ブログネタ
魔法遣いに大切なこと 〜夏のソラ〜 に参加中!
魔法遣いに大切なこと〜夏のソラ〜3-1魔法遣いに大切なこと〜夏のソラ〜3-2

今回の話は好きな感じのストーリーでした。


前回からの流れだと、緑川との共同生活になるので、てっきり学園モノの恋愛メインの作品になるかと思いきや、結構、人とのコミュニケーション部分を描いた人情モノだったんですね。これは良い意味で裏切られたというか、こういう趣向の作品って好きです。

才能がない緑川、黙って早朝から電車にのって、サーフィング後ろ向き、管理人に怒られようが、顔を見ては話さず、怒られていることにも臆さず、不満を心の中に溜め込んで、いつか爆発してしまいそうな印象。

サーファーはただの趣味なのか、何か日課としてやっている感じだったので、緑川の本当にやりたいことって、こっち方面なのかな。それとも、魔法の才能がないことに対しての怒りを募らせているので、ただの気分転換だったのかな。

でも、電車の中でも学習して、努力している姿を見ていると、ただの不勉強な不良というわけでもなさそうなので、こちらの展開も楽しみになってきています。山吹が緑川のことを良く見ている。そんな人が一番向いているかもね、と黒田の意見が妙に気になった。

で、今回の本編はこっち。初めてのソラの仕事。魔法師を呼んで、いつも同じ依頼内容。鍵がない金庫を開けてもらうこと。それで中身を見て、鍵がないのに、また閉める。そして、また開けてもらう。その繰り返し

で、ソラが開けた金庫の中に、入っていたのはアルバム。

そのアルバムを持って、外に出てしまう態度をとってしまったソラ。この態度だけでも、仕事とは関係なく、本橋さんに外に出てほしいという、ソラの気持ちが見え隠れしていて、なにかよいなぁ。

魔法遣いに大切なこと〜夏のソラ〜3-3魔法遣いに大切なこと〜夏のソラ〜3-4
「昔には戻れない。写真の人たちには会えないんです」
「それでいいんです」
「時間を止めないで。家から出ましょう」

本橋さんのやっていることって、先に亡くなった政治家の旦那さんが映っているアルバムを見て、昔を懐かしんで、過去に戻りたい、なんとかして会いたい、でも、そんな事は無理に決まっている。

そんな自分の気持ちを抑えるために、開かない金庫に入れて、自分をごまかしている。でも、どうしても昔のことを思い出してしまい、また、アルバムを見たくなって、金庫を開けてもらうという繰り返しだったんでしょうね。

「金庫の中に大切なものなんてありません。一番大切なモノは本橋さん自身です」

過去だけにしばられて、今生きていることの価値を忘れてしまっている本橋さんに、内気なソラの強気な発言。なくなった瞬間から、本橋さんの心の中の時計は止まってしまっていたんでしょうね。

外に出て楽しむことが、亡くなった旦那さんに悪いという気持ちや、過去の楽しかったときの思い出に縛られてしまって、今や、これから先を楽しむ気持ちをなくしてしまったのは、悲しすぎるあらすじ。

魔法遣いに大切なこと〜夏のソラ〜3-5魔法遣いに大切なこと〜夏のソラ〜3-6
「行きたいところはたくさんあります」
「あたし主人がいなくなってから海外に出てないの」

この部分の対比が好きですね。若い少女のソラにとっては、これから先は色々な所に行って、様々な楽しい経験が待っていそうで、ワクワクした気持ちなんでしょうが、本橋さんにとっては、海外で旦那と過ごした楽しかった思い出が邪魔をして、逆に外に出たくないということ。あと、年齢もあるかもしれません。

「他の家族の中で一人って、意外と寂しかったりするわ。もしそのとき楽しかったとしても、後で独りになったときに余計に寂しくなる。だったら、最初から独りでいたほうが気が楽だし」

ソラのお母さんの話になって、なぜ、誘われている他の家族のところでご飯を食べに行かないのかという疑問に対しての、本橋さんの回答。

これが、今回の要点ですよね。人間は生まれた最初は一人で、そこから、両親に育てられ、家族ができ、社会に出て、仲間や友達を見つけ、いろいろな人たちと接していく。そんな過程の中では、出会いもあるなら、別れもある。

そして、年を重ねていくにつれ、出会いよりも別れの経験が多くなっていき、こんな悲しいことが続くなら、最初から独りでいればよかったというネガティブな気持ちになってしまうのは、少し悲しいですね。

「思い出だって、大切なアルバムだって、家族がいたから」

それに対してのソラの反論。別れる悲しみよりも、一緒にいた楽しみの方が上回っているんじゃないかということ。アルバムを見て懐かしく思えるのも、そのときの楽しい思い出が甦ってくるので、今独りになったとしても、ずっと独りのままが良かったと思えるのは悲しすぎるということですね。

人とのコミュニケーションや思い出や楽しいと思えることに、毎日、幸せを感じて生きたいですね。

「東京の空の色、美瑛と違います。でも、どっちも綺麗です」

東京の空はドンヨリとして、コンクリートジャングルで、陽の光が入ってこない、そんなネガティブな発言が多いものですが、ソラは全く逆の印象。美瑛の良さとは違った、きれいさ。東京に住んでいる人でも、田舎とは違う人の良さや感情を持っていると端的に表しているような感じがしました。