学校の階段 (ファミ通文庫)
櫂末 高彰
エンターブレイン
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世界観

[学園][恋愛][躍動][部活][青春][熱血]

あらすじ

季節は春??こらからはじまる高校生活を楽しく送れるラク?な部活に入るため見学に余念のない神庭幸宏は、ひょんなことから学校非公認ながら校内を走り回る「階段部」の存在を知る。ムリヤリ体験入部させられた幸宏だったが、部員たちとの交流を経て自分の中に芽生えた欲求に気づく??「とにかく走りたい!」 そして、入部を決意した幸宏は全速力で駆け出した!! 若気の至りウェルカム! Viva青春の無駄足! ちょっと変わった部活動を通して真正面から「若さ」を描く青春グラフィティ!

短文感想(ネタバレなし)


高校に入ったら部活でしょ。文化系じゃなく体育会系なノリで。部活に情熱を注いでみようじゃないか。でも、ありきたりな部活だと、つまらないよね。野球だったら甲子園、サッカーだったら国立と目指すものがあるのは目標が明確でいい。

その目標に向かって、ひたすら励んでいる様子を見て、熱いものを感じて、自分もやってみたいと思うかもしれない。しかし、この作品はそういった趣旨ではなく、ひたすら階段を走る階段レースに情熱を注ぐ高校生の姿を描いたもの。

階段レースとはいっても、実際には校内を走り回るレースもの。高校の頃って、ぼくたちが思っている以上に子供だったりしてないですか。あの頃はあんなくだらないことをやっていたなぁとか、何を目指しているのかあいまいなまま、そのときの衝動に任せて行動していたりしないですか。今じゃ笑い話になるけど、その頃のぼくらは必死で、何か理由もないことに、好きなことに熱中していたりしてないですか。

この階段レースというのも、目指すものは何もなく、ただ、障害物競走の校内版とでもいえばいいでしょうか。別にそんな校内を走り回るんじゃなくて、陸上部とかに入って、ひたすら走りこめばいいじゃんと。そうしたら、良い記録が残れば、みんなに賞賛されるし、後日談で自慢もできるし、満足感も得られる。そんな理屈おかまいなしに主人公らはみんなと違った新しいことをしてみたいと思って、階段部なるものを作ります。

そんな廊下や階段を全速力で走られたら、周りは危なくてたまったものじゃないですが、それでも、走ることをやめない。そんなのおかまいなし。ちょっとした不良感覚ですね。でも、本人たちは危ないという事実を知っているわけで、なぜそんな感情をもっているのか理由付けがあれば、もっと面白くなったかな。

両親が死んで、血のつながっていない4姉妹と住んでいるシチュエーションは作者がハーレムものが好きなのか、読者へのサービスなのかわかりませんが、部活へのリンク度が低いので、必要かといわれたら、ないほうが楽しめたかもしれません。

あと、ラストが少し強引気味で納得できないかも。