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付喪堂骨董店 3―“不思議”取り扱います (3)
御堂 彰彦
メディアワークス
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世界観

[不思議][推理][謎][シリアス][]恋愛]

あらすじ

スレンダーな大人の美人と無表情な少女、そして見た目普通の少年。骨董店は三人の大騒ぎで今日も賑やかです。お客さんの声が聞こえないのはご愛嬌。つまり、付喪堂は今日も暇です。お客さんは来ませんが、付喪堂には不思議な事件だけは舞い込んできます。ちょっとそんな話をしましょうか。最近恋人を亡くした少女がいました。彼女は夢の中で好きな人に会えるという香炉を手に入れたのです。あなたなら夢の中に逃げますか?それとも所詮は夢と割り切って辛い現実を生きますか?彼女の選択は―それはあなたが確認してください。

短文感想(ネタバレなし)


今回も4章ごとの短編構成。結構、話の区切りが良くて良くまとまっているので、好きですね。これからも、この形式でいくのでしょうか。

4章構成の中でも秀逸だったのが、2章の「人形」で、作者も”アンティーク”のために書いたというわけではないので、いつもの雰囲気が違っていたのが、それまた良くて、なんか新鮮でした。それでも、”アンティーク”らしさが表れていて、読んでから、かなり評価が上がったような作品でした。

あらすじは、西の人形師いお使えする人間とさほど変わらない出来栄えの自動人形が、毎日、人形師が作った人形に螺子を巻くという日常から、クモという東から来た人間が現れて、予想もつかない、かなり波乱な展開になっていくという面白いお話しです。

様々な伏線が張られていて、これは作者がストーリーをつくるのに、かなり考えただろうなぁと思わせるつくり。終わり方もきれいで、かなり好きな作品です。

なんていうのか、”アンティーク”よりも、この2章の「人形」の方が出来栄えが良かったので、できれば、この2章の方面で書いてくれたら、一読者としては嬉しいです。

そして、3章「夢」を書けるようになったのはでかい。ハッピーエンドやバッドエンドではない、予想がつきにくいラストに持っていけるのは、この作者の筆力アップです。

あとはいつもとは雰囲気違って、恋愛要素がてんこ盛りの4章です。前回の「プレゼント」には劣るものの、今回も主人公と咲のすれ違いやもどかしさが青春を描いていて、読了後優しい気持ちになります。