刀語3-1刀語3-2

受け入れてくれる場所と支えと心の拠り所を求めて…。


自分を守るために、自分が助かるために、その拠り所が欲しい。
自分の居場所が欲しい。自分が楽だと、安心して住める場所だけでもいいから。

そんな被害者精神。彼女たちの中には、罪人がいるというくらいだから、
現状に満足出来ずに、復讐して、ここにやってきた人もいるだろう。

だけど、それを全て許した上で、平等に受け入れる。
それは、皆、被害者として…。心を病んだ人を受け止めるために。

そして、彼女たちは持つ。自分を守れる剣を。
男にも、誰にも屈しない、強固な武器としての、ただの心の支えとして…。
護身術、正当防衛という名を使い、己の弱さを屈するために。

それを「毒をもって毒を制す」の精神で、刀を持たせている理由。

刀語3-3刀語3-4
だけど、何故かおかしい。
何がおかしいってわけでもないんだけど、これは感覚なのだろう。

それこそ、守らねばならない自分の心と体を癒すために、
滅ぼさないために、正当な理由があったとしても、やっぱりおかしい。

おかしいのは彼女らでなくて、この世の中なんだろう。
弱いものが守られず、強いものが弱いものを制す、そんな弱肉強食社会。

弱いというのは悪いことなのか、淘汰されるべきなのか、
そういうことは考えたくないけど、彼女らの必死に生きようとする思いと、
強い上に強くなるために刀を持つ男らの思いを鑑みると、何か悔しい。

身を守るためとはいえ、刀を差して、作業にあたる彼女らの緊迫感と
安堵感の両立がとても不可思議で悲しい思いを感じました。

彼女たちも普通に暮らしたいのだと思うと、
そこからの決闘までが素晴らしかったな。

刀語3-5刀語3-6
西尾維新氏のことだから、千刀流も戦闘流とかけているんだろうな。
迷彩は千刀流を貫くことで、戦闘流から抜けきれない。
あくまで、戦いには戦いでしか、打ち勝てないのだ、と。

そう気づいてしまってからは、救いを待っていた。
その救いには、誰かに戦って勝つのではなく、
彼女たちの平穏無事な生活を祈るような覚悟で…。

ただ、それだけを願っていた。
毒をいつまでも所有し続ければ、いつかは身を滅ぼす。
決して、薬にはなれない。

いや、ある種の薬にはなっていたんだろう。
人を健全な体に導かない悪い薬(ヤク)として作用して…。

だからこそ、迷彩は、自分が殺した迷彩と同様の結果を選んだんだろう。
とがめのいう通り、「何も…(殺すまでもない)」と思った。
正直、このときの気持ちは、悔しくて歯がゆくて七花の楽天さに怒りが増した。

だけど、迷彩が選んだ道。

自らの罪滅ぼしとして、少しは彼女たちの役に立てるなら、
それでいいと、前の迷彩の意志を継いで、それをとがめたちに伝え、信じる。
いつかは自分も毒で殺られる日がくると思って…。