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初回から感動の嵐。肌にヒシヒシと切なさが伝わってくる感覚。


これはすごい。言葉で表すのが憚られるぐらいに、言葉に出来ない。こういう学園ドラマを待っていた。本当、誰からも好かれるマンガになるわけだ。

本当の純粋って透き通っていて、目に見えないものなんだ。

人は、ほんの少しの濁りをもって、ようやく、単体として判別できる。だけど、純粋で透明だったら、誰も見向きもしないだろう。

そこにいることさえ、その存在価値でさえ、否定してしまうのかもしれない。それが、爽子というキャラのイメージ。誰からも指摘がなければ、ただ、学園での卒業アルバムに載っているだけの人。

それくらいに影が薄く、誰からも愛されていると感じられていない。だけど、純粋がゆえに、それを許容して、全てを受け入れて、少しでも、みんなの支えになって、みんなが笑っていられればいい。

そんな心を持っている人間というのは、わかっていても、なかなか気づいてあげられない。気づいていても、優しく接せられない。みんながそうだから・・・、周りが、爽子を受け入れていないから。

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そんな気持ちで、周りを意識して、今一歩踏み出せずに爽子の存在価値に踏み込めるような人はいなかった。逆に面倒な事は面倒見がいい人にやらせればいい的なノリ。

だけど、そこで卑屈になって、自分ばかりが損をしていると感じずに、周りがどうかということに、気を使ってしまう爽子。その謙遜さ、純朴さに、なんだか、心が痛くなってくる。

ほんの冗談の一言でも、ほんの些細な事でも、気づかないうちに、爽子のような子を傷つけているように感じてしまうんだ。

それが風早の言っていた、本当のポジティブシンキング。ただ、単に明るくポジティブにとらえようと、表面だけを取り繕っていては、本当のポジティブな考えとは言わない。

誰かが自分を傷つける覚えがあっても、なくても、全てを包容して、素直に受け取り、それを許すぐらい、いや、許すのが差し出がましいとさえ、思うほどの爽子のポジティブシンキングに惚れた。

そして、透明なそれを気づいてあげられた、風早のほんの少しの優しさ。それに、爽子を守るための勇気。ただでさえ、罰ゲームということで、爽子は嫌われ者という周囲の認知の中で、それを崩すような勇気は相当のもの。

それに加えて、みんなからの謝罪の言葉と贈り物を爽子に出させるくらいの説得力と行動力。本当、この作品は、表面から隠れた所に、小さな積み重ねの努力が感じられて、風早にも惚れたw。

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それに、いつも通りの嫌われ役を演じていた爽子にとって日常に、大きな変化をもたらしてくれた風早。それは一目惚れとか、恋とかそんな気持ちではなく、純粋に優しさを知ってしまったからこその、日常の過酷さ。

ここの部分での「だけど、寂しい」という涙に普通に泣けた。連られ泣きではなく、本当にマジ泣き。爽子の寂しさがわかってしまったから…。それくらいに痛い気持ち。

自分でなんとか風早の弁護をして、できるだけ、遠ざけて、自分に関わって、不幸になったりしないように。(ここで、他人の噂の不幸の話を信じてしまう所にも、爽子の純情さを感じるんだよね)

だけど、何を言われても、別に気にしなかった爽子の初めての寂しさ。優しくしてくれた風早へのお礼としての疎遠。それが、辛くて辛くて…。自分でやっているのにね。自分でやっているから、こそか。

本当、最後まで上手くまとめて作ってありました。

語りたい事は一杯あるんだけど、文章にすると収まりきれない気持ちに溢れていて、心が温まってきて、それでいて、熱い思いがこみあげてくるような感覚なんです。初回ということで、あまり長くならないようにしたいので、この辺で。

能登声も最初は声とイメージでは違うと思いながらも、爽子の内面を知ると意外にはまっていましたし、制作もシリアスさと恋愛の心理描写に定評のあるプロダクションI.Gだし、今後も期待できそうです。

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