おとめ妖怪ざくろ-0(1)おとめ妖怪ざくろ-0(2)

守る側と守られる側。守る気持ちの連鎖反応。


救出劇に関しては文句なく素晴らしかったな、と思う。
何かを守りたいという西王母桃の熱意が良い方向に向かっていた。
敵側は、大事な人を人質に取られて、西王母桃が錯乱することを願っていた。

錯乱した西王母桃が我を忘れて襲いかかり、無様な醜態をさらすかと。
だけど、違っていた。利剱以上に冷静でいられた。櫛松の不安は的中しなかった。
救うという意味で彼女は強くなった。精神的な面でのタフさは異常である。

そして同じように、景も強くなっていた。自分が守れるものを守りたいという意志。
それは自分が犠牲になっても、誰かを守りたいという強い意志。
その意志が、より一層、西王母桃を苦しめる。どちらも大事な人。

失いたくない人なのに彼は彼で、自分たちの犠牲を何とも思わない強さ。
その強さが西王母桃にとっては大きな弱さに見える。
せっかく救おうとしているのに、自らの命令を遵守して、命を粗末にするなんて。

大事なもの、優先順位ってものがあるでしょう。
それくらいはわかっていると思っていた。一緒にいた景だからこそ、我儘が通用する。
それなのに、彼は我儘であっても一生懸命に応える。もう甘えられないじゃない。

おとめ妖怪ざくろ-0(3)おとめ妖怪ざくろ-0(4)
ほんのちょっとしたことでも、こんなにバカみたいに真摯に取り組んで、
自分の思い通りにならない。いや、思い通りにならないことが気に入らない。
自分の思いを通り越して、自分を大事にしてくれる、その姿勢。

嬉しいんだけど、嬉しいんだけど、それが悲痛な結果になりえそうで不安。
その不安をかき消すくらいに彼が強くなってくれればいいのに。

なんで、私より弱いの? なんで、私が救わないといけないの?
強くなってよ。男なんだから、女性を守るのは普通でしょ。普通でいたいのよ。
でも、私が守らないといけない。同じ半妖としての責任はとる。

もう、景たちに迷惑はかけられない。だから、足を引っ張らないで。
もう、私たちの心に入り込まないで。心の中で大切な人にならないで。

そんなもろさにも似た彼女の心の強さが垣間見えて、非常に良かったですね。
この悲痛な叫びは彼女自身の糧となる。景がどう動こうと、彼を守る西王母桃。
その構図は変わらないにしても、景は心の支えになることは間違いない。