LAST KISS (電撃文庫)
LAST KISS (電撃文庫)
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佐藤 ケイ
メディアワークス
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世界観

[病気][兄弟][恋愛][ほのぼの]

あらすじ

“私が死んだら、お兄ちゃんはきっと泣くと思います―”重い病気を持つ中学二年の井崎由香。夏休みに一時退院した彼女は、これまでほとんど接触のなかった兄の智弘とともにひと夏を過ごす。

印象に残った言葉


「お兄ちゃんは、ずっと由香の事憶えててくれる…?」―――井崎由香

短文感想(ネタバレなし)

切ない。とてもいじらしい。死が目前にひかえている幼い由香がとてもかわいらしく思えてしまう。それでいて泣ける作品。

これが、「私立!三十三間堂学院」を書いた作者なのかと思えてしまうほど。しかも、デビュー前の作品だというから恐ろしい。ていうか悲しい。これが最近の作品だったら、この作者さん気に入ったのになぁ。

短文感想(ネタバレあり)


由香の言葉ひとつひとつが、なんか寂しさを表しているので、なんか感情移入してしまうと、ものすごく悲しい気分になります。

「空…ひろいなって…」
この言葉だって、普段、普通に生活している自分から考えたときにも、病室しか見ていない由香の立場ならではの発言。2度程出てきますが、兄に自分の状況をわかってほしいといういじらしさや、今まで見れなかった景色が、今見えてるという感動がよく表れていて、ちょっとうるっときました。

死ぬのが怖い、忘れられるのが怖い、どちらの怖さも常に持っていたけど、だれかに憶えていてもらえれば、少しはその怖さも減少するのかな。でも、証拠がないから不安になる。せめて好きな兄には憶えていて欲しい。そんな思いがひしひしと伝わってきて、泣けた。

お兄ちゃんと妹、血は繋がっていないから、恋愛になるのか。ちょっと怪しい関係になってしまうという点が少し受け入れにくい人もいそうです。