おとめ妖怪ざくろ-0おとめ妖怪ざくろ-0(1)

短い中にも物語はある。小さいけれども大きな一歩。


子供の頃のトラウマが実はトラウマじゃなかった。
トラウマになりえなかった事実を知って、今どう思うか。

可哀想だって思うか、仕方ないと思うか、ホッとするか。
愛し愛されるものの関係の糸が、いつの間にか切れてしまう。
それは失った景の悲しみと、愛されたご主人から拒絶されたイツエの悲しみと。

両者の悲しみが呼応する。それは誰かの力を借りなくては知りえない事実。
自らの無能力さを嘆くか、自分に優しくない世の中を嘆くか、
それを弾みにして、自分の考えを改め、今一歩、勇気を持って前に踏み出せるか。

そんな過去の自分と向きあうことが出来るかの試練。
怖がった自分を否定することなく、良い思い出の一つへと変化させることが出来るか。
アクションはなくとも、ドラマとして見られた心の葛藤に迫力があった。

だって、小さい頃に見たイツエの実像と虚像の違い。
それは実際より見た目が相当大きく感じた。それは彼が小さかったこともある。
だけど、知らないものへの恐怖というのは、自分の想像を超えた記憶として残る。

そういう意味では小さな物語だったけれど、彼にとっては大きな前進となった。
現実と向き合うこと、現実を受け入れること、そして、常識を打ち破ること。
それを彼は今求められていて、支えになった西王母桃との関係が微笑ましいです。