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扉の外 (電撃文庫 と 8-1)
土橋 真二郎
メディアワークス
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世界観

[日常][恋愛][学園][シリアス][風刺]

あらすじ

修学旅行に行くはずだった高校生・千葉紀之が目を覚ましたとき、そこは密室で、しかもクラス全員が同じ場所に閉じこめられていた。
訳もわからず呆然とする一行の前に、“人工知能ソフィア” を名乗る存在が現れる。ソフィアに示される絶対の “ルール”。
だが、紀之は瞬間的な嫌悪感から、ソフィアからの庇護と呪縛を拒否してしまう。紀之以外のクラスメイトは全員そのルールを受け入れ、ルールが支配する奇妙な日常がはじまった。
孤立した紀之はやがてひとつの決心をするが……。

短文感想(ネタバレなし)


めっちゃシリアスなお話です。シリアスというより、作者の考え方は常に後ろ向きです。こういう作品がライトノベルという枠に収まっているのがもったいないくらい。でも、あまりオススメではありません。

閉じ込められた空間の中で、食べ物も飲み物もある。ある一定の条件を満たせば、欲求を満足できる仕組みもある。そんなゲームのような設定の中で、どのように主人公が行動していくかを描いていたもの。

ここだけ聞けば、何か面白そうなストーリー展開が生まれそうだけど、閉じ込められた中での様々な人間の行動を分析しているのは、心理学上面白い展開だ。確かに心理描写はことこまかに描いているかもしれない。

ただ、風刺の部分がやっぱり気になる。閉じ込められたサークルを一つの世界とし、それをいじめ問題や家庭内暴力や世界平和と結びつけたり、と、テーマが壮大すぎてしまう。あまりに飛躍しすぎて、ついてこれない読者がいないか心配だ。

それと、作者が世界に対してのイメージなのか、ただ、ネガティブな作品を描きたかったのかわからないけど、主人公が反社会的であり、その上、関わる人間の言葉の裏側を探ろうと心理戦になってしまい、人間不信にまで陥ってしまう状況は、読んでいて、あまり心地よいものではない。

それと、一番の問題は、この設定に隠されていた謎を投げっぱなしにしておわったことかもしれない。ラストまで、色々状況がわかっていく中、ハラハラドキドキしながら読んで、あれ、ここで終わり? というラストです。読了感がなくなってしまいます。伏線全く回収できていないよ。