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世界観
[絶望][日常][非日常][シリアス][ホラー][問題作]
あらすじ
この世には、うんざりすることが多すぎる。たとえば、八月なのにやたらに涼しいとか。呼んだ覚えのない者たちが突然部屋にやってきたりとか。その連中が何を言っても出て行こうとしないこととか。あるいは、幼い頃から知っている馴染みの少女が連続殺人犯だったりとか。―そんなわけで、「杵築」が送る異常で不条理な七日間の物語が始まる…。鬼才が贈る実験作、解禁。
短文感想(ネタバレなし)
うーん、ハルヒ作品で惚れこんだ谷川氏の作品としては、
かなり期待していた分、ちょっぴりガッカリ感があります。
いえ、作品が悪いとか、そういうわけではないんですよ。
なんというか、タイトル通り、絶望を描いたホラー系小説なのですが、
人間が狂気に陥る姿を正気な人物視点で見ると、ただの狂気だったな、
の一言で片付けられてしまうストーリーに甲乙つけがたい状況です。
日常を日常的にほんわか描いたことで、
狂気じみた行動がより一層ひきたつもので、そこは上手いと思った。
だけど、その狂気が倫理的に受け付けられるのかが微妙な所。
表現の自由という意味で言えば、ギリギリセーフなのかもしれないけど、
色々と生理的に受け付けない表現もあるので、読み手を選ぶ作品かもしれません。
ただ、谷川氏のよくある傾向として、表現の仕方が複雑で、何もかも説明口調。
例えを使っても、理論的観点からモノを言う説得口調は読者的には読むのに厳しい。
それに、ただの作者の倫理観、世界観、哲学を披露したものにすぎない点が残念。
要は説明ばかりで飽きてしまうんですよね。
せっかく、小説家なら、その説明を一本のストーリー仕立てにして、
面白おかしく描いてくれれば、また違った印象を受けると思う。
だからこそ、この作品について良いか悪いかという判断はつきにくかったように思う。
絶望系 閉じられた世界 電撃文庫 (1078) 谷川 流 by G-Tools |