは脳に対しての直接的な命令なので、逆らうことが出来ない。
つまりは彼女たちエンジェロイドは脳と心での戦いを強いられた。

脳と心を、命令と愛に置き換えて表現しているところが面白い。
そこに彼女たちエンジェロイドの心の芽生えを中心に心という優しさで
人間と同等になるまでに感情の変化が起きていた。

それは、日々の生活の中での思い出という、彼女たちにとってのイレギュラー。
そのイレギュラーがプラス要素に働くか、マイナス要素に働くかである。

今回はプラス要素に働いた。でも、自律となると、それはそれで手に負えなくなる。
命令を聞かないロボットは反逆者でしかないから。そうシナプスは思っている。
なら、反逆者には死を。全て従順に動くものにしないと、自らの危険となりうる。

そして、シナプスやカオスにはわからない心という愛情がプラスかマイナスか。
わからない、理解出来ないということはどちらに動いてもおかしくない。
だから、彼らはマイナスで考える。そう簡単に楽観主義でいれない。

そらのおとしもの f-0(5)そらのおとしもの f-0(4)
だって、ただのおもちゃに、自分に対しての驚異になりえるものにはしたくない。
だから、安全策を講じる。従順に動かないエンジェロイドをなくすことで。

なので、この話はシンプル。愛情というものをシナプスが理解出来れば良い。
ただ、それだけ。彼は智樹にとって敵であったり、残酷に見えたりもするが、
行動原理は間違っていない。愛情がわからない。わからないがゆえにこわがる。

彼は自信満々で命令を言いつけるが、その実、怖がっているのだろう。
不確定要素というのは何かにつけ、頭が良さそうな人にとっては排除したい。

そこにバカなアストレアに、使えないニンフ。
思い出という時の長さから感じた愛情を認識できているイカロス。
この三者三様の悩みが全て感情面での葛藤になっているのが面白い。

愛情を注ぐ智樹に愛情がわからないシナプス。
その二人がいつか対峙して、どちらの主張が正しい姿なのか判別できるくらいに、
物語を描いてくれると面白くなりますね。

個人的には、カオスや英四郎の動きが一番気になるところです。