アスキーメディアワークス
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世界観
[日常][探偵][ニート][学園][ミステリ]
あらすじ
彩夏が、帰ってきた。僕と過ごした日々の記憶を、すべて失くして。あの『エンジェル・フィックス』事件の後遺症を抱えたままの彩夏と、それから僕は、記憶を一つ一つたぐるように、園芸部の活動を再開する。普通の毎日がぎこちなく過ぎていく。
でもある日、僕は生徒会長に呼び出される。「園芸部は廃部に決まったから」――突然の宣告。強引に設立され、不明瞭な予算を配されて続いていた園芸部。その経緯を探るうちに、意外な事実にぶつかる。
四年前の生徒死亡事故。その容疑者――テツ先輩。アリスの事情聴取を突っぱね、協力要請をかたくなに拒否する先輩、そしてニート探偵団。廃部が決まる生徒総会までは、わずか三週間。僕とアリスは、園芸部を――彩夏の場所を守るために、たった二人の戦いを始める!
短文感想(ネタバレなし)
でも、1巻の伏線をいつかは回収したいという作者の思いから、このストーリーを作ったそうで、ある意味、こちらが2巻になってもおかしくないのかも。でも、あとがきで書かれている通り、3巻が出る、1年ほど前に1巻の完結編を書いて、そこに解決編が書かれていないので、思い出しながら、なんとかひねり出した印象。
まあ、それだけでも、きちんと読者を納得できるミステリとして終わらせるというのは、すごいとは思うけど、1点だけラストの彩夏の行動に疑問が残ってしまったのが、どうしても気になる。これは伏線として、残しているのだろうか? だから、4巻も出す予定なのかもしれない。
1巻では絶望と不幸から、少しの救いの兆しを残して終わり、読者視点で見た時、不幸9、幸せ1の割合で、この作者は、とことん不幸を描かせたらうまいな、という印象でした。だから、3巻では、彩夏が戻ってくることで、主人公に希望を見出させようとすることで、不幸5、幸せ5の割合で書いていたのだと思う。
でも、中盤からは、やっぱり衝動を抑えられなかったのか、主人公の絶望を描いている印象で、ほとんど、生きがいをなくしてしまったような落ち込みぶり。基本的に精神はネガティブなんですよね。この部分さえなければ、明るくて良い終わり方だったんだけどな。
あとは、個人的な思い込みですが、この作者はシリアスな部分を描かせたら、心理描写がうまく、細かな部分の感情を詳細に描いていると思うんですが、コメディ部分がちょっと滑り気味な印象。まあ、それは1巻でキャラを作って、その設定を無理やりストーリーに絡ませようとするせいだからなのかも。ニートなのに、3巻では、もはやみんなニートではない印象だしねww。
でも、アリスの会話の言い回しとか、面白い例えとか、難解な用語を使ったり、知識に長けている部分は、とても面白いんですよね。この作者でないと、書けない部分であったりするし。
なので、主人公の絶望さと、途中のコメディ部分を省いて、ミステリを基調としているのであれば、ノビ白があると思うので、もっと良い作品が書けると思いますので、期待しています。あと、キャラの設定を作るのが上手いので、無理に続編を作らないで、「さよならピアノソナタ」みたいに、色々、他の作品として新しく作るほうが、この作者の場合は面白いですね。